2006年07月08日
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ウラン放射線 ―― 強さと単位


放射線の強さ


放射線の強さについての考え方

 α、β、γの違いによって飛距離・吸収密度・吸収されたときの物体への影響が違う。全身を通過しまんべんなく吸収されたり、皮膚程度止まりだったり、きわめて表面どまりで強い力だったり、さまざま。
 また、どの種類の核が崩壊したかによって放射線の種類もその強さも違う。
 受ける側も、影響を受けやすい臓器・細胞に違いがある。
 影響が少なければいいのかといえば、少ないから細胞が死んで片付けられずにガン化する危険が生じるとも言える。
 この微妙さは理解しておく必要がある。 

各種単位
Bq ベクレル =毎秒どれだけの核崩壊が起きるか。= 放射能の強さ
Gy グレイ=吸収されたエネルギーの単位重量当たりの累計単位。= 吸収線量
生物効果比 =γ線と比較して、α、β線などが生物に与える影響の大きさ比率。
Sv シーベルト =生物効果比 × グレイ。= 線量当量
最終的には、
放射線荷重係数 =全身に対する臓器による比率が考慮される(べき)。

各単位表

 (10^+a=10のa乗)

エネルギー桁比       単位      γ線              α線
単位(×10~-2 J /kg)
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
1000 ――――――― 1グレイ(Gy)
 200―――――――――――――― 200mSV/年
  10           1レム(rem)――――――――――――  200mSV/年
   1            1mGy   1mSV/年(一般基準) 
  0.05 ――――――  0.05mGy―――――――――――――― 1mSV/年(一般基準)                

↓:↑の比は1:7.4×10^+7倍

6.72×10^-10―――――4.2MeV ――――――――――――――ウラン238のα粒子/本
                                         =>1.34×10^-8mSV/kg

                50keV――――ウラン238のγ線/本
1.6×10^-16      = 1eV

 ウラン238のα粒子/本 が、毎秒1本/秒放出され、それが1kgの体に吸収されたら、年間で0.42mSV/年になる。
 ウラン238から生じたPaなどの物質――これのγ線は767KeVとか1MeV

(ウラン238からのベータ線、γ線のエネルギーは、50KeV≒10(-7乗)erg ぐらい。
 ウラン235からのαγ線は、200KeV≒3×10(-7乗)erg
 Co-60は1.17MeVおよび1.33MeVのエネルギーを持つγ線を放出する。

広くは、
 放射性核種から放出されるα線エネルギーは、3MeV~8MeV程度
 代表的な放射性核種から放出されるβ線の最大エネルギー範囲は、10keVから5MeVである。
 放射性核種が放出する主なγ線のエネルギー範囲は、5keVから4MeV程度 )


ウラン弾の放射線

劣化ウラン弾と放射能

 ウラン238の放射能はエネルギーの殆どがα(4.2Mev)線である。ただし、透過力が殆どないのでウラン固体の中で止まる。
 劣化ウランは人間が精錬したため、直後はウラン以外の放射能物質をほとんど含まない。
 しかしその後、元素が壊変して新しいより活発な放射性物質ができる。天然ウランに近づく。
 数ヶ月すると、一定のレベルで放射能の活発さは高止まり気味で安定し( 放射平衡 )、中でもさらにβγ線エネルギー比率が強まる。
 新しいより活発な放射性物質からのベータ線二種はエネルギーレベルが高いので、合わせてウラン238のα線に匹敵し、劣化ウランの放射エネルギーを倍加する。
 単純放射線数では3倍ほどになるらしい。
 ただし、ベータ線も又ウラン固体が多いはず。
 γ線類では、767KeVとか1MeV等の強力なものが増えてきて、元々少ないγ線エネルギーは桁上がりに増える。

 最終的に、『DU 貫通体による接触線量率[6]は約 2 mSv 毎時』http://chronoflyer.ddo.jp/~trinary/plus/iaea/duqaa_ej.html#q12 だそうで、これはβ線が殆どだそうで、 一年の内100時間さわり続けると、その近づけたあたりの皮膚に腫瘍ができる確率が上がり出す。慢性の皮膚については補正して、200時間、 が妥当だろう。実際には半ミリのアルミ板、1mの空気で防げる。


劣化ウランと減損ウラン

 天然から取られたウランは、ほとんどがウラン238でウラン235は0.7%程度。
 これを濃縮してウラン235の比率を3~4%に高める。
 その結果、ウラン235が1/3の0.2%台になった残渣が劣化ウラン。
 濃縮して原子炉燃料に使ったあげく、ウラン235が減ってしまったものが、回収ウラン、減損ウランと言われる。

 「Depleted Uranium」=使い切ったウラン=劣化した、減損した、ウラン、、、というように、英語では同じ。
 日本では、使い分けていたのが、結局アメリカにならって同じに統一したらしい。
 さらに、回収ウランは劣化ウランよりもウラン235の濃度が高いので、再び濃縮に回されて劣化ウランと呼ばれたり、いや劣化ウランと混ざっているということか、実態上区別せずに管理していそうだ。

 さらにこんな定義もある。
http://chronoflyer.ddo.jp/~trinary/plus/iaea/duqaa_ja.html
『米国原子力規制委員会(NRC: Nuclear Regulatory Commission)による劣化ウランの公式な定義では、その U-235 の 重量パーセントによる割合が 0.711% 以下のウランのことを言う。』
 つまり、一度濃縮機にかければ(途中に取り出しても)、あとは放射性廃棄物でもなんでも、燃料として使うか捨てるかの二種類であり、その区別は濃度だけ、が定義になっているようだ。
 廃棄物を区別するという発想そのものがないらしい。

 アメリカでは実際に、ウラン弾の製造に高放射能の減損ウランも高い比率で混合溶融されたという話がある。(深夜朝日テレビでだか、ある工場では材料の50%が減損ウランだった時期があるらしいとか) 

 ただし、どのていどの放射能になっているかは、また別のことなのだが。
 というのも、
 回収ウランには、原子炉の中性子のために、自然界にない激しい放射能を持つ元素、自然界にない中性子を発するもの、等が含まれている。いわゆる放射性廃棄物。
 これらのほとんどはひどく不安定なので、何ヶ月もすれば多くが消える。
 また、そのγ(ガンマ)放射線は、ウランよりも強い質のエネルギーであり、γ線と比べてα+β線の比率は、純粋の劣化ウランよりも少ないはず。
 なので、(中性子を放出するような新元素がすぐに消えるなら)、 γ(ガンマ)放射線は外から検出しやすいため、エネルギーを測定しつつ管理すれば、劣化ウランと混同して使っても、予想外の放射能があることにはならないはずだが・・・そんな管理をしていそうな考えがなさそうな。


兵器としてのウラン弾

 劣化ウランはウラン弾の芯に使われる。
 イギリスでだか比較実験すると、タングステン弾使用よりも貫通力が20%アップしたという。
 これに原子炉廃棄物である減損ウランが使われ、それをアメリカが隠しているという話もあるが、その実際の放射毒性は保管時間が長くなるほど減って行くので、一般的にはなんともいえない。

 標的に当たると、高温の摩擦熱のために表面粉・本体が燃焼し、標的戦車内部を焼く。
 その灰が細かい粒子となる。少なくとも10%以上がそのように微粒子化するという計算がある。   (たぶん、弾の大きさ・標的によっても変わる)

 粒子径はほとんどが10μ以下、2.5μ以下にもなる。
 2.5という数字は、粒子のまま血管の中に入り込むという意味である。



補足: 

廃棄物では、自然ウランの100倍。(資料紛失)

α線、ベータ線の飛距離表
http://www.senzoku.showa-u.ac.jp/dent/radiol/Prometheus/HyperRadiol/General/GP_Fig_13-9.gif
http://www.senzoku.showa-u.ac.jp/dent/radiol/Prometheus/HyperRadiol/General/GP_Fig_13-10.gif



資料

ウラン238、ガンマ、βのエネルギーの値は、4MeV、50KeV、50KeV

http://uranglass.gooside.com/goldenlight/yomoyama.htm
アルファ崩壊、ベータ崩壊は、いずれもガンマ線を出すのですが、そのエネルギーは50KeV

http://www.kz.tsukuba.ac.jp/~abe/ohp-nuclear/nu-03.pdf
[PDF] 中性子と原子核の反応ファイルタイプ: PDF/Adobe Acrobat - HTMLバージョン
天然ウランの約99.3%を占める. 238. Uも約1MeV以上のエネルギーの中性. 子が入射した ときには、核分裂反応を起こす。 ... β-壊変して安定な核へと移行する. その際β線として 約3.5%、それに伴うγ線として約. 3.5%のエネルギーを放出する。

橋本政雄他『教養の物理学』広川書店   13 放射線 矢野隆昭 著
http://www.senzoku.showa-u.ac.jp/dent/radiol/Prometheus/HyperRadiol/General/General_Physics.html
 β線の物質中での飛距離は同じエネルギーのα線に比べて平均100倍ほども大きい.
 γ線は物質中でたいへん長い飛距離をもつ.例えば水中では 1 MeV のγ線は 10 cm 以上飛ぶことができる.人の皮膚などは簡単に通過する.γ線を遮蔽するにはコンクリートや鉛の障壁が必要である.

 中性子線は電荷を持たず,電離作用は問接である.したがって中性子は電子とあまり相互作用をしない.だから中性子線は物質中で長い飛距離を持つ.1 MeV の中性子線は水中をほぼ 1 m も走ることができる.

エネルギーと透過距離
http://laboratory.sub.jp/phy/33.html
γ線 0.05~2.9MeV 4~450mm


劣化ウラン弾はそんなに悪か?
http://members.jcom.home.ne.jp/3720652101/uranium.htm
 このサイトは基本的にただの無知。概念としてまるきりわかってない。








目次 ウランと放射線とガン










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最終更新日  2006年07月08日 13時06分30秒
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