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Oct 9, 2020

「チェコとスロヴァキア」　　＆　宇治見氏の懐かしい寄稿文　＆　友人Y.Y.氏　寄稿文「チェコ共和国　上院議長訪問団の台湾訪問の背景と意義」

(2)

カテゴリ：ヨーロッパ州

★

＜画像挿入＞

選考委「飢餓との闘いに努め、和平に向けて貢献した」

WFP 「“平和”と“飢餓ゼロ”は結びついている」

　　　　　　　↓

　トランプ大統領でなくホッとした！

★

「チェコとスロバキア」

阪急交通社：東欧・中欧観光ガイド

　チェコについては「宇治見氏の寄稿」

として「 チェコ のチェスチュ Třešť

（モラヴィア地方のトリーシュTrieschという小さな町）

における　

　　 シュンペーターのファミリー・ヒストリー 」

　原作名：　The Schumpeter Family in Třešť

を～翻訳者「宇治見氏」のご協力で～

小生のブログ「Sep29,2016～Oct4,2016」に掲載した。

　シュンペーターに関する研究・著作で有名な

塩野谷祐一教授の英文を、その教え子でもある

宇治見氏が翻訳したものであった。

ボヘミア、モラヴィア、シレジア地方：WIKIPEDIA

Tripadvisorのモラビアの地図
「 Třešť チェスチュ； トジェシュチ（独語、旧名称トリーシュ）」

画像・文字の拡大は「CTRL」+「+」を数回押す、
元に戻すには「CTRL」＋「０」を押して下さい。

「分水嶺？」は「赤い粉」で印ています。
「Telc テルチ」の直ぐ上に「Třešť チェスチュ」はあります。
テルチの旧市街は３方を池に囲まれ、その水はドナウに流れ出ます。

モラビアとボヘミヤの分水嶺：テルチTelc周辺
http://www.eu-alps.com/s-site/do-2006/615/615telc2.htm

　向かって、左の上（プラハ）に向かうのがボヘミヤの

モルダウ川、下の左の方角から「赤い粉」を破って

ウイーンに向かって進むのがドナウ川です。

　以下は宇治見氏の当時のブログなどから

「チェコの Třešťにおける
　　シュンペーターの
　ファミリー・ヒストリー」

・・・下記の「筆者」は塩野谷祐一教授

　　　　＊　＊　＊

　「ビロード離婚」とも謂われて1993年に、

円満に分かれた

「チェコ」と「スロヴァキア」であった。

　両者ともに西スラヴ人に属し、チェック人の多い

ボヘミア・モラビア地方（併せてチェコ地方）と、

スロヴァキア人の多いスロヴァキア地方が

一つになったものであったが、歴史的に見ると

「チェコ」は オーストリア に属し、

「スロヴァキア」は ハンガリー に属しており~

平野の多い「チェコ」がより豊かで

西洋化が進み経済的にも優位であった。

　今回、別の友人Y.Y.氏が「 新三木会 」への寄稿文を～

このブログに転載させていただくことを

ご了解いただいた。

１．チェコ共和国上院議長訪問団の

　　　台湾訪問の背景と意義（転載）

　　　　寄稿文　新三木会へ：　Y.Y.氏

　チェコ発のニュースが久しぶりに世界に発信された。

　チェコ共和国のビストルチル上院議長が、国会議員、
プラハ市長、企業関係者など 89 名の訪問団を率いて
8 月 30 日から 9 月 4 日迄、台湾を訪問しこれが
世界で大きなニュースとして取り上げられ、国際社会
の注目が集り日本でも各新聞が国際面で記事を掲載、
NHK では特集番組が組まれた。
　報道によればビストルチル上院議長は滞在中台湾の
立法院(議会)で演説を行い、蔡英文総統と会談する他、
参加した企業グループの打ち合わせも活発に行われ、
台湾からチェコへの投資や相互技術移転も前向きに討議
され訪問団は成功裡に 4 日間の日程を終了した。

　チェコは中国と正式国交があり、中国は訪問前から
猛反発し、またチェコ国内でも外交方針に反するとして
大統領や首相が反対していたが、それを押し切って何故
上院議長一行がチェコを訪問することになったのか
その背景と意義を探ってみた。

1) チェコの民主化の歴史と中国の関係

チェコは、チェコスロヴァキア時代の 1968 年に
『プラハの春』の民主化運動をワルシャワ条約機構軍
(ソ連軍)に弾圧され、その後さらに厳しい共産党独裁
体制が約 20 年間続いた。
　ベルリンの壁崩壊の 8 日後の 1987 年 11 月 17 日
にプラハの中心街で学生デモ隊が大勢の警察機動隊に
殴打される事件が起こった。
　この事件は駐在していた事務所の真ん前で起こった為、
私はその現場に居合わせ目撃した数少ないウィットネス
となったのだが、その光景は今でも鮮明に脳裏に焼き付
いている。
　その日が『ビロード革命』と呼ばれる無血の市民革命
の初日となる。
　翌日から文化人・一般市民が立ち上がり民主化を求める

大規模な抗議運動が広がり、その 1 か月後共産党政権が
崩壊する。

　この反体制運動の指導的立場にいたヴァーツラフ・
ハヴェル氏が大統領に選ばれ、1993 年にスロヴァキア
分離の後も 2003 年までチェコ大統領を務める間、
全体主義の中国とは距離を置く政策を執っていた。

　同大統領はチベット難民の置かれている立場を理解し、
ダライ・ラマ法王を国賓として迎えた最初の国家元首で
ありその後も長い親交が続いた。

　しかし 2013 年に就任した現在のゼマン大統領は、
親中国政策をとり、2015 年北京での「抗日戦争勝利
70 年」軍事パレードに、EU加盟国から唯一の国家元
首として出席しその関係を深め、翌年には習近平国家
主席がチェコを公式訪問し「チェコは中国にとってEU
の玄関口となる」と、チェコに日本円で4400 億円の
投資を行う約束がなされたが、この多額の投資は実現
されず、チェコ国民の間に中国に対する不信感が広が
っていた。

2) クベラ前上院議長によるプラハ訪問計画

　今回の台湾訪問を最初に計画したのは、ヤロスラフ・
クベラ前上院議長。
　同氏は「ビロード革命」にも関わりハヴェル元大統領
とも親交があり、中国の圧力を受けている台湾に友好的
で、今年2月に訪問する予定を立てていた。
　これに対し、ゼマン大統領とプラハの中国大使は執拗
に訪問を止めるようクベラ氏に迫っていた。
　クベラ氏はこのような圧力に屈するものか!と台湾訪問
の強い意志を貫いていたが、今年1月に急逝した。

　亡くなる 3 日前に中国大使から夫妻で招待された新年
の夕食会の途中で、クベラ氏は一人別室に連れていかれ、
張中国大使と中国人通訳 3 人で 20~30 分話した。
　戻ってきたときには顔面蒼白の別人のようで、ヴェラ
夫人に中国大使館が用意した食事は絶対食べないようにと
ひどく怯えていたという。
　張大使は、もし上院議長が台湾への訪問を決行すれば、
シュコダ自動車など中国に進出している企業が「高い代
償を払うことになる」し、自分は解任逮捕されると迫っ
たという。

　クベラ氏は 1 月 20 日に心筋梗塞で急死するが、中国
側からの執拗な脅迫による心労が原因と言われている。
　4月に遺品の中からチェコ大統領府と中国大使館が
クベラ氏に送った 2 通の「脅迫状」が見つかり、その内
容は台湾訪問をやめなければ、家族を危険に晒すという
ものであった。
　ゼマン大統領はこの書信についての調査要求を拒否して
いる。

　この訪問にはゼマン大統領、バビシュ首相、外務大臣が
こぞって反対し、対中関係を巡りチェコ政界が割れている
のも事実であるが、故人の遺志を継いだビストルチル上院
議長は、今年5月チェコ上院で「ビストルチル議長の訪台を
支持する決議案」を 50 対 1 と、ほぼ全員の賛成で通過さ
せ、台湾訪問を実現した。

3) プラハ市長北京との友好都市協定を破棄

　89名の訪問団の中で首都プラハ市のフジプ市長が注目
される。
　チェコ海賊党のメンバー(海賊党はヨーロッパ各国に
ある政党で透明な民主主義を標榜。チェコ下院では22名
の第3党) で中国の人権問題は黙認出来ないと、北京市と
の友好都市協定にある「1 つの中国」に関する項目の削
除を求めていた。

　それを中国側が無視したため、昨年北京市との協定を
破棄し、台北市と友好都市協定を結んだ。
　中国側は反発を強め、予定されていたプラハ・フィル
ハーモニーの中国公演を中止させた。

4) チェコ台湾訪問団

　今回のチェコ台湾訪問団の台湾滞在中の成果を、
報道をベースに簡単にまとめてみた。

　ビストルチル上院議長は 1 日、台湾の立法院(議会)
で約45分間演説し、台湾の民主主義をたたえ「世界中
の民主的な議会の役割は、法案の採択のみならず、
民主主義の原則を守ることだ」と述べた。
(どこかの国の政治家に聞かせたいですね)

　そのうえで「難しい状況下で民主主義を築き上げよう
という人たちを支持することは、全ての民主主義者の義
務である」と述べ、「民主主義国家は他の国の指図を受
けるべきではない。
　特に非民主的な国家の命令に従う必要はない」と中国
を暗に批判した。
　最後に故ケネディ元米大統領が 1963 年に西ベルリン
で行った演説をなぞらえて、「私は台湾人である」と
中国語で述べ、台湾の人々への支持を表明した。

　代表団は3日、総統府で蔡英文総統と会談、蔡氏は
「共有する自由・民主の信念を国際社会に発信すること
ができた」と他の欧州諸国にも連帯を呼び掛け、蔡総統
は9月3日の式典で、クベラ前上院議長を悼み故人への
敬意を示す勲章を授与した。

５) 今回の訪問団の意義

　人口 1070 万人のチェコ共和国で上院が4番目に
大きな貿易相手国である中国を相手に、損得勘定を
度外視して、何故今回の台湾訪問を行ったのか?

　チェコは、20 世紀初頭には民主主義主義国家と
しドイツと肩を並べる工業国であったが、その後の
歴史で、ナチスドイツやソ連など周辺諸国から圧力
を受け続け小国の悲哀を味わい続けてきた。
　現在の台湾の置かれた状況が、かつて独立と自由
・民主主義を奪われていた自国の状況と重なって見
え、大国の横暴を許してはならないとの思いが他国
よりもはるかに強いのは想像に難くない。

　チェコ上院議長は憲法上、大統領に次ぐ地位であ
り、その訪問自体、台湾とチェコのみならず欧州諸
国と中国の今後の関係に大きな意味を持っている。

　今回の訪問は、台湾を国際社会で孤立させようと
の中国の目論見に風穴を開ける動きであり、その為
に中国の反発も激しい。
　30日チェコ訪問団のチャーター機が台湾に近づい
たときに中国機が異常接近して来たとの信じがたい
報道もある。

　中国の王毅国務委員兼外相は 1 日、この訪問は
「一線を越えた」と述べ、中国外務省は「14億人
の人民を敵に回す。必ず重い代償を払わせる」と
報復の可能性をにおわせている。

　11 日、中国は早速、今回の訪問団に参加したチェコ
企業の中国入国を許可しないとの発表を行っている。
　中国との経済関係は今後さらに悪化するに違いなく、
チェコ経済にとっては試練が続くことになろう。

　今回の上院議長の台湾訪問は、自国より弱い国に常に
圧力をかける中国に NO という勇気を持つことの重要さ
を諸外国に示したものだ。

　中国共産党の権威的拡張主義と、民主主義国との世界
的な分断がある中で、チェコに続くのはどの国か?

　ビストルチル上院議長にとって今回の訪問は、
1989年の「ビロード革命」の指導者、ヴァーツラフ・
ハヴェル元大統領の遺志を継ぐ旅になったことは
間違いない。

２．「外務省の基本事情」から

チェコ (ＥＵ圏・自国通貨)	国	スロヴァキア（ＥＵ・ユーロ圏）
78,866㎢	面積	49,037㎢
1,069万人	人口	545万人（2019年3月スロバキア統計局）
プラハ	首都	ブラチスラバ
チェコ人69％，その他スロバキア人，ウクライナ人，ベトナム人等	民族	スロバキア人80.7％，ハンガリー人8.5％等（2011年：国勢調査）
チェコ語	言語	スロバキア語
カトリック10.4％，無信仰34.5％	宗教	ローマ・カトリック62％，プロテスタント（ルター派）6％等（2011年：国勢調査）
共和制	政体	共和制
ミロシュ・ゼマン大統領（Miloš ZEMAN）（2018年3月就任，2期目，任期5年）	元首	ズザナ・チャプトヴァー大統領（Zuzana ČAPUTOVÁ）（2019年6月就任、任期5年，三選不可）
2院制（下院200名　任期4年，上院81名，任期6年）	議会	一院制（定員150名，任期4年）
（1）首相アンドレイ・バビシュ（Andrej BABIŠ）（2018年7月就任）（2）外相トマーシュ・ペトシーチェク（Tomáš Petříček）（2018年10月就任）	政府	（1）首相　イゴル・マトヴィチ（Igor MATOVIČ）（2020年3月就任）（2）外務・欧州問題大臣　イヴァン・コルチョク（Ivan Korčok）（2020年4月就任）
（1）予算 27.5億ドル（ミリタリーバランス2019）（2）兵力 23,200名（ミリタリーバランス2019）。徴兵制度を2004年で廃止し，職業軍人化	軍事力	（1）国防予算： 1.5億ユーロ（2019年度）（2）兵役：志願制（3）兵力：陸軍6,250人，空軍3,950人（2019年：ミリタリーバランス）
（自動車を始めとする）機械工業，化学工業，観光業	主要産業	自動車産業，電機産業
2,470億米ドル（2019年，IMF）	ＧＤＰ	1,066億米ドル（2018年：IMF）
23,213米ドル（2019年，IMF）	ＧＤＰ／人	19,579米ドル（2018年：IMF）
2.5％（2019年，IMF）	経済成長率	4.1％（2018年：IMF）
2.6％（2019年，IMF）	物価上昇率	2.5％（年平均値）（2018年：IMF）
2.0％（2019年，IMF）	失業率	6.6％（年平均値）（2018年：IMF）
（1）輸出 1,780億ドル（2）輸入 1,599億ドル（2019年，チェコ統計局）	総貿易額	（1）輸出　 768億ユーロ（2）輸入　 794億ユーロ（2019年：スロバキア統計局）
（1）輸出自動車及び関連機器，電気機器，産業用機械類，化学製品（2）輸入自動車及び関連機器，電気機器，産業用機械類，鉱物資源	主要貿易品目	（1）輸出　車両，機械・電気機器，卑金属（2）輸入　機械・電気機器，車両，鉱物性生産品（2019年：スロバキア統計局）
（1）輸出ドイツ（32.8％），スロバキア（7.7％），ポーランド（6.0％），フランス（5.1％），英国（5.0％），オーストリア（4.4％），イタリア（4.1％），オランダ（2.9％），日本（0.4％）（2）輸入ドイツ（25.7％），中国（12.6％），ポーランド（7.7％），スロバキア（4.8％），イタリア（4.2％），フランス（3.1％），ロシア（3.0％），オーストリア（2.9％），日本（1.8％）（2018年，チェコ統計局）	主要貿易相手国	（1）輸出（％）　ドイツ（22.3），チェコ（11.0），ポーランド（7.5）（2）輸入（％）　ドイツ（16.2），チェコ（10.1），中国（6.3）（2019年：スロバキア統計局）
チェコ・コルナ（Kc）	通貨	ユーロ（EUR）共通通貨（2009年1月より導入）
1コルナ＝約4.3円（2020年5月）	為替ﾚｰﾄ	１€＝124.79円　(2020/10/07仲値)
日本の対チェコ貿易（2019年，財務省貿易統計）（ア）貿易額輸出　1,743億円輸入　1,223億円（イ）主要品目輸出　電気機器，一般機械，輸送機械輸入　一般機械，金属材料，電気機器	日本との経済関係	日本の対スロバキア貿易（2019年，財務省貿易統計）（ア）貿易額輸出　243億円輸入　350億円（イ）主要品目輸出　電池，自動車，自動車の部分品，　ポンプ及び遠心分離器輸入　自動車，重電機器，ポンプ及び遠心分離器，絶縁電線及び絶縁ケーブル
3,774百万米ドル（2019年8月現在，ジェトロプラハ事務所）主要事例：TV製造，自動車製造等	日本からの直接投資（累計）
273社（2019年10月現在，在チェコ日本大使館・ジェトロプラハ事務所）	進出日系企業数	67社自動車関連，電機関連産業等の製造業22社を含む（在スロバキア大使館調べ，2020年2月現在）が進出している。
2,471人（2020年3月1日現在）	在留邦人数	256人（2020年4月現在）
417人（2019年6月末現在，法務省調べ）	在日当該国人数	402人（2018年12月現在）
プラハ１．モルダウ川（＝ヴァルタヴァ川　　→エルベ川）２．カレル橋３．プラハ城（百塔の古都）	首都の景観	ブラチスラヴァ（オーストリアとハンガリー　2ヶ国の国境に接する。　市域内に3国国境。　ウイーンに最も近い）１．ドナウ川とモラヴァ川の合流２．斜張橋（旧ＳＮＰ橋）３．聖マルティン教会など