りぶらりだいあり

りぶらりだいあり

PR

Profile

りぶらり

りぶらり

Keyword Search

▼キーワード検索

Favorite Blog

Trump says he may g… 恵子421さん

ほとんど垂直続く … なすび0901さん

読書とジャンプ むらきかずはさん
片手に吊革・片手に… もりのゆきさん
From おおさか mayu0208さん

Calendar

Comments

おきま@ Re:「PRIDE 池袋ウェストゲートパークX」石田衣良を読んだ(07/30) 約32年前に池袋のウェイターに騙されて風…
深青6205 @ Re:「恩讐の鎮魂曲」中山七里を読んだ(08/16) こんにちは。御子柴シリーズはお気に入り…
りぶらり @ Re:「我が家のヒミツ」奥田英朗を読んだ(06/18) なすびさん,お久しぶりです。僕が本を買…
なすび0901 @ Re:「我が家のヒミツ」奥田英朗を読んだ(06/18) 好きな作家の一人 図書館で借りないでア…
2005.12.24
XML
出張先や旅行先でも,つい本屋をのぞいてしまう。品揃えなんてどこでも同じなのにね。ただ悪天候で,交通手段のダイヤが乱れていたこの数日だと,文庫本を補充しておいて,ちょうど良かった。

○ストーリー
1950年代生まれなのに一人っ子,という珍しい育ち方をしたせいか,主人公のハジメは,あまり他人に心を開かない傾向があった。12才のときのクラスメートの島本さんだけが,彼の唯一の本当の友人だった。しかし中学進学とともに2人は別れ別れになってしまい,混乱の10代と孤独の20代が過ぎた。仕事と家庭が充実した37才で,ハジメは島本さんに再会し,全てを捨てる決心をするのだが・・・

---------------------------

「ノルウェイの森」と「ねじまき鳥クロニクル」の間には長いブランクがある。”新しい感性の小説”としてデビューをし,初期3部作を完成した後,なぜか「ノルウェイの森」で村上春樹はベストセラー作家になってしまった。「世界の終わりと・・・」などで,文学作品としてもかっちりしたものを出版した後は,なぜか短編や翻訳ばかりを続けていた。そんな中,久しぶりに発表された長編作品がこれだ。

「ねじまき鳥」以降の作品世界では,積極的に現実と幻想の融合を図っているようだが,「国境の南」では「ノルウェイの森」と同じで,どこまでも現実の世界を逸脱しない。

「ねじまき鳥」以前の作品に共通するように,失われた恋人は戻ってこない。女性たちは謎の理由で突然すっぱりといなくなってしまう。一方で新しい要素として,主人公がそれを意図していなくても結果的に相手を傷付けてしまうという展開がある。また,主人公が40才間近で,2人の娘を持っていることも新しい特徴だろう。

---------------------------

一貫して他人とは距離を置くタイプの主人公を描いてきた村上春樹だが,これまでの作品では,主人公のそばに友人だったり,ガールフレンドだったり,誰か1人くらい気をゆるせるキャラクターがいた。この作品では,主人公は25年ぶりに再会する女性以外に,そうしたキャラクターがおらず,精神的に孤独である。



この後に「ねじまき鳥」が書かれ,主人公は己の命を削って,超自然的な存在と戦い愛する者を取り戻そうとする,という行動を取る。同じ行動は現実世界に留まろうとした場合,より困難になる。おそらく「国境の南」は,「ねじまき鳥」にて開花するイマジネーションのための,スプリングボード(踏切り台)として機能しているんだろう。

---------------------------

実はこの作品を読むのは3回目くらいだ。雪に降り込められた旅先で求めて,ホテルの夜と遅れがちな列車の中で読んでしまうには,ぴったりの作品だったかも知れない。








お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2005.12.24 10:35:37
コメントを書く


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: