第2回オフ会&講演会の報告(白井市長)


 本音の部分も含まれていましたが、中身に関わる部分での削除、修正のご指摘はありませんでした。
 自信をもって、信念をもって発言してみえる証だとお二人に改めて敬服した次第です。

<「自治体職員有志の会」第2回講演会&オフ会記録>

1 日 時:平成15年8月29日(金)16:00~18:00
2 場 所:西宮市大学交流センター
3 講 師:白井文尼崎市長
4 テーマ:「これからの行政のあり方と求められる職員像」
5 内 容:以下のとおり

・山路さんから講演の依頼を受けたとき、「何でも良いから話して欲しい」ということで気軽にお引き受けしたところ「これからの行政のあり方と求められる職員像」という崇高なテーマだったので、緊張している。
・プロフィールの紹介があったが、企業に11年いた。18歳の時、自立したいと思い、全日空に入社した。全日空は人を大切にする会社で、「あなた方は人材(財)です」と研修初日に言われた。人員という頭数ではないという意味である。
・組織のリーダーとして人を扱うの時に重要なのは人材(財)という誇りを与える教育である。5,6年人材教育という担当をし、その後15~20人のスタッフのまとめ役であるチーフパーサーになった。華やかそうにみえる仕事だが、コクピットと地上職との連携の場づくりが必要な仕事である。
・乗務前のプリ・ブリーフィングと仕事の後のデ・ブリーフィングがあり、一人ひとりが目的意識に基づいて仕事をしなければならない。新人といえどもつきっきりにできないので任さないといけないが、あるとき893ハチキュウサン(やくざのこと)の団体が新人の担当になり大変だった。でもとにかく任せた
限りは「やらせること」そしてトラブルになったときは「リーダーが責任をとる」
ということに徹した。それがあたりまえだった。
・組織で重視するのは現場である。なぜなら現場が利益を生み出すからだ。
・ラインが重要であり、スタッフがそれを支える必要がある。市役所内でも市長と職員の対話研修を実施しており、ラインとスタッフの役割の見直しをしている。
・全日空では企業内研修が頻繁で、バズセッションに始まり、終わるという感じだった。コミュニケーションと風通しの良さが重視される。
・市長になり、市内の企業を回るといろいろ工夫をされていることがわかる。
・たとえば、65歳定年制を敷いている企業に「どうやって実現しているのか」聞くと、人件費を固定費ではなく、変動費でみている。みんなで利益を分配している。また、尼崎に他の工場をドッキングした会社ではワークシェリングをしている。
・退職したとき、市役所に勤務していたと堂々と言えるような職場にしなければならない。
・市会議員選挙に出る前は全くのノンポリで、周りに議員はおらず、どちらかというと議員に対して胡散臭いイメージを持っていた。
・10年前に不正支出事件が起きるまでは全く政治に興味がなかった。市議会議員に当選したとき、議会では「マスコットガールでいればいい」と言われたが、発言のチャンスを活かしてマスコットガールと言わせないようにした。
・いったい市役所は誰のためにあるのか。市長はどっちを向いているのか。市民の要望に職員は背を向けているのではないか。
・市は、市民ではなく国や県の方を見ており、こんなところで仕事をしていてもだ
めになると思い、二期八年で議員生活にピリオドを打った。
・議員生活にピリオドを打った後、同期の議員に市長選挙に出るようにすすめられた。「あの宮田さんでもできたのだから」と説得されると私は、おっちょこちょい
なので立候補してしまった。五党相乗りの三選を目指す「現職」と組織なしの戦い
だったが、私は頑張れば勝てると思っていた。
・見せ掛けの組織ではメッセージを発せられないし、形よりも一人ひとりの思いが
重要だと考えていたからである。
・開票日には、NHKに開票率0%でも当確を打つと言われたし、取材は形ばかりで、取材の主力は現職の方に皆行っていたほど周りは現職有利と思っていた。
・当選して市長になると職員と議員は独特の関係であることがわかった。職員は議員に政策を説明するのではなく、古い議員へお願いをしている。前市長は、野党議員の質問には答弁もしなかった。
・職員には「市民に『市役所は宝物』と言われる仕事をしよう」というメッセージを出した。
・職員は半数以上が私が市長になって何が始まるのかと思っていた。「経営推進会議」という幹部職員会議では受け入れられるどころか、突っぱねられていた。
・対議会では、最初に質問が出てこなかったので職員が想定質問を用意したが、それが自分の思っている答えとまるっきり違ったので、毎日、3時、4時までかかっ
た。
・職員はプロジェクトXと命名したラインをつくり、即席で答弁書を作成してくれた。
議会というハードルのおかげで職員との信頼関係が増した。
・財政再建を使命と考えており、それには分析が避けて通れない。これまでは責任
を取らない体制であり、計画などの見直しがないままやってきた。
・旧大和銀行の跡地を9億円で買っているが、買った時点で誰が見ても空中回廊など必要ないし財政的に作れない状況だった。
・勇気をもっておかしいと言える職員がいないと行政は変わらない。
・若手職員が「これまで上司の言うとおりやってきた。何でいまさら責任を押し付けられるのか」と反発することに対しては、私もそう思うが、同じことを繰り返せない。今がんばって見直そう、とメッセージを出している。
・希望者を対象に職員と対話をしているが、「いっそ財政再建団体に陥った方がいい」という意見もある。意欲を持って対話に参加している職員でも9/10は、「市役
所は変わらない」と言っている。
・民営化反対の旗を振っているのは職員で、市民の反発にほくそえんでいるのは議
員である。
・2:6:2の原則があるが、真ん中の6割の人を如何にして上位の2割に近づけるかだ。全部を納得させ、こちらに向かせるのは無理だと考えなければならない。
・私は失うものがないので怖いものはない。たとえリコールされてもいいと思っている。そうなると巻き込んだ助役に申し訳ないのでせめて一期はやリ遂げたいと思っている。
・選択を納得いくものにしようと思う。職員に市民の方を向いてもらう。市民運動団体を要求団体と捉えていたが、市をよくしたいという方向は同じである。役割分担をす
べきである。市役所は県や国ではなく、市民の方を向くべきである。
・市民のウオンツを引き出すセンスが職員には求められる。スペシャリストであってもジェネラリストであるべき。引き出しを多く持っているかどうかが大事である。何かあったとき、引き出しを持っていないとパニックになる。

6 質疑応答
Q)首長はビジョンという夢を描き、実現するのは職員であるが、白井市長のビジョ
 ンを聞かせて欲しい。
A)20世紀型のビジョンはワンワードで言い表せたが、21世紀型は一言では言えな
 い。在職し続ける限りは変化するものである。尼崎は大阪と神戸の間にあり、フ レキシブルな街づくりで、交流の拠点になれる。
  人を受け入れる多様性を持った町、チャレンジできる町、マーブルのように一 色一色が互いに混じったりしながら変化する町、をイメージしている。

Q)市政運営で対職員にどんな方針で臨んでいるか。
A)自分は直球しかわからない人間で、変化球に弱い。職員にメッセージを出し続け
 る。
  前市長はしたと聞いたが、自分は就任するとき報復人事はしないと決めていた ので秘書室のスタッフも替わっていない。市役所職員は柔軟であり、トップの交 替に十分対応している。

7 札幌市コールセンターの概要(会員からの報告)
  (札幌市企画調整局情報化推進部IT推進課CRM担当係長 北川憲司さん)
・時間が押しているので、用意したレジュメは後でご覧いただくとしてポイントを説明する。
・コールセンターは年中無休でやっているが、背景には市民との関係性の変化を感じている。
・市民の声としては、「どこに聞いて良いかわからない」「職員の態度が悪い」たらいまわしされる」というのが多い。
・見える所から変えていくのが力になる。良い意味のプレッシャーを与える。
・IT戦略で日本で最初の自治体コールセンター構想が出た。
・職員と市民にあきらめ感があった。情報がないとコールセンターはできない。満足という成果を出さないといけない。
・ものをつくる、ハコをつくるのではなく、価値をつくることに重点を置いた。できたのは、北大出身の助役の役割が大きかった。先延ばしせず、形づくりをせず、CRMに全力を注いだ。
・私に「思いっきりやってくれ。責任は取るから」と言ってくれたので、熱いものがこみ上げてきた。
・市民の声は苦情ではない。困っているから問い合わせるんだ。苦情の割合は1%である。
・9時から5時までの月曜日から金曜までの体制では対応できない。運営は完全アウトソーシングにしている。カスタマー・サティスファクションではなく、カスタマー・デライトである。
・基本的に財政と組合は反対するものである。上位概念を考えないといけない。市役所の目的は何か。「財政再建」では縮小コピーの繰り返しで、そのうちなくなる。
・顧客は誰か。経営のゴールはどこか。顧客志向より親切である。

Q)質問というより、意見であるが、コールセンターに数値目標、成果指標があると したら、その項目をワタミフードサービスのように「ありがとうを市民から一番 たくさんもらう市役所」 ということにしたらモチベーションがあがるのではな いか。

8 感想
・白井市長が女性最年少の市長として当選された各新聞の記事をみて「市長は政党の代弁者ではなく、市民の代表」という言葉などに共感した私は、さっそく白井市長に感想やメルマガなどを送ったのであるが、初当選なので登庁はしばらくしてからだったと思い、市役所あてに送ってもみてもらえないかもしれないと半ばあきらめていた。
・しかし、白井市長自ら職場にお礼の電話があったと聞き、私の思いも通じたと感じた。その後、神戸で自治体職員有志の会の前身となるキャリア・デザインに関するメーリング・リストが発足するきっかけになる金井壽宏神戸大学大学院教授の講演を聞くために神戸に行ったとき、白井市長に電話して「お会いして政策提案などのお話をしたい」とお願いしてところ、覚えていてくださり、「ぜひ」と承諾していただいた。
・おまけにJR立花駅から市役所までのバスを聞いたときは、「お迎えに行きましょうか」とまで言っていただき、恐縮した。もちろん、丁重にお断りしてバスで市役所に行って自治体経営などについてお話ししたことが今でも思い出される。
・自治体職員有志の会の設立では、いろいろな方から応援のメッセージをいただいたが、自治体の首長さんでは、ニセコの逢坂町長、高知県の橋本知事と白井市長からエールをいただき、勇気づけられたことを思い出した。
http://plaza.rakuten.co.jp/prosyokuyamaji/018003
・白井市長には「おかしいことを勇気を持って言える職員にならないと市役所は変わらない」と言われ、我々職員が励まされた気がする。そんなトップを持った尼崎市職員は大変だけれどやりがいがあるのでないかと思う。
・久しぶりにお会いした印象として、三役の議会承認の案件など次々と課題をこなされ、失礼だが、自信とたくましさが加わったように感じた。
・白井市長の直球勝負の姿勢を今後とも応援したい。

・北川さんからメールやHPを通してコールセンターのことは聞いていたが、生で聞くと迫力が違う。
・よく予定時間が変更になっても当初のレジュメどおりにしかしゃべれない人がいるが、時間が短い中でポイントを押さえ、時間調整される能力はさすがである。実際の活動と講演の場数の賜物といえようか。
・私自身は札幌市のコールセンターのことを聞いたときからオフィス文具配送会社アスクルのカスタマー・リレーションシップ・センターのことを思い浮かべたが、金儲けでにはつながっていない分、それを上回っていると言えるかもしれない。
・ワタミフードサービスの渡邉美樹社長のように「一番ありがとうをたくさんもらう」ことを目指して市民に見えるところから変わることで市民、職員双方のあきらめ感を払拭し、市役所を真に「市民の役に立つ所」にしていただきたいと思う。


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