座乱読無駄話日記２

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2024.05.21

風と雅の帝

カテゴリ：歴史・本など・・

「風と雅の帝」（荒山徹・ＰＨＰ研究所）
　帯の表現からも、風雅和歌集から？かもというタイトルからも、光厳院が主人公であるなら、読まねばなる・・ということで、読んでみた。

　で、小説の盛り上がりとしては、まあ、歴史上、有名な事件が目白押しで、その真っただ中に放り込まれた志尊の人で有りながら、色々波乱万丈・・・ある意味、他人の争いごとによって振り回された天皇ではあるんですが、もともと、強固な意志を持っていて、強烈な人後醍醐さんに対抗し、足利尊氏に声をかけて自ら運命を切り開いた人物だという印象を持っていたので、その路線である・・・つまり、自らの意志で歴史を動かしていった人物の一人であるということを、もくろんでいた作品だろうな‥とは思います。
　しかし、叔父である花園院との「太子御遺誡」（これが、まるで北畠親房の神皇正統記みたいなんですよ）を通しての、師弟関係や、拉致された後に即位した実子の後光厳院との、いろんな行き違いなども、まあ、そうだろうなあ・・という感じで物語は展開します。
　そして、本当に信頼ならん、訳の分からん人物、足利尊氏・・というのも、ありがちかも。
　光厳院の方からすれば、まさしく、そうだろうなと思います。ほんまに信用ならん武士の典型かも。土岐頼遠の事件のところで、頼遠に師直のセリフを言わせるのも、まあ、面白いかもいれない（あ、師直は全然と登場しません）。家柄
　高貴な家柄であった天皇家が、武力で世の中を牛耳る武家を心底、嫌っていたかもしれないし、常に心の中では軽蔑していたとは思いますが、それでも、その力に頼らなければ立場を維持できないというのは分かっていたので、敵対する力を利用するのは当たり前かも。
　そして、後醍醐天皇は、やはり「キョウレツ」な人ですが、光厳院からすれば、本来正統な家柄は持明院統であるという意識は消えない。
　そらそうでしょうねえ。

　そもそも光厳天皇として在位の時に六波羅探題の北条仲時と仲良くなっていて（これは、まあ、ぶっとんだ方法なんだけど・・）信頼もしていた仲時が、京都を脱出して、例の集団自殺をした現場に立ち会うはめになるのですが、その後、信用できない足利尊氏と手を結ぶのだけど、兄は信用できないけど、どこか仲時に似た雰囲気のある尊氏の弟の直義に、期待をしてみようかな・・という気になる。
　そして、その直義にも裏切られ、またしても悲劇の真っただ中での吉野への拉致・・。
　でもめげない光厳院は、頑張る・・という展開。しかし、なんともプライド高くて、頑固なお人やな・・という感じです。
　とかなんとか、でもね・・この小説、なにしろ読み始めてすぐに、トンデモな妄想入ってしまって、まあ・・なんというか・・色んなものがふっとんだわ。確かに光厳院って精神力も強いし、身体も丈夫そうですし、全国？行脚？の伝承もあるので、体力もありそうですが・・・。

　以下、ある意味、強烈なネタバレですので、これから読む人で気にする方は・・・見ないように・・。