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柿崎和泉守@ Re:『天と地と』 Heaven and Earth(04/25) 映画で残念に思ったのは、まず刀八毘沙門…
背番号のないエース0829 @ Re:『ベルリン 映画「風の電話」に、上記の内容について…
May 2, 2008
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カテゴリ: Movie

『1941』 が公開されて「2大戦争巨編の競作」なんて言われ方もされていたが、全く異質の作品であり比較にならない。

マーティン・シーン/ロバート・デュバル

迫力云々は前半、特にキルゴア中佐率いる騎兵隊がベトコンの村を奇襲する戦闘シーンなどを指すことが多いようだが、私はむしろ後半の方に迫力を感じる。「難解」と言われる部分であるが、それは制作現場の混乱がもたらしたもので、コッポラたちは事前に結末を決めることなく、とにかく撮りまくり、十分な編集も手直しもできないままプレミアを迎えるという状況であった。


したがって非常に荒削りではあったが、それが却ってカーツ大佐の神秘性を高め、「王国」はまさに人間の心理の奥底に相応しい雰囲気を醸し出していた。「ベトナム戦争」云々はあまり意味がなく、それよりは、太古の昔から人間(というか動物)の中には原始的殺人本能があり、それは決して拭い去ることはできず、戦争のような狂気を経ると示現してしまう恐ろしさ、どうすることもできない恐怖・・・が監督の意図したテーマだと思っていた。

私が好きなド・ラン橋のシーン

しかし2002年に公開された『特別完全版』を観ると、必ずしもそうではなかったことが判る。この辺については他で色々書かれているので参照して頂きたいが、上述のような観念的なテーマよりは、戦争に翻弄される人間自身を描きたかったのだろう、ということになる。

『特別完全版』で追加されたシークエンスで最も長いのはクリスチャン・マルカン演じるフランス人のプランテーションの部分だが、このプランテーション自体も一種の王国であり、それだとカーツ王国の存在感が薄れてしまう。また、カーツ大佐のTシャツ姿。これでは神秘性は感じられず、普通の軍人でしかない。


プランテーションでのウィラード大尉と未亡人の情事のシーンと、慰問後のプレイメイト達とのシーンがちょっと息抜きとなってしまうのも惜しい。本作の場合は、どちらかというと最初から最後まで緊張しっ放しの方がいいと思うのでちょっと残念だ(ただ、プレイメイトとの情事の際、横に死体が転がるのにはギョッとするが)。

ストーリーは好きな方を選べば良いが、迫力ある映像は同じである。制作中に降り注いだいくつものトラブル・・・主演者の交代・台風によるセット崩壊・制作費の高騰・・・から来る苦悩とその克服が画面から気迫となって滲み出る。これほど強く迫ってくるスクリーンは滅多にない。フリードキンの 『恐怖の報酬』 もなかなか迫力のある映像だったが、これには到底及ばない。また王国の住人は実在のフィリピン山岳民族をそのまま起用しており、水牛殺しの儀式も彼らが実際に行っているものだとか。

カーツの王国。圧倒される。


一方、ブランドは肥満、ホッパーは薬物申毒で満足な演技ができず、監督は大変苦労したらしい。


ヴィットリオ・ストラーロの撮影は相変わらず秀逸で、色調が実に素晴らしい。音楽ではドアーズの「ジ・エンド」があまりにも有名だが、コッポラの父カーマインのスコアもナカナカだ。当初、音楽は冨田勲にオファーがあり、実際に冨田氏は現地入りまでしたが、結局実現しなかった。残念である。

その他、いろいろ書くとキリがないが、今見ても色あせていない稀有な作品であることは間違いない。私の映画ベスト10の一つである。

コッポラ、ストラーロたちもカメオ出演。

監督:フランシス・フォード・コッポラ
製作:フランシス・フォード・コッポラ/フレッド・ルース
原作:ジョセフ・コンラッド
脚本:ジョン・ミリアス/フランシス・フォード・コッポラ
撮影:ヴィットリオ・ストラーロ
編集:ジェラルド・B・グリーンバーグ
音楽:カーマイン・コッポラ

1979年・アメリカ / 153分(オリジナル)・203分(特別完全版) / 評価:5.0点 / 子供:×






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Last updated  May 2, 2008 10:13:06 PM
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