Follow the Dream 療法士の夢

○酔いはどこでわかるか



[ 酔いはどこでわかるか ]



ある晴れた日曜日の午後、

年とったドイツ人と末っ子の息子が、村の居酒屋に座っていた。

父親は豪快にビールをあおりながら節度ある酒の飲み方について講釈していた。


「絶対飲みすぎてはいかん。紳士は丁度よいところでやめるもんだ。

酔っ払うなんて紳士の面汚しだ。」


「はい、お父さん。でも丁度よいかどうかは、どうすればわかるの?」


老人は店の隅をさして言った。



「あそこに二人に男が座っているだろ。

あれが四人に見えたら、おまえは酔っぱらっているってことだ。」




少年は長い間、じっと指先の示す方向を見つめていたが、

終わりに困惑した様子で言った。





「でもお父さん。あの隅にはひとりしか座っていないけど、、、。」








                   ポケットジョーク (3) 酔っ払い

                     植松黎 編・訳 角川文庫






© Rakuten Group, Inc.

Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: