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detourism

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Jan 20, 2007
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将棋をかじったことのあるひとなら分かると思うが、どうしてプロ棋士は複雑な盤面を見て適切な一手を選ぶのか、そしてまたそれが瞬時にできるのか不思議に感じたことはないだろうか?こんな疑問へ挑戦しているのが本書である。

とはいえ、解明までには至っていない。(というより、あまり書かれていないような気がするのだが。)垣間見えるといった程度か。

将棋はチェスと一見似ているように見えるが、ゲームの本質としてはかなり違うそうだ。将棋の最大の特徴は、取った駒を再利用できるというルール。このルールこそ将棋を劇的に魅力あるものにし、悲劇的に複雑なものにしている。チェスなどは終盤につれて指せる手が減っていき、ある意味収束へと向かう。これに対し将棋は指せる手が増え、発散していくそうだ。指せる手が増えるということは、二度同じ場面に出会うことがほぼあり得ないことも示唆する。にもかかわらず、棋士は盤面に応じた適切な一手を打つことができるのだ。これはすごい能力だ。

もちろん棋士は経験によっていろいろな場面を記憶していたり、それに対する対処法も知っている。しかし、先にも書いたように、同じ場面に出会うことはほとんどないために記憶だけでは場面に応じた対応はできない。盤面から得る情報と記憶から引き出される情報、それらを組み合わせて何らかの判断(つまり、適切な一手)を行う。

ものごとに精通すればするほど、処理できる情報のサイズを大きくすることができる。それはチャンクと呼ばれるのだそうだ。卑近な例を挙げれば、電話番号を覚える際、数字をそのまま覚えるのは困難である。携帯なら全部で11桁の数字が並ぶが、基本的にそれはランダムな数字の羅列だ。でも語呂合わせを使うと単に数字を覚えるよりもはるかに簡単に記憶できる。数字だけの場合であれば11個のチャンクから成るのに対し、語呂合わせを使うと11個よりも少ない数のチャンクで処理ができるのだ。(一般的にヒトが一度に記憶できるのは7±2個と言われている。)

チャンク自体もいくつかの要素から構成されるが、ひとまとまりとして処理される。例えば、棋士と初心者との違いは、盤面の認識に現れる。棋士は盤面全体をひとまとまりとして認識するのに対し、初心者は盤面にある1つ1つの駒に目を通し、それを合成して盤面を認識するのだ。極端に言えば、棋士は盤面を1つのチャンクとして処理するのに対し、初心者は盤面にある駒と同じ数のチャンクで盤面を認識していることになる。(もちろん棋士だってはじめからこんな芸当ができた訳ではない。精通することによるものに他ならないから、決して特殊な能力ではないのだ。ある意味ヒトに普遍な能力と言える。)

個人的には、脳科学的な部分を期待して読み始めたのだが、残念ながらそういう部分は少なかった。本の大半は羽生さんの直観に基づく記述となっている。直観はあくまでも直観に過ぎないのでどこまで脳科学で明らかにされることと違いがあることもあるかもしれない。その辺には注意しないといけないだろう。しかし、本でも触れられているが、羽生さんの直観、そしてそれを適切な言葉で説明する(できる)能力には驚かされる。(要するに、羽生さんのメタ認知能力はやはり優れているとしか言いようがない。)

羽生さんは一流の中でも数少ない「一流の中の一流」だと思う。そのことばは学術的な価値だけでなく一般的な側面での価値も十分ある。凡人としては、そんな一流のことばに触れるだけでも意味あるはず。





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Last updated  Jan 20, 2007 03:31:31 PM
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Re:『先を読む頭脳』 羽生善治 伊藤毅志 松原仁(01/20)  
saiwaikei  さん
なるほど、盤面自体を一つとして見るか

つまり、処理の個数が多い
だから、余分な事(より先の事)を考える
余力が無いという事でしょうか?
うーん、難しい・・・

かなり興味がもったので
ちょっと探してみます

本当に文章力というかまとめ方が上手でうらやましい

今年は是非100冊達成を(^^) (Jan 28, 2007 09:35:49 PM)

Re[1]:『先を読む頭脳』 羽生善治 伊藤毅志 松原仁(01/20)  
detourism  さん
saiwaikeiさん。返事が遅くなってすみませんでした。

>なるほど、盤面自体を一つとして見るか
>個々の駒を一々見て一つの見る
>つまり、処理の個数が多い
>だから、余分な事(より先の事)を考える
>余力が無いという事でしょうか?
>うーん、難しい・・・
詳しいことは覚えてませんが(笑)、先を読むスポードはおそらく「パターンの認識」の違いによるものと思います。

盤面を1つの処理ユニットとして見るということは、それに続く手を一連のパターン認識から容易に引き出せるのに対し、駒を1つずつ見る処理の場合には、そこに無限に近い手数があるだけでそこから選び出すという作業が必要となるのでは、と思います。
まゆつばの説明なので、その辺は差し引いてください(笑) (Feb 3, 2007 07:25:29 PM)

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乗らない騎手@ ちょっとは木馬隠せw あのー、三 角 木 馬が家にあるってどん…
detourism @ Re[1]:『思想の中の数学的構造』 山下正男(02/11) saiwaikeiさん コメントありがとうござい…
saiwaikei @ Re:『思想の中の数学的構造』 山下正男(02/11) この著者の本前読みました。 「論理的に…
detourism @ Re[1]:『先を読む頭脳』 羽生善治 伊藤毅志 松原仁(01/20) saiwaikeiさん。返事が遅くなってすみませ…
saiwaikei @ Re:『先を読む頭脳』 羽生善治 伊藤毅志 松原仁(01/20) なるほど、盤面自体を一つとして見るか …

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