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| 著者・編者 | ニール・ラッカム=著 |
|---|---|
| 出版情報 | 海と月社 |
| 出版年月 | 2009年12月発行 |
著者は、行動心理学の研究者からセールスに関するコンサルティングやトレーニング、セミナーを手がけるハスウェイト社を創業したニール・ラッカムさん。タイトルの通り、大型商談を成約に導くノウハウを解説する。大型案件を扱うプロジェクトマネージャやシステム営業におすすめの 1 冊だ。
冒頭で、「低額商品のセールス(小型商談)で彼を成功に導いたスキルは、高額製品のセールス(大型商談)では逆に成功をさまたげる要因となっている」(10 ページ)とバッサリ。そして、「大型商談では、むしろ感情の方が大きな影響力をもっているのではないか」(29 ページ)と指摘する。感情を動かすためには質問が重要と指摘する。「商談で質問をする目的は、顧客のニーズを見つけだし、育てること」(69 ページ)だからだ。
ラッカムさんは、第4章冒頭で、セールスマンによる顕在ニーズと潜在ニーズの掘り起こしの事例分析を行い、「大型商談で重要なのは、どれだけ多くの潜在ニーズを発見できるかではなく、発見したあとにそれをどう料理するか」(78 ページ)と指摘する。そして「大型商談における質問の目的は、潜在ニーズを見つけだし、それを顕在ニーズに発展させること」(86 ページ)とアドバイスする。潜在ニーズを顕在ニーズへ発展させるためには、「発展のための質問」が必要だ。
ここで本書のタイトルとなっている「SPIN(スピン)」の正体が明かされる。4 つの質問「状況 Situation」「問題 Problem」「示唆 Implication」「解決 Need-payoff」の頭文字をとると、SPIN となる。示唆質問とは「買い手がたいしたことはないと思っていた問題を、アクションを起こすに足る大きな問題だと認識させる」(112 ページ)ことだ。
示唆質問と解決質問の実例をあげながら、わかりやすく解説している。売り手は状況津指紋を使って背景情報をつかみ、次に問題質問を使って買い手の潜在ニーズを見つけ、示唆質問を使って買い手に問題の重大さを認識させ、解決質問を使って書いてから顕在ニーズを引き出し、買い手自身に求めているものやその効用をいわせ、商談成立へ導くのだ。
顕在ニーズを引き出せたら、次に「利点」ではなく「利益」をアピールするといい。利益とは、特徴や利点では無く、「見込み客の口にした顕在ニーズに商品がどう応えられるかを示すこと」(154 ページ)だ。
ラッカムさんは、「小型商談では「利点」をたたみかけることが成功につながる。しかし大型商談では、「利点」にプラスの効果はない」(193 ページ)と指摘する。「売り手がニーズを育て上げる前に解決策を提供」(184 ページ)してしまうため、利点を口にすると顧客は反論するというのだ。
また、「セールス・トレーニングはクロージングに重点を置きすぎてきた」(243 ページ)としたうえで、「顧客から約束をとりつける効果的な戦略の第一は、『商談の調査段階に力を注ぐ』」(245 ページ)としている。
最後に、本書のまとめと、SPIN の効果測定の研究レポートが付随している。小型商談と大型商談でセールスの方法が違うことは感覚的に分かっていたが、本書を読んで、理論的な補強がなされた。
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