she says... but who's reading?

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MR. BIG @Yokohama Arena 6/21

再結成!!

MR. BIG、オリジナルラインナップで再結成。
この言葉に対する重みが分かる世代は、全員、今回の来日公演に足を運んだはずだ。
再結成がブームと言えるほどのムーヴメントになって、どんどんありがたみが希薄になってしまっている昨今、個人的に思い入れの深いバンド、本当に好きなバンドの再結成でなければ、もはや驚きも感動もなくなってしまっている。
しかしながら、Eric, Billy, Paul, Patの4人が集結したMR. BIG再結成の意味がとてつもなく大きいというのは、崩壊から分裂への経緯を知っている人間であれば分かってくれるはずだ。
再結成の発表から今回の来日までのメディアの露出で、彼らの今回の再結成に対する意気込みとか想いとかが、ファンには充分伝わっていたのではないだろうか。特にPaulが復帰したということ、EricとBillyが良い関係になったということ。このふたつの事実が、今回の再結成をより純粋で、新鮮なものにしている。
長くなったが、個人的にも青春時代(そんなものボクにはなかったけど要は10代後半あたり)にどハマったバンドの再結成というのは感慨深いものがある。ライヴを観たのは高校の時のBump Aheadツアーでの横浜文化体育館(!)だ(あんまり記憶ないんだけどね、実は。Patの♪いぇすたで~ぃドコドコドコドコぐらいしか)

そんなこんなで、仕事のため泣く泣く武道館チケットを破棄した翌日の日本ツアー最終日、横浜アリーナ。この会場は○年前にKISSを観て以来かも知れない。
しとしとと雨が降り続く中、開演1時間ほど前に到着。既にかなりの数の観客がたむろしていた。まさに老若男女と表現しても差し支えないほどヴァラエティに富んだ客層だ。
そそくさと入場を済ませ、パンフだけ買って席へ。
広いと見せかけて実はあまり広くないこの会場だが、フロアから少し上がったところの真正面席だった。まぁ良くも悪くもない席だ。会場内ではビールも飲めないという素敵な環境の中、パンフレットを読みながらスタートを待つ。

そして開演時間の5時を少し回ったところで場内暗転、SEが流れだした。当然場内総立ち。。。なのはいいんだけど、期待していたほどの歓声は上がらなかった。まぁ最終的にはけっこうにわかファンも多かったことが判明するのだが。

で、SEと混ざるようにスタートしたのはDaddy Brother Lover Little Boy。原曲のガ、ガガ、ガガガっていう起動音がなくて、いきなり始まったからちょっと面食らったが、やはりこれ以上ないオープニングチューンだ。
音は、でかくはないが、なかなかクリアで聴きやすい。
まぁそれより何よりこの4人が同じステージに再び立って、MR. BIGの曲を演奏しているという事実にまず興奮した。
更にPaulに関していえば、まさにこの再結成が発表される直前の2月のライヴではクラブクアトロでやってて、そこで間近で観られたわけで、それが数ヵ月後に数十倍の大きさのハコでやってるのだから人生って面白いというか何というか。

で、曲はTake Coverへ。個人的にはやはり1st, 2nd信者なので、この曲、及びアルバムにはそれほど思い入れはないが、MR. BIG人気が絶頂期を迎えたのはこのあたりだったわけで、やはり人気がある。後ろのスクリーンにはPVが映ることが多かったが、メンバーの生映像がずっと映っていたほうが個人的には嬉しかった。

そしてお次はこれまた超人気曲のGreen-Tinted Sixties Mind。イントロでやられる曲だ。ボクは楽器をやらないので、このバンドのすごさの一端しか知り得ないのだが、一緒に行った楽器をやる友人に言わせれば“のるより見入ってしまう”そうだ。今後次々と繰り出されるこの超絶テクはまさに“金を払ってみる価値のある”エンターテインメントだ。

Alive And Kickin'の“あら~いばんきっきん!!”のシャウトも、周りにほとんどやっている人がおらず孤独感を感じつつも、だんだん我を忘れてき始めたので無問題。
で、お次のベストに入っている新曲2曲は個人的にはイマイチイマニなのでフワフワとのるだけ。

次に披露されたのはJust Take My Heart。個人的にはTo Be With Youより好きな美メロバラードだ。ここではEricの美声が堪能できる。さすがに日本縦断で、若干疲れが出ているような気がしたところもあったが、やはりこの人のソウルフルかつパンチの効いた声というのは唯一無二。

ファンキーなTemperamentalはアルバムで聴くととばしがちだが、ライヴでは躍動感が加わって心地いい。

そしてまず一発目の楽器隊タイム。実はココ、あんま覚えてないんですが、Patのソロでなかなか大画面にその超絶プレイが映し出されなかったのが残念だった(最後の方はしっかり映りました)。MR. BIGの中では“知性の人”的ポジションで、おとなしいイメージがあるが、このドラミングは他の3人に匹敵する超絶度だ。この日はLong And Winding Roadを歌いながらのドラミング。

そして曲はPrice You Gotta Pay。これもアルバムで聴くとイマイチ地味だがライヴで4人の音圧に攻められると完全にやられる。

で、感動の最大の波が来たのが次のStay Together。Paul作のベスト盤に入っていた佳曲だ。
Even though I want you, Even though I need you, Even though my heart is screaming
Still believing, We could fall in love (求めていても、必要でも、心が叫んでいても、信じていても、恋におちる)
Even though I want you, Even though I need you, Even though we won't find better, We can't stay together (求めていても、必要でも、もっといいものが見つけられなくても、一緒にいられない)
すごく好きなのに一緒になれない切なさを歌っていると思うのだが、そんな曲を、今再び一緒になった4人が楽しそうに演奏している姿を見ていると、本当に泣きそうになってきた。そう、今回一貫して彼らから感じられたものは“楽しい”という感情だ。跳んだり跳ねたりを繰り返すEric、激しく、そして堅実に土台を固めるBillyとPat、そしてそこにとにかく弾きたくて弾きたくてたまらないという感じのPaulがいる。今回何度となく感じた“単なる再結成ではない”という意味がここにきてより深く分かった気がした。

そんな感じでひとりでウルウルしている間にも曲が進む。次はせり出したステージに4人が集まり、アコースティックタイムだ。Wild Worldもいいが、好きなのはその次に披露されたGoin' Where The Wind Blows。爽やか満載チューンだ。このアコースティックタイムもほのぼのさが溢れ出ていておもわず笑みがこぼれる。

そこから曲は何とアコースティックでのTake A Walk。チャレンジングだが、そこから徐々にエレクトリックセットに移行する流れなど、よく練られているという感じだ。それにしてもこの曲の“Take A Walk!!”などというキメの場面等、観客の歌唱度がどうも低いような気がした。今の若い子であればMR. BIGは若干後追いになっているはずだが、それほど若者ばかりという客層でもなかった。だとすれば、リアルタイムで聴いていたファンが多いはずで、それでこれだけ曲を知らないというのは、個人的にはどうもがっかりだ。To Be With Youしか知らないというファンも多かったということなのかもしれないが、話題性だけで横浜アリーナを満員にするようなバンドではないと思っていたので、もっと知っていて欲しかった。

さて、そこから再びソロタイム。お口アングリタイムだった。まぁ、なんと言うか、それこそジミヘンに始まりヴァンヘイレンやらイングヴェイやらのギターテクの進化の最新形を見せてくれると言うか、もし近くに寄ってきたらチップでも投げたいくらいのサーヴィスタイムだった。

で、そのあとはBump Aheadタイム。The Whole World's Gonna KnowとPromise Her The Moon。どちらも個人的にはイマイチ。。。てかココまで書いてきてボクはBump Aheadアルバムがあまり気に入っていないということだな。ただ、その頃の純粋さで、歌詞とかかなり覚えているんだが。

そんなまったりした空気を破ってくれたのがRock & Roll Over。この曲の疾走感はたまらない。若干Ericのパワーが落ちてしまっていたのに気付いてしまったが、本当に良い曲だ。で、またお客さん。そこは“After the SHOCK!!”でしょうが!!“Stand UP!!”でしょうが!!!

まぁ、そこはそれとして、みたび始まったソロタイム。今度はBilly様。年齢を調べてみるとまぁびっくりの56歳!考えられませんな。超人death。で、完全に余談だがこの人を見ると、何故かいつもアメリカのテレビドラマ“フルハウス”のミシェルを思い出すんだが、共感してくれなくて結構death。

さぁそのソロタイムに続いて披露されたのは、全ての始まり、ファーストアルバムの1曲目にしてMR. BIGの名前を一気に広めた名刺代わりの1曲、Addicted To That Rushだ。さすがにこの曲は♪ウォ~ウォの分かりやすいフレーズも手伝って大盛り上がり。ボクもヘドバンしまくりだった。そして最後まで超絶テクで突っ走ってとりあえずの本編終了。ここまででもう2時間近く経過してたんじゃなかろうか。

アンコールに応えて出てきたメンバー。そう、あの曲をまだやっていない。メンバー紹介が始まれば、何が来るかは知っている。


TO BE WITH YOU


スクリーンには過去の写真が次々と映し出される。この曲は紛れもないラヴソングだが、この4人が改めて集まった今、この曲はバンドとしての結束を証明する曲になった。この日何度したか分からない、彼らへの感謝を込めて大合唱で応えた。…I’m the one that wants to be with you

そして3枚目まではMR. BIGの定番となっていた“アルバム1曲目はちょっぱやな曲”シリーズの最後はBump AheadからのColorado Bulldogだ。♪Drinks are on the houseのあとの爆発力ったら、凡百のニューメタルバンドのそれとは次元が違うぜ。
そして壮絶に締めたアンコール。ただボクは、このあとカヴァータイムがあるのを知っている。

そう言えば、どのタイミングだったか忘れたが、丁度この日は父の日ということで、PatとEricのお子さんから”Happy Father's Day”のメッセージがスクリーンに映し出されるという小粋な演出もあった。

さぁ、ここからのお楽しみは、Paul on Drums, Eric on Guitar, Pat on Bass, and…. Billy on VocalのSmoke On The Water。もともとドラムもこなすPaulは別として、Billyの渋みの効いた声はたまらない。このバンドは“4人とも歌える”というのも見逃せないポイントだ。そして更に楽器チェンジで今度はBillyがギター、Ericがベースに持ち替え、“永遠のイケメン”Patがヴォーカルをとる。そういえばBillyのミシェルも書いたのでついでに書いておくと、PatはマイケルJフォックスに似ていると思うのだが、これは一部賛同希望。

さて、パートチェンジのあとは再び担当の楽器に戻って、Ericが“サーティ”と言えば間違いなく来るのは30 Days In The Holeだ。今回横浜が最終日ということで、何かサプライズがあるとの噂が出ていた。飛び入りのゲストでもあるのかとも勘ぐってみたが、このツアーでこの曲をやったのがこの日だけだったということで、恐らくこれがサプライズだったのだろう。確かに盛り上がる曲だ。

そして次は日の丸をバックにMR. BIGのロゴがスクリーンに映し出され、I Love You Japanが始まる。すいません、正直この曲ほとんど知らない。何のアルバムに入っていたんだっけか。まぁこれも、♪ウォーあいらぶゆぅじゃぺ~ん、という単純なフレーズだし、短い曲なのでなんだかんだでのれた。

こちらも定番のTHE WHOのカヴァーBaba O'Rileyが披露されて、最後の最後。また超絶テクが炸裂した。Shy Boyだ。“シャイな男の子、シャイな男の子”と叫んでいるだけの、日本語に訳すとあり得ない歌詞の曲だが、この勢いと英語の歌詞になれば一気にスーパークールな曲に変貌する。ここはシャイなボクも思いっきり大声で歌ってやった。

大盛況の内に終了し、若干FREEのMr. Bigをやってくれることも期待はしたが、客電がつき、全て終了したことを告げられる。5時過ぎにスタートして8時近くまで、3時間弱のBON JOVI並みのビックボリュームなショウだった。

今回の再結成、何度も言うが、ボクにとっては特別なものであり、期待に違わぬものであり、なにより、今後も続いていくということにとてつもなく大きい意味を感じる。それは(当時はRichieだったから)あの3人の表情が、DVDで観た解散ライヴとは明らかに違うから。そしてそこにPaulがいて、彼の笑顔も他の3人と同じくとても輝いていたから。

まだアメリカツアーは決まっていないと聞く。ビッグインジャパンでもいいじゃないか。これを分からないアメリカ人は損をしているだけだ。彼らがこの関係性を保ってくれている限り、またロックを聴き続ける楽しみが出来たのだ。ありがとうMR. BIG、そしてこれからもよろしく!

MR. BIG are : vo. Eric Martin ba. Billy Sheehan g. Paul Gilbert dr. Pat Torpey


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