PR
キーワードサーチ
フリーページ
| 著者・編者 | 潮匡人=著 |
|---|---|
| 出版情報 | 講談社 |
| 出版年月 | 2009年3月発行 |
航空自衛隊航空幕僚長を務めた田母神俊夫さんと、航空団修理隊計器小隊長を務めた潮匡人さんの対談形式で、自衛隊の能力を分析しながら、防衛政策のあり方について意見する。「自衛隊はどこまで強いのか」というタイトルだが、内容の大部分はお二方の政治/政治家に対する苦言・注文である。
冒頭、自衛隊が北朝鮮の弾道ミサイル「テポドン2」を打ち落とせるかどうかで、2 人の熱い議論がはじまる。田母神さんは「私は弾道ミサイル防衛の最高指揮官でもあったわけです。その立場にあった者として、自衛隊のミサイル防衛網は信頼性が高いと申し上げてよい」(14 ページ)と語るが、これに対して潮さんは集団的自衛権の放棄を問題にし、「この『専守防衛』という姿勢自体が、『集団的自衛権問題』同様、自分の利害しか考えない非倫理的かつ反道徳的な政策」(37 ページ)と指摘する。
武器輸出については、国益の観点から、潮さんも田母神さんも口を揃えて、規制を撤廃すべきだと主張する。
また、日本が自立するという観点から、田母神さんは「日本政府が毎年、米軍に出している 2000 億円以上の、いわゆる『思いやり予算』も、それを自衛隊の装備や訓練の費用に回せたら、どれだけいいかと」(113 ページ)、「日本が自立した国になるのに最も有効な手段は、日本が核武装すること」(124 ページ)と語る。これは極論であるが、こうした議論が国会で行われてきただろうか。
また、自衛隊の海外派遣は情報収集の意味でも重要だと指摘するが、一方で、数少ない輸送機が徴用されるなどしているため、「パイロットの養成にも大きな影響が出ました」(152 ページ)という。最近の新聞報道でも同様の記事を見かけた。これは大問題である。しかし、国会で議論されたろうか。
お二方とも、自衛隊の敵は文民統制の政治家であると糾弾する。
田母神さんの講演会が自衛隊によりチェックされており、自衛隊員は参加しないように暗にコントロールされているという。
潮さんは「現在の政治状況では、政権が交代し、民主党を主体とする連立政権などが誕生する可能性を否定できません」(166 ページ)と語るが、このあと、実際に民主党に政権が移ってしまう。
全体を通してタカ派のカラーが強すぎる感があるが、ただ、本書を読んで文民統制が最善なのか疑問を感じた。官僚主導の政治が続くなら、同じ公務員である自衛官が政治に対する発言をしてもいいのではないか――そんな気にさせられた。
【西暦2007年、人類は全面核戦争に突入】… 2025.11.08
【三重連星系から人類殲滅艦隊がやって来… 2025.10.27
【プログラマにおすすめ】「分かりやすい… 2025.09.14