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Aug 9, 2017

★

　最近　Dr.Tsunami氏は忙しいのか

とんと寄稿してくれない。

　日本経済新聞に興味のある記事がでていた。　

　しかし、この標題は、インドのモディ首相が

自国の選挙買収・汚職や資金洗浄などの対策のために、

自国民に投げかけた実際の高額紙幣廃止政策ではなかっただろうか。

　あまりにも唐突であったために大混乱をもたらしたようだ。

★

新しい電子決済手段「フィンテック」を絡ませた、

　啓蒙的な意見として、米国ハーバード大学ケネス・ロゴフ教授の見解

＝「 高額紙幣廃止論 」を

日経新聞等から呆けなりに纏めてみたい。

1.　マネーロンダリング、脱税・収賄などの犯罪撲滅で高額紙幣廃止を決めた国

　　・EU:　　　　　　　　　　500ﾕｰﾛ（交換レート 130.5円＝65,250円）
　　・カナダ：＜非現金決済比率 55.5％・・2014年BIS調べ＞
　　・シンガポール：＜非現金決済比率 55.7％＞

　　・スウェーデン　＜非現金決済比率 54.3％＞
　　　→キャッシュレス化の理由は以下による（WIKIPEDIAから）・・・

　　　・鉄道やバスなど交通機関の券売機はカード専用で現金が使えない

　　　・一般的な店での少額の買い物(飲食店や屋台のような店なども含む)でも、
　　　　電子決済専用で現金が使えないことが一般化している

　　　・教会でのお布施集めや子供の小遣いさえも電子マネーで支払う

　　　・スウェーデンにある銀行店舗の半数以上が現金を取り扱わず、
　　　　ATMの撤去も進んでいる

　　　・現在の学生など若い世代では、全て電子取引で一切現金を使ったこと
　　　　がないまま育った人が大半
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ここでは触れていないが
　　・インド　＜非現金決済比率 34.5％（デビット 31.6%）＞
　　　　　　　→モディ首相による選挙対策での高額紙幣廃止

　　＜廃止すべき高額紙幣＞
　　日本：1万円、5千円＜非現金決済比率 17.2%＞
　　米国：100ドル、50ドル（交換レート110.5円）＜非現金決済比率 40.4％＞

2.　高額紙幣は非現金決済手段の出現で自然淘汰されるか？

　　米国：貨幣量/GDPは1970～1980年代に 5％まで低下→最近 7％台。
　　　　　一人当たり通貨保有量 4,200ドルを持っている計算だが、

　　　　　現金の 80％が 100ドル札。
　　　　　脱税は連邦政府分で年5千億ドル、地方税を含めると7千億ﾄﾞﾙで、
　　　　　個人事業主・零細企業経営者の過少申告の比率が大きい。
　　　　　高額紙幣を廃止すれば銀行口座で資金のやり取りを補足でき、
　　　　　脱税が 10％減ることで税収が 700億ﾄﾞﾙ増えることになる。
　　　　　脱税の地下経済は米国がGDP比で 7％もある。

　　日本：貨幣量/GDPは1970年代 7％→最近約 20％。
　　　　　一人当たり通貨保有量は 77万円で、家族 4人として
　　　　　300万円となるが、ほんとにどこにもっているのであろうか。
　　　　　現金の 90％が1万円札。
　　　　　脱税の地下経済は、米国の 7％よりも高く 9％であり、高額紙幣廃止で
　　　　　財政難の日本経済は見返りが大きい。

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　　　　　クロヨン：税務署による所得の捕捉割合
　　　　　　　　　　源泉徴収会社員　 9 割
　　　　　　　　　　自営業者　　　　 6 割
　　　　　　　　　　農林水産業者　　 4 割
　　　　　で知られた日本の脱税体質が
　　　　　マイナンバー制導入後に
　　　　「タンス預金」の急増を生んだのは
　　　　　この隠蔽を指すものであろう。
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3.　小口紙幣・貨幣を残し、高額貨幣を段階的に廃止するなかで政府の役割

　　全ての人が電子決済の金融サービスを利用できるように、政府がデビットカード、
　　スマートフォン用口座を無償提供し、匿名性・プライバシー保護の法的枠組みを
　　構築すべき。
　　ビットコインについては、政府の統制が利かないから、政府は統制をかけることになる。
　　ただし、政府がデジタル通貨を運用すれば金融システムが劇的に変わる可能性がある。

4.　金融政策が有効となる日

　　（ケインズ経済学ではトラップの金利が2％などのプラス水準で考慮されたが、）
　　現在は、金融政策者が預金にマイナス金利をかけることができても、
　　預金者は高額紙幣に替えることで遁れることができる。
　　しかし、マネーを電子化すればマイナス金利をかけることが可能となり、
　　金融政策が有効となる。
　　もちろん、少額預金者は「対象外」にすることでないと生活者の理解は得られない。
　　また、大胆なマイナス金利政策は、先行きのインフレ期待を創出することが
　　同時に大事であり、そのことにより、長期金利はプラス圏で推移し、
　　マイナスに陥ることを避けられるはずである。

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ケインズ理論のリクイデティ・トラップ
流動性の罠（英: liquidity trap）とは、
金融緩和により利子率が一定水準以下に低下した場合、
　投機的動機に基づく貨幣需要が無限大となり、
　通常の金融政策が効力を失うとする。
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5. Kenneth　Rogoff氏略歴（日経新聞）

　　1953年生まれ。64歳。　　専門はマクロ経済学と金融経済学。
　　同じハーバード大のラインハート教授との共著「国家は破綻する」では
　　過去800年の金融危機を分析し、政策当局者の必読書となった。
　　チェスの名人としても知られ、78年には最高位の一つである
　「グランドマスター」を取得している。

　　トランプ米政権には「政策遂行能力がない」と手厳しい。
　　ただ米経済の成長鈍化は金融危機の後遺症だと指摘し
　「米国の広い国土からすれば人口は５億人までは拡大余地がある」と
　　潜在力を強調する。
　　同僚のサマーズ元財務長官らが唱える長期停滞論は
　「10年もすれば誰も語らなくなる」と将来を強気に見通す。

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