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2010.11.26
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カテゴリ: びしびし本格推理
米澤穂信の格調高い本格ミステリーを読んだ。

○ストーリー
家の事情で大学を休学し,古書店でアルバイトをしている青年・芳光は,店を訪れた女性・北里可南子に不思議な依頼をされる。彼女は,自分の父親が昔に書き,散逸してしまった5つの短編小説を探していたのだった。様々な情報をつむいで,芳光は少しずつ小説を探し当てる。だが,それはまた,可南子の父親がかつて巻き込まれた事件の真相を探す旅にもなるのだった。

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米澤穂信の作品には,間違いなく不思議な哀愁があって,それが魅力的なツヤとなっている。この作品の主人公・芳光も,父を亡くし,大学も休学し,伯父の家に居候をしていて,と,かなり不幸な状況にあり,あたかも文豪作品の主人公のような時代がかった厭世観に包まれている。

また抜け殻になってしまった伯父,芳光と同じように古書店のアルバイトしている笙子,芳光に調査を依頼をする可南子など,どの登場人物も少し前の時代から抜け出てきたような静かな人々だ。

謎解きというより,「藪の中」的に人間の心理の謎に踏み込んでいくような重厚な語り口で,これまでの米澤作品とは一線を画すような,格調の高さがある。

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思えば「儚い羊たちの饗宴」も,”館ものミステリー”のような,ゴシック風な趣があった。けれども一部の内容がどぎついこともあり,どこか造りモノっぽい空気が否めなかった。



個人的には,主人公が人々を訪ね歩き,インタビューや小説の断片で,過去に起きた事件に迫る,と言う展開は,恩田陸作品に似ている印象を受けた。真相に迫ったと思わせ,途中からさらなる謎に戸惑う雰囲気もよく似ている。

残念ながら,恩田陸の独特なリアリズムや,過剰な豪華さは無いので,この作品の乾いた空気や静けさは,どうしても寂しさやわびしさばかりを強調してしまう。ここまで貧乏臭さを表に出さなくてもよいと思う。

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また,純文学を感じさせると言っても,ひじょうに時代遅れなブンガクを感じさせるのであって,どうしたってこれだけで新しい読者を惹きつけることは難しいだろう。

あの米澤穂信が純文学風の作品を著すことが面白い,というレベルでしかない。

とは言え,作風の拡張を目指していると思われる米澤穂信にとっては,この作品は成功していると思う。そろそろ既存のシリーズから脱却して,単発の長編でメジャーを目指してもいいと思う。












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Last updated  2010.11.28 00:15:21
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