随分時間が空きましたが、村上春樹さん作品紹介第8弾!!
書籍名:回転木馬のデッド・ヒート
著者名:村上春樹
出版社:講談社
この本は
レーダーホーゼン
タクシーに乗った男
プールサイド
今は亡き王女のための
嘔吐1979
雨やどり
野球場
ハンティング・ナイフ
という作品の集まった短編集です。
著者も語るとおり、これは正確な意味での小説ではありません。
著者が実際にあって話を聞いた真実の長い会話を、彼なりに脚色して
作品に仕上げたものなので、ある意味ではノン・フィクションです。
どの作品も考えさせられる内容がそろっていますが
その中でも
「タクシーに乗った男」は私の心を揺さぶりました。
これは画商をしている女性のお話で、彼女が自分のために買った
たった1枚の絵は、技術的には拙い3流画家のものであるというお話です。
彼女が絵を買ったたった一つの理由が
絵の中にいるタクシーに乗った男を眺めたかったからという部分、彼女の人生の
背景と照らし合わせて、静かな願望がもの静かに描かれていて心惹かれました。
他の作品もクラシック音楽と雨降りを足して2で割ったように静かに
心に入ってくるものばかり。
村上短編集を読むにあたって手始めにお勧めしたい1冊です。