後半に備え食事等をしたところで戻るとMAN WITH A MISSIONが演奏中。残念ながら後半のことを考えるとここで体力を使っている場合ではないので、何となく見つつ、次のHALESTORMのために再びVIPエリアで待機する。
HALESTORM。前半で一番楽しみにしていたバンドだ。そして彼らは期待通りのモノを見せてくれた。Black Vulturesからスタートしたライヴは、AMARANTHEの音がかなりデカかったこともあって、あまり音が大きくなかったことにちょっと拍子抜けしたが、Lzzy Haleの声は後半に行くにつれてどんどんと迫力を増していく。PVもかなりの数出してるので、彼女のビジュアル(髪型、体型)も結構変化しているだが、現在の彼女はショートの黒髪でかなり細い。そうなるとやっぱり思い起こすのはJoan Jettだよね。”女性の割りには”などという批判は全てシャットアウトさせるだけの実力をもった唯一無二の存在だと思う。それと同様に目を奪われるのがドラマーのArejay Hale。低めのドラムキットを使用し、派手なアクションでバンバンドラムをぶっ叩く姿はTommy Leeを彷彿させる。こういう魅せるドラマーってのはいいよね。そして飛び入りが”内定”していたLOVEBITESだが、そのLove Bites (So Do I)が演奏されたのは中盤あたり。そして誰が出てくるのかというのは分からなかったが、結局出てきたのはヴォーカルのasamiのみ。ハイトーンをガンガンかましていたようだけど音のバランスが悪く正直あんまり聞こえなかったんだよね。個人的にはmihoが出てきた方がいいとは思ったけど、ベースだとどうしても地味だし、コーラスで参加するってのもなかなか難しかったのかね。お互い親交は深めたのだろうけど、若干ビジネス臭がしてしまったのでイマイチだった。そんな中盤がありつつの日本盤ボーナストラックの”Tokyo”を披露して日本愛も示し(ちなみにボクはボーナストラックをやるぐらいなら他の有名曲やってよ派)、最後のI Miss The Miseryでパワフルなシャウトをかまして終了した。前日行ったヘドバンのイヴェントで編集長が話してくれたんだけど、LzzyはJUDAS PRIESTのRobに、長く続けることの秘訣を聞いていたらしい。息の長い存在であって欲しいと願うバンドのひとつだし、単独公演があったら観に行かなければいけないと改めて思った。
そしてANTHRAX。今日初めての汗かきタイムということで中央の前方に陣取った。まずスタートがPANTERAのCowboys from Hellのイントロ。以前からRonnie James DioやDimebag Dearrellへのリスペクトをステージ上でも表現する彼らだが、今回はこういう趣向できたか~、とまず唸る。。。と言いつつも以前のセットリスト見てやることは分かってたんだけどね。分かってても実際目の前でならされるこの希代の名曲のリフに興奮するなと言う方が無理だ。そしてCaught In A Moshからスタートした。毎回書いている気がするけどボクがANTHRAXで一番好きなメンバーはベースのFrank Bello。デッカい体をゆすりながらとにかく動きまくる彼のプレイに一発で虜になった。そしてそのアクションは今回もいささかも変わっていない。アーティスト自身がこれだけ全力投球のライヴをしている一方で、VIPエリアの観客に対して言いたいことはいろいろあるんだけど、まずあの姿を観て、歌を知らなくても全力の歓声で盛り上げるのはもはや義務だよ。VIPの客にはもっと歌って欲しかったし、もっと叫んで欲しかった。まあそれはさておきボクはここまで近くで観られたという興奮もあり一気に汗だくになった。Frankに限らず、このバンドのメンバーは皆よく動く。特にJoeyの気合いの入り方も今回結構目をひいた。おじいちゃんみたいな顔してるからなんか体力ないのかもとか勝手な想像をしてしまいすいません。ガンガン客を煽るし、右から左へ走りまくる。スラッシュ四天王の中で一番動くのは彼らであるのは間違いないね。選曲に関しては持ち時間でのベストヒット(+最新アルバムから)といっていいと思う。まあどうしても最新アルバムより昔の曲が聞きたいのはファン心理というもので、Among The LivingとかN.F.LとかBring The Noiseとかなかったって言い出せばキリがないが、Indiansまでの60分があっという間に過ぎていった今回のライヴは個人的には今まで観たANTHRAXのライヴの中では一番満足するものだった。
終了後水分を補給して例のルートを使ったらGHOSTに間に合った。教会のようなバックドロップがいかにもな雰囲気だ。ボクのGHOSTに対するイメージも先日のエントリーで書いているが、正直なところまだ彼らの魅力を充分に分かっていたわけではない。ただ、結論から言うと、今回のメンツの中で一番いろんなことを考えさせられたのがこのバンドで、その事実が彼らに魅せられてしまっている証拠になるだろう。まずバックを固めるネームレスグールズと呼ばれるメンバー。g.3人にba, dr.にシンセが2人ということで7人もいることにまず驚いた。全員が銀色のマスクを被っている。こういう演出はSLIPKNOT的でもあるが、フロントマンとして君臨するコピア枢機卿(でもトビアスでもどっちでもいいけどどっちかはっきりして)が絶対的な存在であるという点は違う部分である。ただ、楽器隊も充分にアピールしており、この音楽を再現するには必要なメンバーであろうことは推測できた。そしてコピア枢機卿(でもトビアスでもどっちでもいいけどどっちかはっきりして)。写真を見る限り実は結構歳いってるんであろうことは想像できるのだが、まあそんなことは関係ない。歌が特別上手いわけでもルックスがいいわけでもない。ただこの世界観を創り出しているのは間違いなく彼であり、そしてそれは他の誰にも創れない世界であることはこのライヴを観れば分かるだろう。意外だったのが、彼が結構観客とコミュニケーションを取るということ。こういうミステリアスな雰囲気なら、MC全くなしみたいな演出もありだとは思うが、彼は結構喋る、しかも英語が母国語でないせいか、ゆっくりとした喋りであり、それが逆に異世界感を際立たせていた気もする。Are you with me!!ってのを連発してたのと、Mummy Dustを紹介する時に、これはこのバンドで一番ヘヴィな曲だ。ケツをふりたくなるような。的なことを喋ったのが印象に残っている。Miasmaの最後のパートでSaxプレイヤーが登場した時は、大喜利のようなツッコミ大会だったと思うが、正直若干中だるみしそうだった中盤において、ここから一気に盛り上げてきたのは間違いない。そういう意味でも全体の構成が素晴らしかったと感じたのもこのバンドだった。最後の2曲、Dance MacabreとSquare Hammerの2曲はこれからも彼らの代名詞となるべき曲だろう。そう、GHOSTの来日が決まった当初はこの曲がどの曲か分からなかった程のボクのような人間にすらこう言わせてしまう力があるのだ。日本でどこまで人気が爆発するかは正直分からない。もしかしたらRAMMSTEINのように海外とのギャップが存在するバンドになってしまうのかも知れない。ただ、例えそうなったとしても、今回、このタイミングで彼らを観ることが出来たのは本当に貴重な経験だった。
GHOSTにすっかり魅了されたボクだったが、この日のライヴマラソンはまだまだ終わらない。お次はSUM41だ。今回のラインナップの中では浮いてしまっていることは否めないが、ボクの中では絶対に外せないバンド。。。ってのも前回のエントリーで書いてます。再びVIPエリア前方に行くもだいぶサムい。まあ仕方ないのかなあ。ということで開始時には大分埋まったようだけどね。で、SEに続いてライヴはThe Hell Songでスタート。1st~3rdまでは聴き込んでいるボクとしては馴染みのある曲が次々と登場する。前回のサマソニでの音が異様にでかかったのを記憶していたので、今回の音量も危惧していたのだが、そこまで感じず(もはや麻痺してしまっていたのかも知れないが)大丈夫だった。まあ例によってボクの周りの客があまり歌っている様子もなかったのだが、今回はそれほど人数が多くないこともあってか、歌わなければいけない義務感すら感じてしまい、覚えている限りの歌詞はシャウトしていた。曲が一番覚え易いのも彼らだしね。途中でParanoidを演奏したり、We Will Rock Youを織り交ぜたり、Eddieみたいなビニールで出来た41人形(アレ正式名称なんていうんだ?)が登場したり、サービス精神旺盛なライヴだった。正直サマソニでの復活劇があまりに鮮烈だったので今回そこまで素晴らしかったという印象はないし、やはり出番としてはもう少し前に出ていた方が流れ的には良かった気がする。とにもかくにもあのボロボロの状態から安定期に入ってくれて、どうやらニューアルバムも今年出るらしいSUM41には今後も期待しかない。で、後ろの方とか盛り上がってたのかな。よく分かりません。
もうここまでくると体力より気力の問題になってくるのだが、ここで登場あらせられるのが帝王SLAYER。そう、そして今回は最後の日本公演というプレミア付きだ。 彼らのライヴはいつもの通りだった。当然ながら超高レヴェルという意味でのいつもの通り。それでそのままいつもの通り終わっていくと思っていた。最後の最後に”あの”場面を見るまでは。 何度も書いているが、ライヴで、どんな会場でも後ろでも前でも等しく音がクリアに聞こえるバンドは他に知らない。とにかくSLAYERのライヴは音が良い。演奏曲は正直いつも通りのベストオブスレイヤーだ。ボクはGary Holt側にいたのだが、今回前方で見られたということもあり、時に余裕を見せながら、時に狂ったように頭を振ってみたりとか、曲の途中で自分のパートではない部分でギターを預けてビールを飲んだりする茶目っ気を見せたりとか、なかなか今まで見られなかった部分を見ることも出来た。たまにこっち側に来たKerry KingやTom Arayaも然り。淡々とプレイしながらもじっくり観客席を見渡して、反応を確認しているようにも見えた。 そして何よりオーディエンスがこの日一番の盛り上がりを見せた。メンバーが登場した時の地鳴りのような歓声。曲間でも常に起こるSLAYERコール。この盛り上がり他のバンドにもやってあげてよ、といいたいところではあるが、やはりしっかりしたファンベースを築いてきたSLAYERだからこその歓声であることは充分理解している。それにしてもすごい歓声だった。 そして誰もが狂喜乱舞した終盤のRaining in Blood~Chemical Warfareそして最後のAngel of Death(w/ Hannemanバックドロップ)の3連発。そうだ、こうやってSLAYERは淡々と仕事をこなしていくのだ。例えそれが最後のライヴであっても。そうしてメンバーは大歓声の中ステージをあとにした。 。。。と思っているとTom Arayaがひとり戻ってくる。そしておもむろにドラムキットに置いてあった紙を手に取り、読み上げた。
ということでとんでもない余韻を残して去って行ったSLAYER。ただまだこのフェスは終わっていない。最後に鎮座するのは重鎮JUDAS PRIESTだ。 。。。と仰々しく書き出してしまったのだが、ここまで立ちっぱなし飛びっぱなし暴れっぱなしの7時間あまりで、ボクの体力はかなり限界に来ていた。 今回近くで観られるプリーストを凄く楽しみにしていたのだけれども、メンバーが出てきても周りがそこまで盛り上がらない。サビも歌わない。でなんとも興醒めしてしまったんだよね。もっと前に行くという選択肢もあったし、自分が楽しめばいいじゃないかという意見もあるでしょう。ただ、まあ、なんというか、ヘッドライナーにしてこんな感じなってしまうってのいうのは申し訳ないやらなんやらで、気持ちが萎えたのは確か。 バンドはこの日も好調で、セットリストも前回の来日とは結構変えてきていた。ただ個人的には地味な曲が多いというか。Some Head Are Gonna RollとかKilling MachineとかSaints in HellとかBloodstoneとかRapid FireとかDevil’s Childとかね。まあでもいいじゃないの。オジーキャンセルの危機を救ってくれた彼らがこうして来日してくれたことに何より感謝しなきゃいけない。 と言いつつもさすがに体力の限界を迎えTurbo Loverで脱落、終演後の混雑を避けるために早めに2階で荷物を取り出し整理しつつ、音だけ楽しんでいた。 そして本編をPainkillerで終え、アンコール。そろそろ帰ろうかとも思ったが、オジー絡みのサプライズを期待しつつもう少し待ってみると、流れてきたのはメタルファンの永遠のアンセムThe Hellion~Electric Eye。これは前回の来日公演では聴けなかった曲だったので残っててよかったぁと思ったね。で、残り時間も少なくなってきたからか、いつもの”Breaking What?”の掛け合いもなくBreaking The Lawに突入。いくぶんテンポも上がってた気がした。そしてずん、ちゃん、ずん、ちゃんのドラムからLiving After Midnightが始まったところで会場をあとにした。
そして三つ目は今後の展望だ。これもVIPエリアでの動きしかしていなかったのでなかなか全体を見ることができなかったのだが、情報では今回2万人キャパでチケットが売り切れ、実際の会場もかなり混み合っていたとか。これはいいことだね。ただその理由が何だったのかを分析することは必要なのかも知れないね。LOUD PARKよりもロック寄りだったって言う人もいるけど、SUM41とMWAMでそれだけ集めたのかどうか不明だし、何より、だったら去年のWARPED TOURもKNOTFESTもOZZFESTももっと混んでておかしくないってことになっちゃう。LOUD PARKが昨年開催されなかったことへの反動ってのも、う~ん、どうなんだろうね。個人的にはしっくりこない。じゃあなんでなのか。多分SLAYERだったんじゃないだろうか。レポでも触れたとおり、今回のSLAYERに対する歓声は尋常ではなかった。そこにラストツアーという付加価値がのっかって更なる動員となったんじゃないかと。あくまで予想だけどね。もともとそこにオジーのラストツアーものっかってたわけで、その理由でチケット買った人も少なからずいただろう。ということは来年も成功させるとなると同様の付加価値をつけなければいけない。METALLICAかIRON MAIDENあたりを呼べるなら別だけど。そうなるとどうしてももっかいオジー、って流れになっちゃうね。RAMMSTEIN、SYSTEM OF A DOWNだったら個人的にはごっつぁんですなんだけど、日本にどこまで彼らのファンがいるのかイマイチ分かりにくい。あまりに来日から遠ざかっているからね。ただ、逆に“待望の来日”みたいな形がハマれば、今年同様の動員は期待できるのかも。あとはLOUD PARKとの共存をしていくのかって問題もあるけど、開催があるのであればもう発表してもおかしくない時期だけに、以前政則さんが言っていた”Loud Park presents”みたいな形である程度の大物の単独(+いくつかおまけバンド)で開催するのが現実的なのかも。DOWNLOAD meets LOUD PARKみたいな離れ業もあるのかな。日数とステージ数の問題に関しては、今回の1日10バンドってちょうどいいって思ったね。二日間って結構しんどいし、3ステージだと観られないバンドが多すぎる。 まあとにかく妄想はつきないけど、間違いなく言えるのは、今回みたいにとにかくまず足を運んで、会場を埋めて、主催者に「イケる」と思わせないといけない。CDも売れない、高齢化も進む、BURRN!もエコバッグをつける(これは関係ないか)、と負の要素がどんどん増えていく中で、せめてフェスやライヴだけは定期的に開催されるような国であって欲しいよね。
ということで例によってダラダラになっちゃったんでもう終わろう。今回のフェスはいろいろありつつも楽しいフェスだった。バンド、スタッフ、観客、全ての皆さんに感謝して、来年の開催も楽しみに待ちたいと思う。See ya in the pit next year!!