父方の祖母が亡くなったのは、私が12歳のときでした。
祖母は晩年がんを患い、最後数年間は寝たきりでした。
介護していたのは長男のお嫁さん、つまり私の叔母です。
私の母が言うには、
「お義姉さんも大変やわ。お義母さんも気の強い人やし。
今までいろいろあったみたいやしなあ」。
つまり、祖母と叔母がさほど仲良くはないこと、介護の苦労がいろいろあることを
私はそういう母の言葉や、周りの雰囲気でわかるようになっていました。
そして、祖母は84歳で亡くなりました。
私は内心、「おばちゃんもほっとしたかなあ」
と不謹慎なことを考えなくもありませんでした。
しかし、私がお葬式で見たのは、
棺の前で、だれよりもたくさんの涙を流していた叔母の姿でした。
血のつながりがなく、しかも長年、嫁姑の確執や介護に悩まされた祖母の寝顔に、
叔母は泣きながら「おかあさん、ありがとう」と繰り返し話しかけていたのでした。
私はその叔母の姿をぼうぜんと眺めていたことを思い出します。
そのとき、思春期の入り口に立ったばかりの12歳の心に、
人の心の不思議というものが、ずしんと重く響いたのでした。
今年も桜が咲く季節になり、うす淡いピンクの花を眺めていたら、
こんなことを思い出してしまいました。
人の心には目には見えない、いろいろな思いというものがあるのです。
桜って、なんであんなに人の心を動かすのでしょうね!
私は夜桜を見ると、ナイフの刃ががすーっと首筋を走り、
たらーりと流れる血を想像してしまいます!(爆)
そして、口の中に鉄臭い、血の味が広がります。
まさに狂気じみた気持ちになるのですよ。
不思議だ~。
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