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美人と評判の踊りの師匠、おせん。ある夜、スポンサーである越後屋がおせんに言い寄ってきたのだ。その場へ逃げ込んできた宗次郎は、おせんを救う形となった。宗次郎はそのままおせんの家に居着いてしまう。おせんは宗次郎に入れあげる。しかし、宗次郎はおせんの弟を刺していたのであった。あろうことか、宗次郎は、おせんのもとに稽古に通うお吉(越後屋の娘)を口説くのであった。一方越後屋は、悪党の仁蔵に指示して、自分になびかないおせんの顔に煮え湯を浴びせかける。おせんを捨ててお吉といっしょになりたい宗次郎は、顔にやけどをおったおせんを川へ突き落す。そののち、おせんは怨霊となって現れるのであった。
若い男と師匠、そして弟子であるの商家の娘との三角関係、という設定は、「真景 累が淵」ですね。
「真景 累が淵」は、もともとが明治の落語家三遊亭圓朝の創作落語(怪談噺)で、その全編を語ると毎日1時間かけて15日間かかるといわれる大作です。話しが込み入っているのです。
しかし、『怪談三味線堀』は、その長編の一部分を借りてきたわけです。
なので、「真景 累が淵」には親の因果が子に報い、のドロドロした背景がありますが、『怪談三味線堀』にそれはない。
また、若い男、『真景 累が淵』は新吉、『怪談三味線堀』は宗次郎、の性格、人間性にも違う面があります。
新吉と宗次郎は、二枚目という点が共通しています。
しかし、新吉は受け身的で、優柔不断、女性からの働きかけに流される印象があります。
それに対して、宗次郎のほうは、二枚目であることを武器にして女性に迫ります。
いずれにしても、師匠の怨霊に祟られるのですが。
それにしても「真景 累が淵」は、怪談として存在感が大きいのだとあらためて感じた次第です。
当方、キング・オブ・怪談は、「四谷怪談」だと思ってきました。
けれども、『真景 累が淵』もそれに匹敵するような実績があるのです。
何回も映画化、テレビドラマ化されていました。
一番最近は『怪談(2007年)』です。
怪談 累が淵 [ 中村鴈治郎[二代目] ]
【中古】 怪談/尾上菊之助[五代目],黒木瞳,井上真央,中田秀夫(監督)
そして、『怪談三味線堀』のように「真景 累が淵」に影響された映画もあったのです。
そのほかにも、『怪談一つ目地蔵(1969年)』は、親の因果が子に報いという部分などが『真景 累が淵』に似ています。
この『怪談一つ目地蔵』は「四谷怪談」のストーリーを思わせるところもありました。
若山富三郎演じる京之助は悪浪人にからまれた質商伊勢屋重五郎の一人娘お絹を助け、みにくい傷をおった旧知のお浪からお絹にのりかえるところなど。
これは民谷伊右衛門が、立身出世のために、お岩を捨てて伊藤家のお梅との縁談を進めようとするくだりに似ています。
なお、若山富三郎は、『怪談 お岩の亡霊(1961年)』で民谷伊右衛門を演じています。
舞台、古い映画などの怪談は、情痴のもつれや因果応報が怪奇、恐怖を呼ぶ展開になので、「真景 累が淵」や「四谷怪談」は、元祖、本家としての中身を備えているのです。
怪談 お岩の亡霊 [ 若山富三郎 ]
さて、『怪談三味線堀』の宗次郎役を演じたのは品川隆二でした。
その名前を聞いて思い出すのは、テレビドラマの『素浪人 月影兵庫(1965年~68年)』です。
平均視聴率20%という人気番組で、好んで見ていました。
このドラマの中で、品川隆二は月影兵庫の相棒、旅烏・焼津の半次を演じていました。
焼津の半次はお調子者のコミカルな役どころで、月影兵庫とのかけあいがとても楽しかった。
この『素浪人 月影兵庫』は品川隆二の代表作といわれています。
その印象が強かったので、二枚目宗次郎は戸惑いがありました。
しかし、『怪談三味線堀』は品川隆二は見る角度によって大川橋蔵に見えたり、山城新伍に見えたりしました。
確かに、品川隆二は二枚目ではあったのでしょう。
けれども二枚目ではスターになりきれず、三枚目を演ずることで華々しい存在感を示したわけです。
まあ、『怪談三味線堀』も「真景 累が淵」に見えたりしましたから。
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