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著者・編者 | 菊地正典=著 |
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出版情報 | 日本実業出版社 |
出版年月 | 1998年10月発行 |
著者は、日本電気で半導体事業に携わってきた技術者の菊地正典さん。半導体の物理学からはじまり、ダイオードやトランジスタの役割、メモリやCPUの仕組み、製造プロセス、最先端技術について図解を交えて解説している。半導体に関わる仕事に就こうとしている方にお勧め。
IV族の元素シリコンに、リンやヒ素、アンチモンなどのV族の元素をほんのわずか添加することで1個の電子が余り、シリコン内を自由に動き回れる「目由電子」がたくさんでき、抵抗が一挙に下がる。これが半導体である。電子の電荷がマイナス(Nagative)であることからN型半導体と呼ぶ。一方、ホウ素などのIII族の元素の元素をほんのわずか添加すると1個の電子が不足し、「正孔」と呼ばれる見かけ上、プラスの電荷(Positive Charge)をもったP型半導体となる。
半導体の機能として最もポピュラーなのはトランジスタだが、その他に、ダイオードやコンデンサ、抵抗としても機能する。これらを1つのパッケージに集積したもの集積回路(IC)である。ICは、トランジスタの集積度によって、SSI、MSI、LSI、VLSI、ULSIと分類される。ロジックICやメモリは1000個以上を集積するVLSIだ。
半導体は、電話やオーディオ機器などで使うDSP、デジカメなどで使うCCD、さまざまなIT機器に搭載されるフラッシュメモリ、また、コーデックやA/D・D/Aコンバータとしても活躍している。
半導体業界では、基本デバイス技術やプロセス技術・設備技術さらに製造ライン技術などの面でDRAMが先導役を果たしてきた。
DRAMのメモリセル部には、ワード線とビット線が縦・横に格子状に走っており、その各交点に1個のトランジスタと、これに直列に接続された1個のコンデンサが配置されており、このセットで1ビットの情報を記憶することができる。1ビットが書き込まれたセルでは、トランジスタのソース領域でのNP接合の微小な漏れ電流が起きており、時々、再書き込み(リフレッシュ)をしてやる必要がある。これに対しフラッシュメモリは、データが一度書き込まれると、電子は酸化膜で絶縁されますので、半永久的に記憶を保持する。ただし、データの消去はワード単位で行う必要がある。
半導体を使ってNAND型、AND型、OR型という論理回路を作ることで、計算ができるようになる。
ICの開発は、市場調査・需要予測からはじまり、開発計画を立て、設計工程と試作を経て、評価を行い、量産、出荷に漕ぎ着ける。製造工程は1000プロセスに及ぶが、大きく分けると、ウエーハ上に回路を作り込む前工程と、ウエーハからチップを切り出して出荷するまでの後工程の2つに分かれる。
IC製造に使われるシリコンは、99.999999999%と、9が11個(イレブン・ナイン)も並んだ「超高純度の単結晶構造」でなければならない。「純金」でさえ、99.99%(フォー・ナイン)の純度であることを考えると、半導体が求める要求度に驚く。
シリコンの塊(インゴット)は、直径8インチ、長さ2メートルのもので150kgある。ここからウエーハを切り出す。ICの製造コストを下げるため、ウエーハの直径はどんどん大きくなっている。
前工程では、まずウエーハの表面に薄膜を形成し、不純物を拡散させ、フォトレジストにより回路パターンを転写する。エッチングにより回路を作り込み、洗浄する。
後工程では、ウエーハからチップを1個1個切り出し、ICフレームにマウントし、電極をボンディングする。最後に、樹脂や金属、セラミックに封入し、表面に捺印する。
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