1通のメールが会社を動かす



「1通のメールが会社を動かす」
                      丹羽 宇一郎 伊藤忠商事社長
        02/1/28日経ビジネス                            「経営者の眼」
○伊藤忠商事は今年1月から育児・介護支援策を見直した。実は、この見直しのきっかけとなったのは、昨年11月、ある女性従業員から私宛に寄せられた1通の社内メールである。
○私は時間が許す限り、従業員との直接対話集会を開くようにしているが、それでも限界がある。それを補ってくれるのがメールだ。メールは時間や空間、そして階層の壁を取り払ってくれる。
○一般社員が社長に直接、ものを言うには躊躇が伴うはずだ。この女性従業員も、パソコン画面上で何度も書いては消し、消しては書きながら、最後は決意して送信ボタンを押したのだろう。それでも直接、面と向かって言うよりは躊躇が少なかったに違いない。
○私のところには、グループ会社を含めて従業員から毎日20~30通のメールが届く。匿名でも受けるようにしているが、最近はほとんど実名入りで提案や批判を書いてくる。
○むしろ匿名で送ってくるのは、私のことを褒めるような内容のものだ。媚びているように取られるのが嫌なのだろう。
○多忙な中でメールを読み、必要なものに返事を書くのは大変だが、会社の雰囲気を変えるうえで、このコミュニケーションを大切にしている。だから良いと思った提案は実現に向けて努力する。その実績を見て、他の従業員も「よし、自分も意見を言ってみよう」と考える。
○仕事の目標を共有し、各自の責任を明確にしなければ、やりがいや感動は生まれない。マクロ戦略と現場の実態をつながなくては、組織は機能しない。だからこそ、メールによるコミュニケーションは貴重なのだ。

<私の意見、感想、コメントなど>
 3Mの提案制度は、上司が部下の提案に対して「NO」と言うときには理由をつけなければならないとされています。そうすることによって、部下の意見や考えをよく理解しようとするようになり、自身も論理的な言葉になる、すなわち暗黙知を形式知にする訓練が期待できるのでしょう。 
 トップとのコミュニケーション手段としては、時に煩わしい中間を省略して、担当から直接、経営陣へ意見が言えるメールはとても有効だと思います。しかし、それを会社の経営にまで活かすには丹羽社長のように真摯に部下の提案を受け止め、良いと判断したら実現に向けて真剣に努力する姿勢が必要なことは言うまでもありません。
 ついでながら、自治体の経営者である首長さんの中で、まるで気軽に連絡されては困るといわんばかりに、名刺に電話やメールアドレスなどの連絡先を書いていない方がみえるなかで、逢坂ニセコ町長、橋本高知県知事、田中長野県知事、浅野宮城県知事といった方は、他の自治体の一職員である、私のメールにご自身で返信や電話をいただく方です。おそらく、ご自身の町役場や県庁でも職員の方と直接、メールで意見交換をなさっているのでしょう。 
 わが県の北川知事は、どちらかというとITは理論派で、連絡手段はフェイス・ツー・フェイスが中心です。担当職員にもどんどん話しかけ 意見を求められますので、まさに目が合ったときは「真実の瞬間」です。
要は、ウェッブにしろ、面談にしろ、垣根を低くすることがリーダーへ 提案があがってくる条件ということでしょうか。
 私も、受け取った方を動かすようなメールを打ちたいと願っています。
 (02/1/25配信のメールより)



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