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いわゆる「総量規制」、つまり貸金業者は収入のない人・少ない人にはお金を貸さないようになり始めています。これによって、破産者や債務整理を要する人がこれまで以上に顕在化することになるでしょう。私も12月に入って2件破産申立てに同行しました。いずれも、生活苦のみが、多重債務となった根本の原因でした。最近の犯罪で目に付くもの、特に四国で子供まで殺された事件等の殺人事件には、必ず背景に金銭問題、特にサラ金・ヤミ金という言葉が出てきています。そこで、改めて以前紹介しました次の最高裁決定を紹介し、これを読むことで気合を入れ直して、業務を遂行していきたいと思います。最高裁判例 事件番号 昭和36(ク)101 事件名 破産者の免責決定に対する抗告についてなした棄却決定に対する再抗告 裁判年月日 昭和36年12月13日 法廷名 最高裁判所大法廷 裁判種別 決定 結果 棄却 判例集巻・号・頁 第15巻11号2803頁 原審裁判所名 東京高等裁判所 原審事件番号 原審裁判年月日 判示事項 破産法の免責規定の合憲性。 裁判要旨 破産法の免責規定は憲法第二九条に違反しない。 参照法条 憲法29条,破産法366条ノ2,破産法366条ノ9,破産法366条ノ12 全文 全文 最高裁大法廷決定 昭和36年12月13日
2007年12月16日
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司法書士といえば、売買立会業務ですが、権利証に代わる売主の本人確認手段として登記識別情報が登場したことで、売買立会もいろいろな問題が出てきていると思います。有効証明請求はその最たるものでしょう。証明書が出てくるのに時間がかかります。有効証明請求にすんなり応じてくれない売主がいたりします。改めて委任状(実印押印)と印鑑証明書を必要とすることもさることながら、登記識別情報自体を事前に渡すのを嫌がる人もいました。この登記識別情報の有効証明請求について、登記申請の代理をする司法書士が、職務上請求することを可能とする法務省の省令改正最終案が出されているらしい。早く実現してほしいものです。ところで、日司連は、8年前の平成11年11月に売買立会に関連する登記事務の実態調査をしています。権利証と保証書の時代のものです。 ↓司法書士による登記事務の実態調査報告売買立会業務の原則は、今も変わっていませんが、登記識別情報と本人確認情報の運用開始後の売買立会に関連する登記事務の実態調査を全国的に取引の円滑・安全のため、そろそろやるべきかなと思います。できれば、「第三者のためにする契約」及び「買主の地位の譲渡」の登記実務的運用についてのアンケート項目も加えてほしいものです。ちなみに、平成19年度で、すべての登記所がオンライン庁となります。これからは、不動産取引にかかわるすべての関係者の理解と協力が益々必要となってくるものと思われます。
2007年10月19日
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サラリーマン金融についての興味の湧くコラムを見つけたので紹介します。1年前のものなので、少し古いですが、こういう別の角度から、サラ金について考えてみるのも良いかもしれません。「サラリーマン金融の何が問題か」
2007年10月18日
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AB夫婦が離婚、妻Bが夫Aから、財産分与により、不動産を取得した場合、妻Bは、贈与税を支払わなければならないか?1.通常、贈与税は課税されない。2.例外1、財産分与の額が、不相当に過大であるとき その過大部分についてのみ、贈与税が課される。 例外2、仮装離婚の場合は、脱税とみなされる。財産分与をした夫Aには、どんな税金が課されるか?1.譲渡益相当分の譲渡所得税が課せられる。2.夫Aが得る利益は、現金ではなく、「財産分与義務の消滅」という経済的利益とされる。3.ただし、居住用不動産を財産分与した場合には、3000万円までは課税されない。財産分与を受けた妻Bは、どうか?1.不動産取得税が課せられる場合がある。2.夫婦共同財産の清算部分は、取得税の減免対象となる。3.慰謝料として不動産を取得した場合は、取得税が課せられる。4.夫Aの固有財産(Aの父母から相続した財産など)を財産分与した場合は、取得税が課せられる。離婚・財産分与による登記の依頼があるときに、当事者や銀行から、登記にまつわる税金の質問があります。不動産の登記は、税金に直結しているので、司法書士としても、事後の紛争予防の観点から最低限の常識的で正確な税金の知識は備えておく必要があります。詳しいことは、必ず税務署か会計事務所でご確認・ご相談下さい。
2007年10月14日
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「哲学の道」と言っても「哲学」ではなく、「道」のほうです。ふと、行きたくなりました。ずいぶん前になりますが、京都の左京区の北白川あたりに住んでいた頃、何度か歩いたことがある道です。京都にいたころは、寺まわりをしようとか思ったことはあまりなかったのですが、たまたま散歩がてら行ってみた、その景色がよかったのでしょうか、一番行きたくなるのがこの「哲学の道」です。ちょうどその日は、この道が、程よく雪化粧をしており、観光客もほとんどいなかったため、私がこの道を独り占めしていたように思い出されます。よかった。きれいだった。気分が爽快だった。無欲になれたひととき。でも、ちょぴり寒かったです。いまもあの団子屋は、あるのかなあ。京都・哲学の道案内哲学の道
2007年10月12日
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10月1日は、法の日だそうです。全国の司法書士会は、10月1日~10月31日無料法律相談会を、各地で開催しています。全国一斉司法書士法律相談全国の司法書士会一覧神奈川県の場合
2007年10月06日
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“Future is whatever you make it,so make it a good one.”「将来は自分でどんな姿にでもすることができる。 それなら、よいものにすればよい。」忘れましたが、ある映画に出てきたセリフです。わかる。先が見えなくなったときは、これです。しかし、怒りや悔しさをバネにした戦い、あるいは、粘り強い地道な精力的行動がなければ、将来を自分にとって良い姿にすることはできません。『戦略は、熱く、楽観的に』『戦術は、冷静・緻密に、かつ、行動的に』なんて、京都にいたころを思い出します。ところで、私は、人格を傷つけられた時、単にストレスになる場合と、傷つけたものに対して怒りや悔しさがこみあげてくる場合があります。これまで、後者の場合に、込み上げてくるものがキレずに、内なる秘めた力となったとき、いつも、将来が自分にとってよい方向に行った、そんな気がしています。何をきっかけに、何がどうなると、こんな感じになるのか、いまだによく自分自身のことがわかりません。感情は、時として力の源泉になることは確かなようです。しかも、「将来を自分にとってよい姿にする」力の、です。
2007年10月05日
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今なお、ヤミ金の被害にあっている市民がいます。また、ヤミ金から借りてしまって、それを返すために都(1)やサラ金から高利で借り自己破産に追い込まれる人は後を絶たないといった状況があります。サラ金も、ヤミ金被害者にハイエナの如くタカってこんな年老いた老人からどこまで搾り取るのかといったひどい実態が、ヤミ金被害者からの相談を受けて初めて分かってきます。今日も、浪費のために借金をしたとは思えない老人が面談に来ました。貸金業界のシステムを知らなかったがゆえにその無知と気の良さにつけ込まれて住居を担保に取られてしまった人です。債務者に全く非がないとまでは言えませんがあまりに無防備、隙間だらけだった、そこにつけ込まれたことは間違いないようでした。こういう人に限って、住居は絶対に手放したくないと考えて高額でも身を削って借金を払い続けようとするのですが、そもそもその返済は、可処分所得からいって無理なわけです。その結果、履行遅滞、期限の利益喪失となります。結局、サラ金業者がヤミ金に近い都(1)に債権を譲渡するとか言って、また、別のサラ金や都(1)を紹介するからそこで借りて返済しろと脅してきたという話でした。いずれにせよ、住居は手放さざるを得ない、けれども、絞りつくされてから強制的に手放させられるのか、経済更正を自分の意志で図るために、自ら積極的に手放すのかでは、今後が大きく違うと思うのです。債務者の悪い点は、現実に対する見方が甘い、メリハリがない変に真面目なところがあり、実際を隠そうとするところではないかと思います。隠そうとするからヤミ金の誘いに乗りやすくなるわけです。放っておくことは、「悪」と考えてください。。「とりあえず何とかなる」を積み重ねてはダメという自覚を一時の激痛は伴ったとしても、持ってもらいたいと思います。貸金業規制法は改正されましたが、これが改正されたからといってこれらの温床が消えてなくなるわけではありません。その温床の大きな一つである社会の格差拡大、低所得者層の増大・高齢化は逆にどんどん進んでいくと思われます。これも何とかしなきゃなりませんね。最近、ヤミ金被害者とその被害の後遺症がある市民の相談が立て続けにあったので、私も認識を新たにした次第です。参考までに興味ある方は下記書籍を参考にしてください。お薦めいたします。クレサラ・ヤミ金事件処理の手引き民事法研究会 日本司法書士会連合会 消費者問題対策推進委員会
2007年10月02日
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今日は、当事務所にとって、歴史的な1日でした。これまで何十年間も金融機関と不動産会社とのトライアングル業務路線をひた走ってきた当事務所に、市民からの簡易法律相談窓口を開設する糸口を作ることができたのです。それは、「簡易法律相談受付票」をこの事務所で初めて準備することができたことです。都会の売買立会決済事務所で、定型的な法律相談業務を行うところは稀です。なぜなら、一般の依頼者は、このような事務所にとっては、お金にならない、お客の質が悪い、仕事が多岐にわたり効率が悪いと考えられているからでしょう。市役所や消費者センターからの紹介、司法書士会や総合相談センターからの紹介で当事務所に電話をかけてくる市民の方々に、やっと誠実に対応できる糸口が私の事務所にも今日できたのです。ある意味、こんなことを書くのは、非常に恥ずかしいことではあるのですが、この1年半の努力がやっとここまで実を結ぶようになったかと思うと嬉しくてたまりません。まだまだ課題はたくさんあり、単なる糸口にしかすぎないのですが、ただただ、今日は、「やったー」「やればできるじゃん」と叫びたい。
2007年10月01日
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戸籍実務六法出版 日本加除出版わかりやすさとボリュームがある割りには、値段が安い。来年改正戸籍法施行なので、平成20年度版まで待つか。まだ、戸籍・除籍・原戸籍謄本を見ても分らない語句は多いのでほしい1冊。後見六法出版 民事法研究会 編集 成年後見センター・リーガルサポート最近、銀行経由で、任意後見契約の相談が増えてきた感がある。司法書士がこの分野で相談を受けて、あいまいな回答をしているようじゃ話にならないでしょ。恥ずかしながら、話にならない人の一人ですから。消費者六法民事法研究会 編集代表 甲斐道太郎 清水誠これは、簡易法律相談の多くが、多重債務問題や悪徳商法被害など消費者問題であることからしても、欠かせない1冊だと思うのですが、普通の六法で間に合せてしまっている現状をなんとかせねば。
2007年10月01日
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新版 商業登記・法人登記 添付書類全集編集 登記手続研究会 代表 立花宣男 出版 新日本法規依頼を受けた場合に、正確に、電話での依頼に即答するためには、手元にその裏付けとなる資料が必要となります。特にレアケースの場合。添付書類一覧表を作成する資料として購入を検討中です。ただし、代表の立花氏の他の著書で「訂正」が何度かあり、その訂正に対する詫びと説明がなかったことが個人的には資料として多少不安が残ります。価格も少し高いか。が、このコンセプトは非常によい。新不動産登記法1発即答 800問出版 日本加除出版最近の実務的取扱い・運用事例が豊富なのと、「長々とした説明は一切カット。一目で答えがわかります。」というのが良い。ただし、残念ながら訂正が入っているのが少々気にかかります。が、ちゃんと訂正していることは評価できますし、参考には十分なります。
2007年09月30日
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平成19年度の司法書士試験の筆記試験の合格発表が9月26日にありました。合格された方には、頭も体も実務への転換を、首尾よく計っていかれることをお勧めします。その一歩として口述試験を活用するという心構えでよいと思います。不安な人は、技術的には過去問をさらっとやって、ある程度狙いを定めたところを繰り返しやっておくということでしょうか。試験官は、結構、手を差し伸べてくれますし、こっちが突っ込みを入れる場面も十分ありますよ。来年受験しようと考えている方には、実務の荒波を乗り越えられる基礎・基本・原則を深く広く身につけて頂きたいと思います。試験のレベルでは、最初から最後まで基礎固めでしょう。安易に「私は、基礎編は完ぺきです。」なんていう考えは捨てましょう。基礎が大きく膨らんで「合格」するというイメージです。(もう少し言えば、その膨らませ方も大事です。最初は3面体?、そして、4面体、・・・12面体と、最後は円に近付けるような内容豊富な基礎造りというイメージで)また、受験期間を通じて、自分の頭で考える力を身につけることです。この力がなく、ほかの人が教えてくれるのを口を開けて待っているのでは、司法書士業はできないと思います。だから基礎固め深く広くの方法論はご自分で!最後に、みんなが軽視している司法書士法(と司法書士倫理)が、意外と大切だということを私は言いたいですね。つまり、そこには、何のために受験しているのかを常に立ち止まって考える原点・基準があると思うからです。司法書士法3条をお読みいただいて、本当に自分がやりたい仕事は、ここに書かれてあることなのか否かをぜひ、考えてください。試験で1問しか出ないという次元の話ではありません。司法書士倫理は、受験生には馴染みがないと思いますが、専門家となるには欠かせないものですから、個人的には受験生にぜひ読んでほしいと思っています。そして、この職業倫理を持った専門家になりたいのか否か自問して見てください。ちなみに倫理を身につけていくことは、「得」です。司法書士倫理 第1章 綱 領 (使命の自覚)第1条 司法書士は、その使命が、国民の権利の擁護と公正な社会の実現にあることを自覚し、その達成に努める。(信義誠実)第2条 司法書士は、信義に基づき、公正かつ誠実に職務を行う。(品位の保持)第3条 司法書士は、常に人格の陶冶を図り、教養を高め品位の保持に努める。(法令等の精通)第4条 司法書士は、法令及び実務に精通する。(自由独立)第5条 司法書士は、職務を行うにあたっては、職責を自覚し、自由かつ独立の立場を保持する。 (司法制度への寄与)第6条 司法書士は、国民に信頼され、国民が利用しやすい司法制度の発展に寄与する。(公益的活動)第7条 司法書士は、公益的な活動に努め、公共の利益の実現、社会秩序の維持及び法制度の改善に貢献する。 早いもので、私が合格してから2年が経ちます。2年間経って、果たして何がどれぐらいできるようになったのかまた、なにが足らないのかを、2年前の初心を忘れず、整理し総括し、新たに方針を出す時期が来ていると思っております。司法書士法3条には、「司法書士は、この法律の定めるところにより、他人の依頼を受けて、次に掲げる事務を行うことを業とする。」以下、登記・供託・裁判書類作成、簡裁代理業務、相談業務などが業とすべき事務の内容として出てくるのですが、以下の点について、私自身の課題があると考えております。1.「他人の依頼を受けて」⇒ 代理人という仕事、依頼を受けるための正当な努力等について2.「次に掲げる事務」 ⇒ 業務の内容および「事務」自体について3.「業とする。」 ⇒ 継続して専門家として仕事をしていくことについてさて、今日は、初めて、交通事故訴訟の被告になった女性から、地裁に提出する答弁書の作成の依頼がありました。明日、面談してみないと事情はさっぱりわかりません。どっちに非が大きいのかさえ。弁護士には依頼をしないと言っているので、本人訴訟の支援となるかもしれません。
2007年09月28日
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先日紹介しました日司連が、「多重債務問題相談支援ツール」を作成し、無償にてダウンロードを開始しました。市区町村の相談窓口担当者向けではありますが、身の回りで多重債務問題を抱えて困っている人がいる方、参考にしてみてください。なかなか出来は良く、分かりやすいと思います。日司連「多重債務問題相談支援ツール」ちなみに、金融庁の相談マニュアルも紹介しておきます。金融庁「多重債務者相談マニュアル」
2007年09月27日
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『月報司法書士』という業務雑誌があります。日本司法書士会連合会(日司連)が発行しています。日弁連は有名ですが、日司連は市民の間では無名に近いですね。これまでの社会的活動の実績の違いと広報力の違いでしょうか。弁護士は、 日弁連。司法書士は、日司連。と覚えていただければ、幸いです。ところで、今月の月報司法書士に、日司連の新会長の佐藤純通氏の挨拶が載っており、「司法書士は、支援型法律家を目指す。」と語っています。単純ではない問題があるにせよ、結構なことだと、私は、共感しています。そして、支援型法律家を目指すにあたって、私がいま注目している裁判があります。東京地裁が、計画的に、自己破産の本人申立を完全排除。東京で自己破産をしようと思えば、弁護士に頼むしかない。破産者本人が自分で申し立てることが不可能という地方では考えられない奇異な運用が、慣習化されていることに、抗議の一矢を放った裁判です。ぜひ、注目と応援を! ↓国家賠償請求訴訟の訴状等東京地裁破産部の運用に対する抗議と改善要求
2007年09月25日
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「あなたにもできる!本当に困った人のための生活保護申請マニュアル」同文舘出版 湯浅誠著 そろそろ、これまでの「生活保護」に対するイメージを転換すべき時代になってきているのではないでしょうか?ほんの一部の事実に対する誇張報道や伝聞に頼らず、生活保護申請の現場が実際どうなっているのかを知るきっかけを、この本は、与えてくれました。現在、預貯金が全くない世帯が、22%あります。明日は我が身です。この問題も、年金問題と同じく厚生労働省にまつわる社会的弱者に関するものです。最近、厚生労働省という国民の生活をつかさどる役所の問題が、大きく取りざたされるようになっています。このことは、我が国の社会保障制度が、これまでいかに軽視され、手抜きされてきたかを物語っているのではないでしょうか?格差社会・低所得者と高齢者の増大の中で、ちゃんと生存権の問題に向き合う時が来ているのでは?一部大金持ちがキラメク社会を作って日本に将来はあるのでしょうか?なんて考えてしまいました。憲法25条1項すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。2項国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び増進に努めなければならない。
2007年09月24日
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私は、多重債務者問題の大きな原因が低所得者層の増大と高齢化社会にあると考えています。その意味で、セーフティネットづくりは急務です。下記資料は、大変参考になります。日弁連上限金利引き下げ実現本部 本部長代行 宇都宮健児氏の提出資料
2007年09月24日
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破産法253条1項柱書前段免責許可の決定が確定したときは、・・・、破産債権について、その責任を免れる。簡単にいえば、サラ金の借金は返さなくてよくなるということ。憲法29条1項財産権は、これを侵してはならない。以前、破産の免責制度が、憲法29条に反しないか争われたことがあります。現在では、消費者個人破産の場合、多重債務者が誠実に経済的に立ち直るために、貸金業者等の財産権を制限することは、合理的で、憲法上ゆるされることが確立しています。下記裁判例において、債務者の「免責は債権者にとっても最悪の事態をさける」ことになるとし、「公共の福祉のため憲法上許された必要かつ合理的な財産権の制限」であるとしています。最高裁大法廷決定 昭和36年12月13日
2007年09月24日
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21条1項6号 (貸金業の規制等に関する法律)21条(取立て行為の規制)1項貸金業を営む者又は貸金業を営む者その他の者から委託を受けた者は、貸付けの契約に基づく債権の取立てに当たって、人を威迫し又は次の各号に掲げる言動その他の人の私生活若しくは業務の平穏を害するような言動により、その者を困惑させてはならない。6号債務者等が、貸付けの契約に基づく債権に係る債務の処理を弁護士若しくは弁護士法人若しくは司法書士若しくは司法書士法人(以下、「弁護士等」という。)に委託し、またはその処理のため必要な裁判所における民事事件に関する手続きを取り、弁護士等又は裁判所から書面によりその旨の通知があった場合において、正当な理由がないのに、債務者等に対し、電話をかけ、電報を送達し、若しくはファクシミリ装置を用いて送信し、又は訪問する方法により、当該債務を弁済することを要求し、これに対し債務者等から直接請求しないよう求められたにもかかわらず、更にこれらの方法で当該債務を弁済することを要求すること。この条文は、受任通知後の取立て禁止を定めていると解されています。つまり、多重債務者が司法書士に債務整理を依頼すれば、貸金業者は債務者に直接取り立てることが禁止されることになっています。ここに示された「取立て方法」は例示列挙で、債務者を困惑させるものなら、これ以外のものも取立て行為に該当します。それでも取立てることができる「正当な理由」とは、原則、司法書士が許可した場合とか司法書士が辞任した場合です。このルールをいまだに守らない業者が、現実問題としております。私も、この件の訴訟を、同期の友人に協力して頂き担当しています。ちなみに、この21条1項6号に違反した業者は、「2年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。」(貸金業法47条の2)と刑罰が科されます。
2007年09月24日
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『トヨタ式最強の経営』(日経ビジネス人文庫)より、変革型人間と試験問題との関連で、面白い記述があったので以下引用させてもらいます。P217~219「人には大きく分けて三つのタイプがあるように思える。例えば試験問題を解く場合に、仮にその設問が悪問だったとしよう。第1番目のタイプは悪問だということにまっすぐに反応して、解答を書くことは放っておいて、これがいかに悪問であるか、どうしてこのような問題を出したのかを解答欄に書くようなタイプである。とりあえずわかりやすいタイプであるが、日本の旧来の組織のなかではあまり成功しないタイプでもある。二つ目のタイプは、悪問だと感じつつもそれは横に置いておいて、解答は点がもらえるようにきちんと書こうとする。こういうタイプがいちばん多いし一般的である。三つ目のタイプは、悪問であること自体に気がつかない人たちである。この人たちは与えられたことに文句を言わずに従うという姿勢が深く根づいているのだ。悪問であるなどと考えること自体が不謹慎だと思う精神構造がそこにはある。ただ二つ目のタイプの人間もいつもとりあえず横に置いておくという姿勢を続けていると、いつのまにか三つ目のタイプに変身してしまう。見分けるのが難しいのがこの二つ目のタイプと三つ目のタイプなのだ。いずれにせよ、当たり前のことを当たり前に「おかしい」と考え続ける能力を退化させていないことが、全体的に物事を見る能力を失っていない人たちのいちばんの条件と言うことができるように思う。ただ先にも書いたが、問題を感じる感受能力が強く行動力があり、何にでも疑問を持ったらすぐ行動する一つ目のタイプの人間は、現実の世の中ではいろいろなところでぶつかってしまってなかなか成功しない。しかも多くの場合、何度も失敗しているうちにしだいに用心深さをみにつけて、自分を抑える力だけが強くなっている。しかし、そういう性向を持った人が、もしまだエネルギーを失っていなければ、特に変革の初期の段階では非常に重要な役割を果たすことが多いのだ。変革型の人間というのは別の言葉で言えば、目に見えている制約条件に過剰にとらわれずに物事の本質に目を向けることのできる人たちなのだが、その根底にあるエネルギーはおかしいことはおかしいと感じる『思い』の強さである。現状をなんとかよりよい方向に持っていきたいという強い『思い』と『情熱』が、第1番目のタイプにしても二番目のタイプにしても、変革型の人間のまずは第一の条件なのだ。」どうでしょう。試験で法務省の悪問に戸惑った経験は、私もありました。また実務でも法務局や裁判所に理不尽な対応を受けた経験もあります。お客の節度のない依頼もありますし、「おかしい」ことは事務所内にもあります。私自身は以前はずっと1のタイプでしたが、書士試験を通じて、2のタイプになったような気がします。とにかく、この本は、「管理型の人間」ではなく、「変革型の人間」でありたい、そのような「変革型の人間」を育成する土壌を作る人間でありたいという思いを抱かせてくれた一冊となりました。右肩上がり思考の方や、管理型の人にはぜひ読んでみてもらいたいですね。ついでに安倍さんにも。
2007年08月05日
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『トヨタ式最強の経営』「なぜトヨタは変わり続けるのか」(日経ビジネス人文庫)トヨタの強さの秘密は、「変革型の人間」の育成にあるらしい。この本、自体は筆者の考えを述べる部分が多く、やや抽象論が冗長なのが良くない。しかし、トヨタの経営を知る入門書として、また他の経営との違いについて、学ぶべきところはある。「変革型の人間」の定義1.自分の頭で考え、2.自分で何が問題かを見つけ出し、3.その問題を解決するにはどうすればいいか、を考えて行動する、という、人が人としてなすべきごく当たり前のことができる人間「つまり、自分の頭を最大限フルに活用し、自分の足で動き回り、自分の目で確認し、何が本当の問題なのかを徹底的に考え、判断するというごく当たり前の人間らしい人間」
2007年08月05日
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昨日、国土地理院から測量士補試験の合格発表がありました。何とか無事合格し、ほっと一息です。合格率24%でしたので、例年より問題が易しかったのでしょう。これは、私の受験した実感と合致しています。しかし、28問中18問の正解で合格のところ、私は24問正解しているのでまぐれではありません。ところで、今回の試験で収穫したものは、大きかったと思います。自分なりにハードに実務をやりながら、短期間ではありましたが、畑違いの勉強を最後までやりきることができたという自信を得たことと、自分が立てた受験勉強の「方針」が正しかったということを検証できたことです。もちろん、予備校は一切使っていませんので、使ったお金は、過去問集と参考書各1冊、そして受験料と交通費合わせて、1万5千円くらいの出費で済んだことも良かったと思います。かつ、調査士事務所でもある現在の職場において、人間関係の発展・改善の道具をひとつ手に入れたことにもなりますし、表示登記特に土地の表示登記の学習にとって追い風となりました。そして、そのことが顧客開拓につながっていくことと思います。
2007年07月21日
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何かを試みたときに大切なこととして、「総括力」と「方針力」というのがあるのではないでしょうか。これは、固定的・絶対的なものではなく、各人が悩みながら無意識的あるいは意識的に身に着けていく性質をもっていますが、何かを意識的に試みるときに、これが大切であるということは確実に言えると思います。私にとって、これは永遠のテーマです。いま私は、表示登記の学習をやっています。平成18年・平成17年・平成16年の土地家屋調査士試験の択一過去問がやっと終わりました。正解率ですが、平成18年が出題20問中11問、平成17年が12問、平成16年が15問です。記述式が採点されるための基準点が、択一14問の正解と聞いていますので、合格レベルは16問以上かなと想定しています。過去問でこの正解率では表示登記の知識が十分あるとは言えないことは明らかです。しかし、最初に、平成18年、次に平成17年、そして最近平成16年と解きましたので、11→12→15と正解数は増えています。これは、何なのか?これをどう捉えるのか?つまり、「総括」です。私は、これを「少しは知識が定着をし始めた結果、正解率が向上した。これまでの『方針』は、ほぼ正しかった。」と総括しています。この「総括」に基づいて次に進むための「方針」を決定します。この総括は絶対的に正しいとは限りません。これが本当に正しかったかどうかは、これから検証されていくことになります。あのときの「総括」は正しかったとか、誤りであったとか、また非常に不十分であったとか、後で分かります。けれども、何かに取り組んだら、「総括」はすべきです。「現段階では何ともいえない。総括をする材料が少なすぎる。」というのも、ひとつの「総括」です。この場合「方針」は、「材料を増やすために、○○をやってみよう」ということになります。私は、「総括」というのは、きっちり割り切れるものでもなく、完全なものではないと考えています。逆にそこに「完全」を求めようとすることは、誤った「方針」に直通していると言えるでしょう。あることを行った結果を「総括」することは、動きのある連続的なものを、また過程を、ある断面でバッサリ切ることでもあるので、上記の完全主義の傾向は当然あるものだと注意しておくことが必要です。知らない間にその傾向に陥っていますので。話は戻りますが、「総括」が大切であると私が考えるのは、そのことが自分に「判断」を迫り、何とか現段階でのまとめをしてみようとするために、「整理」や「分析」が必要となり、それをまとめ上げようとする「思考力」が養成されていくことにあります。つまり、「総括」の急所は、「判断力」と「思考力」の養成であり、そのことを通じて「目的」を達成していくための「方針」を出していくことです。「総括」と「方針」は一体のもので、「総括」が出せれば「方針」は自ずと出てくることが多いと思います。ただし、「方針」に特有のものとして「決断力」「行動力」というのがあるように思います。私は、1年度の過去問を解くごとに立ち止まって、その都度、自分に足りない点は何か、それを克服するために何をやるかという「方針」を決めてから、次の1年度分の過去問を解くという「方針」で取り組んでいます。細かい具体的内容は省略し、別の機会に譲ります。この「方針」は、私個人の司法書士試験と測量士補試験の「総括」に基づいて、また、私の調査士試験の分析に基づいて、「この最近3年の過去問が重要および過去問は最大で10年分やれば十分」との「判断」に基づいて出したものです。これはまちがっているかもしれませんし、表示登記を学習している他のかたとは、意見が違うかもしれません。それでいいのです。自分が出した「方針」は、自分が責任を負うわけで、その楽しさも苦しみも自分が味わうわけですから。大事なのは、「総括」と「方針」の策定にもとづく「判断力」「思考力」「決断力」「行動力」の養成です。このことは、仕事の上でも役に立つのではないでしょうか。私は、ある銀行の仕事が費用対効果に見合わなかったので、仕事の単価の値上げをしました。時間と労力ばかり取られて、債務整理等他の仕事が進められない事態を「総括」してのことです。将来の見通し、収入の問題と業務・職責の問題、事務所の仕事の割り振り・人間関係で相当悩んだ末のこの「方針」を事務所に提案したばかりです。まだ他にも問題は山積みですが。実務は、やったことのない問題ばかり次々と生じますし、試験の場合もこれまで見たこともない問題が出題される場合があります。生活をかけて受験勉強をする場合は、実務と同じく「重い」ですね。私はこの重圧をはねのける方法を、「総括力」「方針力」を身に付けていくこと以外知りません。
2007年07月15日
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司法書士だって、司法試験の民法の論文過去問集はやっている。弁護士になる気は毛頭ない。認定司法書士には、140万円以下の民事紛争に対する法律相談権がある。司法書士の業務の軸は、登記業務だ。私は登記業務に軸足を置いていない司法書士は浮ついていて好きではない。また脆いと考えている。しかし都会では登記業務は一部の事務所に集中する傾向があるのも事実。だからといって、軸足をほかに移すのは司法書士ではない。登記業務をほとんどやっていない司法書士ほど弁護士の動きを気にする。そんな人は、あっちに行ってくれといつも言いたくなる。一方で登記業務で儲けているため、そこに安住している主のような司法書士もいる。このような人たちは、訴訟とか成年後見とかをやらない。債務整理業務を毛嫌いしている。そういう法律相談が来るとすぐ厄介払いをするかのように、ほかの事務所に依頼者をたらい回しする連中だ。経営のみに努力し、そのほかの努力を怠っているように見える。私から言わせれば、腐敗していくしかない人たち、である。あくまで軸足は登記業務。しかし、そこに安住しない。司法書士として与えられた業務・職責を最大限果たす。その与えられた業務のひとつに法律相談業務(140万円以下)がある。訴額による境界・限界があるとはいえ、法律相談で必要とされる素養はほとんど同じだ。つまり、法的思考力やリーガルカウンセリングの技術は、訴額に関係なく問われるわけである。司法試験論文過去問集は、ひとつの道具。暇があれば解いている。民法の基本書を平読みするよりも、断然実務に役に立つと思う。今後もっと良い道具が見つかれば、それをやりたい。要件事実論の実務的に良いネタは、日常的に業務の中にある。司法書士事務所に相談に来る地域の人は結構いるものだ。的確な例とは言えないかもしれないが参考までに引用してみる。平成14年度第2問「Aは、20歳の息子Bが資産もないのに無職でいることに日ごろから小言を言っていたところ、BがCから500万円の借金をしていることを知り、その借金を返済してやりたいと考えた。しかし、Bは、『親の世話になりたくない。』と言って、これを拒否している。AがBの上記債務を消滅させてやるためには、いかなる法律的方法があるか、AC間に新たな合意を必要としない場合と必要とする場合に分けて論ぜよ。」無きにしも非ずの設例で、親と子、夫と妻などの肉親間および債権債務の法律関係は、実務上も結構あるのではないか。事実、これに相続が絡む事案の相談が、うちの事務所にも何度かあった。
2007年07月10日
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私は、実務経験の浅い仲間が参加する勉強会に、月1回参加させてもらっています。これがすごくためになります。自分たちが実際に経験した実務を素材に勉強するので、自分自身の即戦力になるわけです。同じように実務経験が浅いといっても、事務所によって経験する実務が結構違います。不動産登記ひとつとっても、各人でやっている経験が違います。多数の浅い経験者の実務経験が集まり総合されると、刺激と矛盾を伴いながら、大きな力を形成していくと、私は空想したりします。また、実務経験のスピード化をはかっているのは間違いないと思い込んでもいます。しかし、これは私が勝手に思っていることで、ほかの仲間がどう考えているのかは分かりません。それぞれにとってプラスとなればそれだけでいいと思います。抽象的な話になってしまって申し訳ないですが、体験に基づく勉強は、身につきますよ。ほんとに。同期は、たいてい実務に対してみんな同じような感覚をもっているので、同期の経験は、自分が体験したのに近く、非常に理解しやすいと感じます。ただ、勉強会を終えて、実務に戻ったら、みんな真剣勝負で、孤独な戦いは避けて通れないという現実が待っています。ほかの人に頼らずに、自分で、自分だけで判断しなければならない局面、修羅場があることは事実でしょう。そういった自分の判断が問われた実務経験があるからこそ、それを素材にする勉強会は、すごくためになるわけです。また同期の仲間のすばらしさ、感じます。一方で、この勉強会は、テーマを絞り込んでガチガチにやっているわけではありません。その意味では非常に気が楽です。勉強会の後は、飲みに行ったりしています。今日は、いま参加させてもらっている同期の勉強会について、思いつくまま書いてみました。
2007年07月09日
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司法書士の職名を、韓国の影響を受けての「法務士」や「司法士」に変えようという動きがありますが、私は反対です。司法制度改革の中で、市民から司法書士が求められているものは、「名より実」つまり「量より質」であると思います。名前を変えることで、存在をアピールするというのは、本末転倒だからです。司法制度改革の中での主眼が、「弁護士の量と市場競争」であるからこそ、業務にズレがあるとはいえ、今は、司法書士にとってその「質」をアピールしていくチャンスの時期と、私は捉えています。司法修習生の2回試験での不合格者が、100人を超えるという司法試験合格者の明らかな質の低下を示す事実がすでに発生していると聞いています。また、質低下に備えてそれから発生する事態への対策を指南する書籍類が、すでに本屋に出回り始めています。司法書士にとって当面大切だと思うのは、当たり前のことかもしれませんが、不動産・商業登記・裁判所提出書類の作成・供託・成年後見及びこれらの相談業務を、認定司法書士の場合、140万円以下の民事紛争の代理業務・債務整理業務及びこれらの法律相談業務、そしてADR業務を、「しっかりと」「確実・着実・正確」におこなって、市民の信頼を勝ち取っていくこと、この業務の範囲内で、より高品質の法的サービスの提供を行っていくこと、これを極めていくことです。それが実際にはまだまだ十分できていない。その意味でも、司法書士にとって、いまは、「量より質」が大切だと思うです。先週、地元書士会の支部の会合に初めて参加して、私のこの考えは正しいとの確信をより強めた次第です。最後に、どうでもよい職名変更の件ですが、「法務士」は法務局の仕事しかしていない感じだし、法務省の回し者みたいで独立性を感じられないので的確ではないと思います。「司法士」は、裁判所関係の仕事しかしていないイメージで的確ではないですね。そんなこと考えている暇があったら、業務を充実させるために頭と体を使うべきです。広報活動は、業務の中身と実際の活動を宣伝したほうが良いと考えます。
2007年07月08日
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平成16年第4問 土地の分筆 正しいものの組み合わせは?ア 要役地地役権の登記がされている土地について分筆の登記がされた場合には、承役地についてする地役権設定の登記の登記事項に変更が生じるので、登記官は、職権で当該変更に係る登記をする。イ 所有権について処分禁止の仮処分の登記がされている甲地を分筆して甲地及び乙地とする分筆の登記を申請する場合において、申請情報と併せて仮処分債権者が甲地について権利の消滅を承諾したこと証する情報を提供したときは、登記官は、甲地の登記記録に処分禁止の仮処分の登記が消滅した旨を付記して当該登記を抹消する。ウ 根抵当権設定の仮登記がある土地の分筆の登記をする場合において、分筆後の数筆の土地にその権利が存続するときは、登記官は共同担保目録を作成しなければならない。エ 一筆の土地の一部を売買により取得した者は、売主がその所有権移転登記をする前提としての土地の分筆の登記を申請しない場合には、所有権移転登記請求権を保全するため、債権者代位により当該土地の分筆の登記を申請することができる。オ 甲地の一部を分筆して乙地に合筆する分合筆の登記を書面で申請する場合には、申請情報を記載した書面に乙地の所有権の登記名義人の印鑑証明書を添付しなければならない。1 アイ 2 アエ 3 イウ 4 ウオ 5 エオ分筆とは、一筆の土地を2筆以上に分けて、地番を新たに付けて登記記録を別に起こすことで、取引対象にできる土地の数を増やすことと理解していいかな?早速解いてみます。まず、確実にわかる肢を切ります。それは、ウです。ウは、誤っている肢、すなわち、×です。理由は、共同根抵当権設定の仮登記はできないから。(なぜできないか?の説明は省略しますが、お客様に説明を求められたら、分かりやすく説明できるようにするべきでしょう。)司法書士試験の受験生ならイロハです。で、こうなります。1 アイ 2 アエ 3 イウ 4 ウオ 5 エオ司法書士試験の勉強をしたことがあるという立場から言いますと、次に比較的確実に分かる肢は、エです。債権者代位権の転用の問題、被保全債権の問題は耳たこですから。買主はこれができないとどうなるか。また通常の売買契約書には、売主の所有権移転登記申請義務が明記されているところから考えても、買主にこの権利を認めるべきでしょう。つまり、エは正しい肢です。○です。で、こうなります。1 アイ 2 アエ 3 イウ 4 ウオ 5 エオさて、残ったのはアとオですが、実務上優先的に押さえておかなければいけないのは、オであると考えます。ただし、分筆の登記について聞くと言いながら、その実「合筆」の登記の論点を聞いているといういやらしさはありますね。というのも、お客様に依頼を受けたときに即答できなきゃ仕事にならないものとして、添付書類があります。何を用意していただかなきゃならないのか、これはすごく大切だと思います。特に権利か表示かを問わず重要なのは、印鑑証明書の添付の要否だと思います。またオの肢の重要性は、分筆登記と合筆登記の違いが理解できているかをも問うています。ちなみに、分筆登記の申請で印鑑証明書の添付は要りません。土地の物理的現況に変化はなく、かつ、表題部所有者または所有権登記名義人に変化はないからです。また、分筆登記の場合、現在、登記識別情報が通知されることにはなっていません。この点については、いろいろと問題が指摘されていますが。合筆の場合には、登記識別情報が通知されることになります。しかし、権利の登記のような権利者義務者の共同申請の構造になっていませんし、また、他人の土地を不法に合筆して、その登記識別情報を取得する場合があり得ます。そこで、所有権登記名義人がまさに合筆の登記申請をしたことを担保するために、従前の土地の登記識別情報の提供と印鑑証明書の添付を要求しているとされています。別の観点から見れば、オの肢は、条文問題でもあります。つまり、不動産登記令16条、そして不動産登記規則48条1項5号の反対解釈で規則47条3号イ(5)に明文で、印鑑証明書の添付を要する場合として、「合筆の登記」があげられております。ということで、オの肢は、分からないでは済まされない絶対に押さえるべき肢で、正しい肢です。私は、オの肢がこの問題の急所であると考えています。そして答えは、5ということになりました。ので、私は次の問題に進みました。1 アイ 2 アエ 3 イウ 4 ウオ 5 エオ蛇足で、アですが、解答後解説を読んだら、これもそう難しい論点ではなかったようです。私は瞬時に即答できなかったので、「私が知らない問題」として処理をし、考えず、無視した次第です。地役権設定の登記申請は、承役地についてするのか、要役地についてするのかが分かれば、その登記事項に変更が生じたときに申請が必要なのか不要なのか分かるという構造のようです。要役地が分筆されたら、承役地につき変更登記が必要で、承役地が分筆されたら、要役地の変更登記は設定のときと同じく職権でされるそうです。イは、実際には解いていませんが、抵当権者等と裁判所絡みの債権者とでは承諾書が出せるか出せないかに違いが出ると押さえておけばよいようです。司法書士試験で択一9割取れた私でも、調査士試験の択一の過去問を解いて正解は20問中12問くらいです。しかも民法と調査士法併せて4問全問正解ですから、表示登記の問題が5割しかできていません。表示の登記は、やはり権利の登記とは、別物であるということを実感しました。その意味では、これから調査士の勉強を始める人とそんなに差はないと思います。合格レベルの知識を得て実務に役立たせるには時間はそれなりに掛かりそうです。でも結構楽しいかな。
2007年07月08日
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司法書士だからといって、全部事項証明書の表題部に書かれてあることの意味、つまり、不動産の物理的現況やその変化の取引上の重要性が分かりませんでは、話にならないので、表示登記の勉強を始めることにしました。調査士試験17年・18年の択一各20問をやってみて、民法3問・調査士法1問を除く、表示登記に関する出題16問を大まかに分析してみました。その結果、私は、そのほとんどが不動産登記法・登記規則・準則の条文をベースにした出題であると判断しました。そこで、回り道はせず、調査士の過去問を活用しつつ、条文の意味を理解することに重点を置き、実務上問われる問題に関しては「月刊登記情報」を活用するという方法でとりあえず、表示登記の学習を開始することに決めました。司法書士でも一定の表示登記は、一定の条件の下、申請することができるので、調査士資格の取得を現段階では躊躇しています。実際の問題としては、図面の作成まで手が回らないということはあります。調査士試験は記述式(図面も含めた書式)問題の比重がかなり高いのです。また、調査士の土地測量分野の事務所への負担がかなり大きいというネックをどう解決するのかという問題もあります。しかし、開業の準備(司法書士業務をどのように充実させるか)との兼ね合いでプラスになると判断できれば調査士資格も取得し、不動産登記全般の専門家としての地位を地域の中で確立したいとの考えもあります。司法書士が業者から仕事を依頼される場合に、よく取っ掛かりの表示登記部分で躓くことが多いそうです。とりあえず、当面は、それをなくすことを目的に表示登記の学習を進めていきたいのです。そこで、まず、新法になって、これまでの先例の多くが、準則に集約されていると見て、準則から始めることにしようと思います。
2007年07月01日
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さまざまな思い、環境、状態、年齢のもと、今日最後まで戦われたことと思います。試験の感触はどうあれ、これまで頑張ってきた自分をまずは、ほめてあげてください。そして、今日はゆっくりお休みください。お疲れ様でした。
2007年07月01日
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前回紹介した平成19年2月13日最高裁判決以来、基本契約が明確にあるにもかかわらず、一度完済が行われた場合に、個別・別個契約を主張する業者が増えている。平成19年2月13日の判決は、明確に基本契約がある場合には第一貸付に基づく過払い分は、第二貸付に基づく債務に当然に充当される旨を再確認している。このサラ金業者側の態度は、平成19年2月13日判決を曲解した暴挙である。このことは、いまだに、あの手この手を使って、利息制限法適用に対する脱法行為を公然と行っていることを意味する。断じて許してはならない。以下、兵庫県弁護士会判例検索システムより平成19年2月13日判決直後に出された判例を紹介させていただきます。●070322 山口地裁周南支部 CFJ 完済後再貸付一連充当●山口地裁周南支部 平成18年(ワ)第156号 不当利得返還請求事件(平成19年3月22日言渡) ●裁判官 井田宏 ●代理人 橋野ほか●要旨 ●担当弁護士のコメント ◎ 平成19年2月13日最高裁判決後に結審した事案。 ◎ CFJとの間で第1取引完済後,293日後に第2取引を,更に第2取引完済後,452日後に第3取引を開始した事案。なお,契約番号は同一だが、第1取引と第2,3取引とは別の支店で契約。 ◎ CFJ は右各取引を別個のものとして第1取引で生じた過払金返還請求権は時効消滅し,第2取引で生じた過払金請求権と第3取引の貸金返還請求権とは相殺すると主張。◎ 判決は,「本件各取引は,いずれも,当事者間において継続的に貸付が繰り返されることを予定した基本契約が締結され,これに基づき,継続的に貸付が繰り返されたものである」「前の貸付けの際にはその後の貸付が想定されていた」として,前の取引によって発生した過払金を後の取引の借入金債務の返済に充当することを認め,全部の取引を一連計算した (太字は当ブログ管理者)サラ金業者が、いかに不当な主張を裁判上(裁判外を含む)において、いまだにしているかご理解いただけたことと思います。
2007年05月24日
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判決をよく読んだほうが良い。この判決の概要の説明は省略させていただく。興味ある方は裁判所HPで判決全文の論理構造をよく読んでください。結論から言いますと、この判決は、同時に次のことも言っている。「基本契約が無いからといって、当然に『当然弁済充当』が否定されるわけではない。」サラ金業者は、個別契約であれば当然に過払い金の弁済充当が無くなると思い込んでいる。これは、論理の飛躍であり、この判決の趣旨とは全く別の主張である。平成19年2月13日最高裁判決について(具体的事案の検討)1.第一貸付 H5.3.26~H15.12.19(H8.10.31以降過払金発生) 第二貸付 H10.8.28~H17訴訟提起時★つまり、今回の事案は別口契約に基づき、取引期間が重なって、 2つの取引が並存して行われていた事案であって、「完済後の再貸付」の事案ではない。2.基本契約が無い。 基本契約=継続的に貸付が繰り返されることを予定してなされた契約 たとえば、与信調査は最初の1回だけとか。(当判決の判断)1.基本契約が無い場合には、過払い金は、別口契約へ当然には充当されない。2.⇒しかし、基本契約が無いからといって、 すべて一律に当然充当が認められないというわけではない。3.次の場合には、基本契約がなくても、過払い金の別口契約への弁済充当が 当然に認められる。 イ) 基本契約が締結されているのと同視しうる場合 ロ) 過払い金の充当に関する特約が存在する場合(原審の「明らかな法令違反」とは何か)「特段の事情の有無について判断することなく、 過払い金となる部分が本件第二貸付に係る債務に当然に充当される」としたこと。 つまり、基本契約があるのと同視できるような事情があったのか、なかったのかぐらいは、手を抜かずにきっちり審理しなさいよということ。(この判決から言えること)1.基本契約がある場合には、第一貸付過払い金は、第二貸付債務に当然に充当される。2.基本契約が無い場合には、必ず、基本契約があると同視しうる事情(サラ金業者の潜脱行為)の有 無を判断しろ。 ⇒貸金債務者側にこの事情を主張立証させろ(立証責任を債務者に転換した)(結論) 債務者側は、積極的に基本契約があるのと同視しうる事情(サラ金業者の利息制限法の脱法行為)をどんどん暴露し、主張立証していこう!代理人側にとっては、主張立証にかける手間を省いて楽してちゃいけませんよということでしょう。
2007年05月22日
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今日、測量士補の試験を受けてきました。レックの解答速報(1問あやしいのがありましたが)に基づいて自己採点をしてみました。28問中24問正解でした。19問以上正解で合格といわれているので、例年どおりで、かつ、マークミスがなければなんとかなったか。試験直後の私の感触では、確実に正解できたと思えたのは17問で、確実に間違えていると思ったのが4問でしたので、ぎりぎりで合格か不合格かという感じだったのですが、意外とできていたので自分でも驚いています。文章問題が17問中15問正解で、計算問題が11問中9問正解。まず、今年は計算問題の比重が例年より少なかったので救われた感があります。それとやるべき計算問題と捨てるべき計算問題の事前の判断が正しかったことが、思ったよりいい結果になった要因か。とにかく今回の試験で感じたことは、深残で働きながら試験勉強をするということは、大変なことだなということです。働きながら資格試験の合格を目指している皆さん、頑張ってください!勉強に専念できる受験生は、もっともっと頑張ってください!
2007年05月20日
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マンダラートって知っていますか?正方形の升目(セル)を横に3つ縦に3つをくっつけて9つのマス目をつくります。(マス目はさらに増やしてよい。)詳しくはwww.mandal-art.com今泉さんという方のHP。マス目の中心に今一番気になっていることをまず書き入れて、それに関連するものを四方八方に書き込んでいくという自分の潜在意識を掘り起こすためのツールです。自分の目標や課題を具体化するのに役立つと言われています。何かに煮詰まったときはやってみてください。私は、このマンダラートを使って、最近読んだ本の中で何度も読む価値がある本というテーマでセルに書名を書き込んでみました。自分が何に共鳴しているか?けっこう平積み系の単行本がでてきますね。しかし、中心は民法と不動産登記関連法がセットになっている条文のみの単行本です。今は販売されていないものです。職業病と言うよりこの本には受験時代の思い出が集積されています。あとは、ざっと書き連ねたのが、まず『お客様には絶対謝るな!でも売れる営業革命』(光文社)で、「自分の人格をあからさまに否定するようなお客さまとは二度と会わない」という個所が気に入っているのです。まず自分を大事にしろという意味。次は、『入門!論理学』(中公新書)。「余分なことに手を出さないことは健全である」「漏れがないという完全性」そして、特に気に入っている文が「ひとつひとつはあほらしいぐらい当たり前のステップが積み重ねられていくことによって、最初は思ってもみなかったような結論へと到達するということがあるのです。」というところです。今回最後に紹介するのは、『宅建一発合格塾』(日経BP社)。「自分が『知らないということ』を知らなかった場合は、不合格。自分が『知らないということ』知っていた場合は、合格する。」という意味合いの個所。ここを数学的に解き明かしてくれているので、受験生が皆持っているモヤモヤがスッキリするのではないかと思います。私個人としては前前から考えていたことだけに先越されたなあという感もあるけれど、こういった理論化は受験生に大いに歓迎されるのではないでしょうか。私のマンダラートは、まだまだ続くのですが、今日はこの辺でおしまいです。
2007年05月07日
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測量士補試験受験生としての日記この連休からやっと本格的に勉強開始。休みたいが仕方ない。やると決めたから。第一段階 基本書の目次→見出し→図・写真を何回も繰り返し読み、頭を馴染ませた。第2段階 過去問の全体をみて、出題内容と構成を大まかに分析した。 文章問題55%、計算問題45%第3段階 合格点65%取るための過去問絞込み(選択眼が勝敗を決する。) 1.過去問は最大でも5年分しかやらない。 2.7分野均等にはやらないが、全分野、文章問題は完璧にする。 3.計算問題は、問題文の数値がヒントになっているものばかり ヒントが多いもの(分野)を完璧にする。 4.後の計算問題、原則捨てる。あえて公式を覚えることはしない。 高校の数学で思い出せる範囲内で処理する。 時間があれば、1つのポイントを押さえれば解ける問題はやる。 趣味や興味から解いてみたいという気持ちはあるが、今回は抑える。第4段階 絞り込んだ問題・分野を徹底して(後2週間しかないけど)繰り返す。現在まだ第3段階の終わりくらい。5月20日が試験。さて、どんな結果が待ち受けていることやら。息抜きに司法試験の民法の論文過去問の不動産関連問題(業務に役立つ?)をやってみると、こちらのほうが、測量士補の過去問をやっているときより、頭が全然楽で、楽しい。そのギャップには驚く。きっと頭の馴染み方のレベルが違うんでしょう。
2007年05月06日
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5月20日の測量士補の試験を受けることに決めました。私は、司法書士以外の資格では、フォークリフトやガス・アーク溶接など工業系の資格しか持っていません。今でも工場の現場の仕事は好きです。正直な話、ネクタイで首をしめて仕事するのは、好きではありません。さて、受験の目的ですが、2つあります。ひとつは、不動産まわりの実務を濃くすること。当面は表示の登記の実務にも精通し、不動産登記法を実務的に全体として習得するため。なぜか?司法書士の不動産まわりの仕事の中では、銀行と不動産屋さんが大きな比重を占めています。そこと付き合うには、意外と多い表示登記に関する質問にも答えられたほうが仕事がはかどるし、信頼関係を作りやすいからです。直接的には、建物の表題登記や滅失、土地の地目変更登記ぐらいはやれるようにしたいと思いますので、土地家屋調査士の知識を得たいと考えており、その1歩としての測量士補試験であるわけです。が、あくまで、司法書士としての不動産まわりの実務を濃くすることが目的です。この関係では、11月の宅建試験もその一環として受験します。これは、司法書士の売買立会い業務にとってプラスになるからです。以上は、私の1年間のせまい実務経験から導き出されたものです。二つ目は、司法書士試験受験で一定の理論化をした勉強方法をより深化させるためです。この勉強方法の理論化は、実務知識を習得する上でも非常に有用だと実感しております。そこで、事務所の測量士補から実際に罵声を浴びつつ、また測量士補受験生からはお叱りを受けそうですが、ひそかに測量士補試験1か月合格法なるものにまずは挑戦してみようということです。先週の土日は、日本司法書士連合会の「債務整理分野習得研修プログラム」というDVDを同期の司法書士から借りて、この間の実務の反省と改善を検討しておりました。また要件事実論の学習も継続しています。成年後見や会社法、破産法、消費者契約法、割賦販売法、借地借家法、不動産取引をめぐる税法・登記法・判例・先例は、実務で問われるので休みなく学習を続けざるをえません。さらには労働法・民事訴訟法・家事審判法・戸籍法、憲法・刑法・刑事手続法も。そして、経営や営業の勉強も。と、ふと考えてみると、全く余裕がなさそうです。しかし、だからこそ、来月の測量士補の試験が楽しみなのです。勉強をすることができるということは大変幸せなことだと思いますし、それを実務に生かすことができることは楽しいからです。そして、この仕事の最大の特典が、実務を通して依頼人の笑顔を見ることができることであるからです。
2007年04月10日
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(前回の続き)「債務者が、消滅時効完成後に債権者に対して債務の承認をした場合、債務者が時効完成の事実を知らなかったときでも、信義則に照らし、その後その時効を援用することは許されない。」とした昭和41年の最高裁判決は、債務者が商人であった事件で、債務者のほうがワルでした。つまり、時効完成後に債務の消滅時効を援用することが信義則に反するような特段の事情があったのです。そのときの債務の承認の仕方が特別に時効の援用を許さないものだった。その後、時が流れ、消費者契約法10条などが昨今登場するようになりました。「消費者に一方的に不利益な契約を業者が締結した場合、その契約は無効」とするものです。消費者金融の場合、債務者は、低所得者層の個人か零細な事業者が圧倒的多数です。それに引換え、債権者は消費者金融会社(商人)で、上記債務者に対して圧倒的な私人間における権力を有しております。したがいまして、この場合には、「時効完成後に債務の承認をしたからといって、信義則上、時効援用権を剥奪すべき特段の事情」といったものは、全くないわけです。過去の最高裁の判例だからといってなんでもかんでも適用されるわけではないことをご理解いただけたでしょうか。それどころか、昨今の個人債務者による時効完成後の債務の承認(一部弁済や支払の猶予の申し出)は、債権者である消費者金融等の「欺瞞的方法や威圧的態度」によって、作り出されていると言っても過言ではありません。私が前回の日記で紹介したA子さんがまさにその例です。結論:債権者の欺瞞的方法や威圧的態度に起因して、時効完成後に債務の承認がなされたとしても、債務者の時効援用権は失われない。すなわち、時効を援用して債権を消滅させることは可能ということです。(時効援用権は法律で認められた権利!それまでに何にもしなかった債権者が悪い。)私は、この業者に対しては、A子さんが病気で働けないことを知っていながら「欺瞞的方法や威圧的態度によって債務の承認を迫った」ことに対して、病気を悪化させる精神的苦痛を与えたとして不法行為にもとづく損害賠償請求と行政処分の申立もするとして、時効援用通知書を送りつけた。A子さんは、この1通で生活の平穏を取り戻すことができた。そして、いまは療養に集中している。
2007年04月09日
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久しぶりの更新です。3月は期末ということもあり1年で一番仕事が集中します。何とか日記に戻ってこれました。さて、先日1件の相談が夜10時ごろ事務所にありました。A子さんは、心当たりがないのに、聞いたこともない会社から「借金38万円を支払え」との通知があり、その会社に電話をしてみたそうです。電話で話しているうちに、借りたような借りてないような曖昧な気持ちになり、結局相手のペースに乗せられて、何日の何時までに1万円少しを「払います」と言ってしまったということです。相談の内容は、「払うと言ってしまったものの、よくよく考えると良く覚えていないんです。どうしたらいいんでしょうか。」といったものでした。最初、私は架空請求ではないかと疑いました。そこで、調べたら、実在する会社で法務省に認可を得た債権回収業者Bであることが判明。そのBはCから債権委託を受けてA子さんに請求してきたというわけなのです。そして、Cも聞いたことのない会社で、そのC会社は、有名な都市銀行系のD会社から債権譲渡を受けた会社であるということが分かりました。実は、そのD会社も都市銀行E会社から、そのA子さんに対する債権を、「代位弁済」によって取得していたのです。つまり、A子さんが債務者、E銀行が債権者である金銭消費貸借契約が、もともとの契約だったわけです。しかも弁済期が平成3年に到来している債権です。そのうえ、A子さんは、逃げたダンナのサラ金からの借金を保証人として払いつづけており、現在、肉親の介護等の疲れも出て、躁鬱病で通院中だったのです。というわけで、よく覚えていなかったのも無理からぬ話だということがわかりました。ところで問題は、架空請求から、債権の消滅時効の援用の問題に変わりました。業者は、書面上明らかに消滅時効が完成している債権を、A子さんに対してしたように平然と支払請求してくるものなのです。業者はどこで調べたのか、A子さんがダンナの借金を払っていることも、躁鬱病で通院していることも知っていたそうです。そのうえで、しつこく支払を電話で迫って来たのです。しかし、A子さんは「いついつまでに支払います」と言ってしまいました。これは、昭和41年4月20日の最高裁が言った『時効援用権の喪失』にあたるか?つまり、時効完成後に債務を承認してしまったら、債務者は信義則上、時効を援用できない、したがって、時効は中断してしまうということになるのか?受験知識から、時効は中断してしまっていると考えそうになるところです。(つづく)
2007年04月08日
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先日、日本司法書士会連合会主催の「ADRの魅力を考える」というシンポジウムに行ってきました。参加者の人数は多かったし、「ADR」という横文字の割には一般の年配の方々の参加が多かったことには驚きました。ADRとは、裁判によらないでもめごとを解決する手続です。裁判所でやっている調停を町なかで司法書士や弁護士がやり、その結果に対して国が法律で一定のバックアップをするといった感じでしょうか。これまで民間の話し合いには、法律上の効果はなかったが、ADRの認証を国から受けた団体が行った「もめごと解決」に、「時効中断」の効果や、並行して行っている裁判についてその中止をさせる力を与えるというものです。残念ながら、執行力を与えるものにはなりませんが。もめごとの当事者が自分たちで話し合いによってもめごとを解決していくことをサポートすることが基本的な考え方になっていることに、私は共感しています。要件事実論(裁判・訴訟の世界の言葉)といった数学の方程式のようなものへの当てはめや論理学では割り切れない「感情のもつれ」にもとづくもめごとといったものは、生活の中で山ほどあるのではないでしょうか。確かに訴訟で決着をつけるべき問題もあります。しかし、そういう問題ばかりではないでしょう、ということなわけです。テレビで見ていてかっこいい代理人が、生活の中では、本当の主人公ではなく、当事者こそが主人公であるはずです。話は突然変わりますが、私はこのシンポに参加してこのブログのタイトルを変えようと思いました。つまり、「ほうりつか(法律家)」という存在しない職業をめざすことはヤメにしようと思ったわけです。 私の職業は現在司法書士であり、存在している職業で専門家であるわけで、高度な職業上の責任を自覚して仕事に取り組んでいこうという考えに変わりはありません。しかし、一方で私はあくまで一市民でありつづけたい、法律家なんて呼ばれることをめざすよりも、市民とともにあり、その中の一人として社会を変えていきたいという考え方にどうしても惹かれてしまうのです。話が脱線して、理念的な私の悪い癖が出てしまいましたが、ADRには、機会を作って取り組んでいきたいと思います。
2007年03月05日
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居住用財産を譲渡した場合、譲渡所得税について「3000万円の特別控除」というのがあります。譲渡したことで得た利益のうち3000万円まで税金がかからないという特例です。例えば500万円で居住用の家屋と敷地を買って(取得費用・譲渡費用も含めて、500万円と仮定)3500万円で売ったら、譲渡益は3000万円でこの場合の譲渡所得税は、無税となります。ここで一つ注意しておかなければならないことは、譲渡人と譲受人、売主と買主といった「ひと」の問題です。譲渡所得税を払う側から言うと、「誰に」譲渡したのか(売ったのか)という問題です。私たちが売買立会いと、それに基づく所有権移転登記の依頼をされた場合、登記完了後依頼者に降りかかる税法上の効果として注意を要します。つまり、次の人々へ売った場合、3000万円の特別控除は、受けられないということです。1.配偶者と直系血族(祖父母、親、子、孫など)2.自分と生計を一にしている親族3.自分の親族で、その家屋を譲渡した後で、 その家屋に一緒に居住する者4.内縁の妻と夫、またはその親族で生計を一にする者5.自分や自分の配偶者、親子などが主な株主になっている同族会社この場合は先の例でいえば所有期間が10年を超えていて最低税率を適用したとしても譲渡益の10%、すなはち、300万円の税金がかかってくることになるわけです。0円か300万円かでは大きな違いです。このような場合には税理士さん等への相談をしていただく。そういった配慮が必要でしょう。また税理士さんと相談しているのかという確認もしておく必要がありますね。なかなか専門外の税法上の効果まで、すべての案件について配慮することは難しいのが現実ですが、「依頼されたとおりに仕事をしましたので、後のことは知りません」では、後日の紛争を引き起こす要因ともなります。法律上は、各分野の専門家に職務上どの程度の説明義務があるのかは、微妙な問題です。また、お客さんによっては、費用・時間の問題もあってすべての専門的サービスを受けられていない方もいるわけです。一方、私たちにも時間と費用の制約もあります。しかし、一つ一つの典型的な事案に対して、総合的に問題発生可能性を探るアンテナは、専門家にも必要でしょう。
2007年03月04日
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債務整理の仕事のうちの1件について、任意整理による弁済和解か自己破産申立か明日、依頼者と手続選択の決着をつけたいと思っています。少し微妙なところもあるので、債務者に考えてもらう冷却期間を置きました。まず依頼者の答えを聞きます。どのような答えが返ってくるにせよ、何をどのようにどこまで考えているのかがすべてだと思っているからです。「すべて」とは、それが、新しい人生、再出発を果たせるか否か、依頼者の「経済的再生」(破産法)の鍵を握っているということです。私の考えは、この方の場合は任意整理をあきらめて自己破産のが、よい、です。その根拠は、家族の貧困・疲弊・病気です。あと3年以上も借金返済を強いるのは限界にきています。しかし、私の考えを押し付けることはしません。あくまでも最終的には自分で決めていただくことが大切で、自己決定していただきたいのです。自己破産の申立をする場合のだいたいのポイントは、1.支払不能といえるかどうか。2.同時廃止か管財か(破産手続をするための資金があるかどうか)3.免責不許可になる可能性が高いかどうかであると考えます。依頼者が自己破産を選択した場合は、依頼者とそこを詰めながら申立書類を作成していくことになると思います。任意整理の場合は5年分割弁済・一括債務減額を業者と交渉することになりますが、債務減額は難しいのが現状です。債務減額をやるのであれば一括弁済の資金提供者を探さねばなりません。民亊再生による債務減額は、安定した収入がないので、ほぼムリではないかと思っています。あと特定調停も考えうるのですが、これもいろいろ不備があり、どんなものかなという感じです。手続一般の感想みたいになりましたが大事なのは、依頼者が置かれている具体的な環境と本人の意思と将来であって、それをもとに助言するつもりです。
2007年02月20日
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今日は、株式会社設立のお客さんが来所しました。必要書類に調印いただくためです。先週金曜日に依頼を受け、28日設立を22日に繰り上げて設立するということで、急遽土曜日出勤して書類を準備して「大丈夫かな、予定は組んだものの予定どおりいくかな」と落ち着かない気持ちで週が開けたわけですが。というのも、金曜日の時点で社長個人の実印の登録もしていなければ、ましてや会社代表印もできていない。また、担当の会計事務所とも決算期等についてまだ確認が取れておらず、嫌な予感が。的中しました。今朝、会計士と連絡が取れまして、電話で決算期の確認が取れたつもりになっていたのですが、やってきた社長の話によると、私が確認を取った決算期と全く違う決算期(8/1-7/31)を会計士が社長と打ち合わせていたのです。私に「お任せしますよ」と言っていたくせに!何が問題かと言いますと、調印いただくために準備した「定款」を社長の面前で作り直さなければならないという事態が招来したことです。一瞬パニックに陥りました。せっかく袋綴じして作った定款、定款認証用3通・諸届用3通どうするかなと焦ったところに、救世主参上です。高度の事務能力をもったベテランに助けられました。詳しいことは書きませんが、私が社長と話をしながら他の書類に押印しているホンのわずかの間に訂正が完了したのです。さすがに驚きましたね。お客さんも決算期の変更を事前に言わなかったこと、取引の関係で設立時期を急遽繰り上げたことについて、負い目があったらしく、それにもかかわらず、ベテランがそれに対して面前で即応したことで、好感度がアップしたようでした。帰り際、次の仕事(商号変更による設立)を依頼されたからです。今回の場合、不幸中の幸い、災い転じて福と為った感じもしますが、意思の確認、仕事の上での意思の疎通は、むずかしい。しかし、しっかりやっておかないと寿命を縮めてしまう。時間がないからと言って口頭だけで済ませてはいけない、と痛感した一日でした。
2007年02月19日
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昨日は、朝からまず家庭裁判所に行き成年後見申立て書類を、そして地方裁判所に行って自己破産申立て書類を取りに行きました。だいたいはネットで取れるようにはなっているのですが、ネットで取れないものもあったので、行ったわけです。ついでに受付で相談もしてきました。そのあと、大急ぎで事務所に戻って成年後見申立ての相談を受けました。アルツハイマーである奥さんが、被後見人となるであろう本人で、申立て人は、その奥さんの夫の妹さんです。4親等内の親族ですから、申立て人資格としては問題はありません。2親等の姻族関係にあたるのかな。この奥さんは、何年か前からグループホームなどの施設に入居しています。その夫は、病気で病院に入院中でしたが、先日お亡くなりになりまして、この奥さんと夫の兄弟姉妹が法定相続人となったことによる遺産分割・相続財産の管理の必要や、施設との契約の問題が発生したことで、相談に来られたわけです。亡くなられたご主人が資産家であったことと、また遺言書作成途上であったこと。そして子供がいなかったこと。この奥さんが実の兄弟と不仲で、それだけでなくこの実の兄弟が認知症であるこの方をだまして財産的処分をしようとしたことがあり、亡くなられたご主人がそれに対して抗議をしていたこと。これらの事情を一番良く知っているご主人の妹さんが、紛争に巻き込まれたくない「逃げ出したい」気持ちで来たという事でした。またこの妹さんはこの奥さんの施設に毎日通って面倒を見ている方です。この方のご主人も認知症で施設に入所しているそうです。私は、実際の成年後見の申し立ての手続を説明するのは初めてでしたので、不十分なところは多々あったのですが、帰る際には笑顔がみえて、「少しは安心していただけたかな」と胸をなでおろした次第です。ということで、後見申立ての書類の作成にご協力させていただくこととなったわけです。自己破産の申立ての相談のときもそうだったのですが、本人申立ての裁判所提出書類の作成の仕事というのは、任意整理や簡裁事件の代理人としての仕事以上にむずかしいものがあります。代理人になったほうが簡単で楽なときがあると思います。依頼者本人が自ら司法参加して、法律問題を、法的紛争を自ら解決していくその援助であるからです。実体法律関係に踏み込まずに裁判書類の作成は、できません。依頼者本人との高度な信頼関係なしには、できるものではありません。
2007年02月17日
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代襲相続ってご存知でしょうか?ある人Aが亡くなった場合に、子供が全くいなければ配偶者と親などの尊属が相続人になり、尊属が生きていなければ兄弟が相続人になるわけですが、子供がいたのだけれどもすでに亡くなっていた場合に孫がいれば、孫が相続人になるっていうあれです。代襲相続が問題になるのは、子供と兄弟の2つの場合だけです。子供の場合は、何世代あとになろうが、代襲相続人になることがあり得ます。例えば、母親が亡くなってその相続が開始した場合に、子供も孫も母親より先になくなっていれば、ひ孫が相続人になれます。兄弟が相続人となる場合には、兄弟の子である甥や姪までしか代襲相続権というのはありません。つまり1代限りの代襲相続ということです。相続登記の依頼でずいぶん前に亡くなった方の遺産分割協議書を作成するときがあります。そうしますと、相続人とされる方もすでに亡くなっている場合が多々あります。遺産分割協議に現時点で参加資格のある相続人は誰なのかという相続人の確定作業が重要です。さて本題です。子供はおらず尊属も生きていない方Aがずいぶん前に亡くなりました。兄弟が相続人です。しかし、兄弟の中ですでに亡くなっている人もおり、その亡くなった兄弟の子供たちである甥姪が亡くなっています。その甥姪の配偶者と子供は生きています。この場合、亡くなった甥姪の子供はAの相続人になれるでしょうか?これが、今回の場合、相続人になれたのです。しかも、甥姪の配偶者も、です。これは、代襲相続権の相続の問題で、甥姪が亡くなった日が重要なのですが、うちの事務所のベテランで瞬時にこの事がわかった人は誰もいませんでした。自慢しますがすぐ分かったのは私だけです。ほとんどのベテランは、甥姪の子は再代襲禁止で相続人になれない、ましてや甥姪の配偶者は相続人になれっこないという答えでした。私はベテランからは知識が多いだけの人間としか残念ながら思われていないし、知識が多いということも侮蔑的に語られています。しかし、私は知識は決して多くはないと思っていますし、知識の量の問題ではないと10年近くあるいはそれ以上業務をやっている方に言いたいのです。多くのベテランは勘違いをしています。「基本ができていないから分からないのだ」と私は言いたい。法律の基本的理解ができていないのです。実務の経験や取引慣習の知識が豊富であれば良いのだという考え方がその基本の習得を妨げていると、私は考えます。司法書士試験というのはうまくできていて条文や判例を重視する構造になっていまして実務に直結する基本的な法律の理解を問う問題が繰り返し繰り返し出題されています。資格試験の合格者と不合格者の違いというのは「基本」をどれだけ深く理解しているか身に付けているかの違いではないかと思います。この「基本」は上記代襲相続の例のように、実務経験があれば身に付くというものではないのです。別の努力が必要なわけです。業務に関する法令に対する基本的理解を深める努力を怠らないようにと、私自身も肝に銘じた次第です。
2007年02月10日
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最近のサラ金との交渉でつくづく感じることがある。それは、法を破って、違法な高金利を取りつづけてきたことに対する反省や後ろめたさが全くないということだ。国会でグレーゾーン廃止法案が決議されてもサラ金の体質は全く変わっていない。いまだに利息制限法に違反する高金利を平然とコマーシャルし、今現在も取り続けているではないか。自主規制するどころか高金利のご利用は計画的になどと馬鹿げたことを言っている。つまり違法な高金利での借金をいまだに国民に勧めているわけだ。違法な高金利での借金を計画的にしろ、とは一体どういうことだ?これって、違法じゃないの?このような営業及びコマーシャルは少なくとも行政処分じゃないか。金融庁は何をやってるのか。高金利は、利息制限法で引き直し計算して減るからといって問題がそれで解決するわけではない。違法に債務者から取りつづけている利息は、莫大な額にのぼりそのお金は、ただ金庫にしまってある訳ではなく、不当利得が毎日毎日サラ金によってその営業などに運用されて新たなサラ金の利益を生み続けているのだ。ふざけた話である。一方債務者は存在しない莫大な債務の額を請求されて精神的な苦痛と精神的疲弊にさいなまれつづけている。サラ金との交渉で感じるのは、この債務者の必要以上の精神的苦痛に対して、慰謝料をサラ金は支払って当然のことをしているということだ。高金利に対する違法意識のないサラ金を絶対に許してはならない。特に大手ではT社はひどい。
2007年02月07日
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「月刊 登記情報」という雑誌があります。登記実務や司法書士業務に関する月刊書としては「登記研究」というものもありますが、読んでいて身近に感じられて面白いという点で「登記情報」は結構良いと最近思うようになりました。年間10093円です。司法書士業務・登記実務に関心のある方にお勧めしたいと思います。登記研究との違いは、投稿記事で現場の司法書士が登場することでしょうか。毎日の業務で感じていることを代弁してくれている、そんな感じがして、みんな同じ思いで仕事しているなと共感が持てるわけです。もう一つは、無駄な記事が少ないということでしょう。どれも、今の実務に役立つことを実感できますし。が、所詮専門雑誌なので一般の方にオススメはできないですね。受験時代、早稲田セミナーの「WIN」という雑誌これも結構実務の話もあり、面白かったです。司法書士を志している方は、余裕があれば読んでみて下さい。モチベーションの強化に役立つのでは。また合格後の準備にもなるかも。
2007年01月30日
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ドメインとは、事業活動を行う領域。我々司法書士は、司法書士法という法律によって事業活動を行う領域は公的に規定されており、業務の内容が制限されている。とは言え、司法書士法3条に規定する国民の権利保全のための業務をすべてこなしている司法書士事務所は少ないでしょう。不動産登記業務に特化している事務所もあれば、債務整理、訴訟業務に特化している事務所もある。業務が公共性を有する一方で、我々は、自前で事務所経営をしていかなければ生活できない。公務員ではないからである。士業と呼ばれる職種に共通する問題である。常に法律家としての倫理と経営のための利益をどう生み出すかという問題はこの仕事の宿命として付き従ってくる。「誰に、どうやって、どのような法的サービスを提供するか」同じ司法書士といっても様々であろう。経営の理論によると、ドメインは分散化させてはいけない、また過度に集中化させてはいけないと言われる。そして、私のような新規参入者は、この市場における弱者として出発せざるをえないし、その自覚も必要であろう。聞くところによると、新人で開業した多くの司法書士は、ほとんど債務整理業務を中心にやらざるを得ないとも聞く。弱者は、局地戦と一点集中主義、接近戦で勝負するしかない面も確かにある。ドメインの設定のポイントは、顧客・技術・機能だと言う人もいる。私にとって技術とは、「業務に関する法令と実務に精通すること」、「顧客である依頼者の法的ニーズに適法に首尾よく迅速正確にこたえること」であることは間違いない。抽象的な話になってしまったが、経営戦略も大切にしたいと思う。
2007年01月27日
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名指しで登記の依頼や依頼人の紹介がくると嬉しいものです。先日、半年ぐらい前に営業活動で知り合いになった年配の銀行マンから、久しぶりに電話があり、相続登記のお客さんを紹介してくれました。私は基本的に銀行や銀行員はあまり好きではないのですが、そんな私でも、たまに信頼関係ができる銀行マンができるときがあります。その方もその1人です。銀行の応接室でお客さんの紹介を受けたのですが、その年配の銀行マンは、接客態度が素晴らしかった。お客さんの信頼を得ることにかけては、私は足元にも及ばないなと痛感させられました。信用を築き上げるには時間がかかる。信用を失うのは一瞬の出来事。その方から、いろいろ勉強をさせていただくことができました。決め付けは良くないですね。でも、銀行の嫌いな部分を好きになることはないでしょう。
2007年01月26日
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「混同」という現象で、権利がなくなってしまうことがあります。例えば、借地権者がその土地を買ったら、他の権利がついてなければその借地権は、消滅します。ふつう、所有権を持っていたら、同じ土地に地上権や賃借権を持っていても意味がないし、権利関係が複雑化していまうからです。いま、昭和30年代につけられた所有権移転の仮登記の抹消の仕事をしているのですが、これも「混同」でとっくの昔になくなっている権利を登記簿から消す仕事です。こんな消えている権利であっても不動産取引の上では、慣習上障害になってしまっているわけです。依頼人は現在の所有権者です。仮登記の権利者として登記簿に記載されている人は既に亡くなっています。こんな登記簿から消えて当然の権利も登記権利者と登記義務者の双方の何らかの協力がなければ、消せないのが登記手続の原則となっております。そこで登記交渉人が登場するわけです。つまり、仮登記権利者の相続人(何人もいる)全員の方々に、「抹消登記手続にご協力ください」と協力を求めて交渉していきます。これは結構骨の折れる神経を使う仕事となる場合が多いと思います。少なくとも実印と印鑑証明書をいただかなくてはなりません。簡単にくれる人ばかりじゃないのですよ。仮登記済証というものがあれば、もう少し楽に抹消できるのですが、なかなか残っていることはないでしょう。今回もそうです。仮登記権利者の相続人の方々は、仮登記があったことすら知らないのですからね。降って湧いたような話なわけです。なんとか裁判には持ち込まずにうまくまとめてみたいと思っているのですが、どうなることやら。とにかく最初の交渉日がセッチングできたことで一歩前進しました。
2007年01月25日
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先日ようやく3つの有限会社(今は特例有限会社と呼びます。)の合併手続が終わりました。債務超過の同族会社です。経営状況の比較的良い会社ひとつにまとめた形です。会社法成立までは、債務超過の会社を合併することはできなかったのですが、今はできるようになりました。この会社は合併に際して計算上の資本増加はしなかったので財務体質は1000万円近く貸借対照表上計算上は改善されたのではないかと思います。これから募集株式の発行という銀行に頼らない資金調達方法で増資をすることになっているのですが、取得条項付株式や議決権制限株式を使って同族ではない第三者から資金を調達するのが理想なんですけど、現実は難しそうです。魅力的な経営戦略がひとつのポイントなのでしょうか。登記上は合併に際して資本増加すると資本金計上証明書というものが必要になり、これが少々めんどくさいようです。バーチェス法だの、プーリング法だの、企業会計の慣行だののれんの価値だのと紛らわしいことが増えて別世界に突入する感じがしてしまいます。もっと簡単に言えないのでしょうかねえ。我々の登記業務も会社のスリムで健全な経営に資するものでありたい、特に中小企業と関係が深いですから。今回の登記申請では、催告書に債権者一覧を付け忘れそうになったという苦い経験をしました。合併後も実体上の取引関係で問題が発生しないことを祈り、会社の発展を願うばかりです。
2007年01月24日
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電話での無料法律相談って、むずかしいですね。同居の家族の任意整理をして欲しいという相談で家にも貸金業者に担保をつけさせられているという。借入れ年数、収入、借入れ総額からして任意整理が難しそう。年金生活者に月々20万円以上の返済額、とても信じられない過剰な貸付だ。免責不許可になる理由もない。気持ちは受託するつもりで相談にのぞむんですが、受託してはいけないのが無料相談です。弁護士に予約を入れているのだが、2週間後だそうだ。速く受託して欲しい、そして早く受任通知を出して支払を止めたい、それが、電話してきた家族の要求であり、相談の本質だった。いますぐ、行って資料を正確に目を通してなんとかしてあげたいなあと思った。また、民亊再生手続について話せなかったのが悔やまれます。また、自分の力不足、勉強不足を思い知らされました。
2007年01月23日
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昨年末、法務局の担当者と一緒に悩んだ案件がありました。登記申請自体は終わらせたのですが、未解決です。それは、「寄付行為を登記原因として、新築年月日前の日付で、私立学校の園舎を個人から学校法人に所有権を移転することができるか?」ということです。これは所有権保存→移転→根抵当権設定の連件申請で金融機関の思惑も絡んでいましたし、当事者は園舎の建築資金をいつ融資してもらえるか、税務上も設立に伴う寄附としてうまく処理されるかと気をもんでいたという背景もあって、私にとっては結構決断を迫られた案件でした。学校法人の寄付行為が県の学事振興課によって認可されたときは、建物は図面上のものでしかなかった。が、すでに設立に伴う寄附であり、学校になくてはならない建物として認可の前提となっていた。そして学校法人は登記によって設立されるのですが、その登記が完了したときもまだ建物は完成していなかった。それから約1ヶ月経った日付でもって新築年月日が登記簿に登記された。一方で、「寄付行為」という登記の原因は、学校法人の設立の日でないと登記原因日付がいれられない。それ以外の日付で寄付行為という登記原因が使われている文献は見当たらなかった。というわけで、この建物を個人から学校法人に所有権移転するにあたって、いつ所有権が移転したのか、何を登記の原因とするべきか、認可→設立と建物の現況を巡って悩んだわけです。抵当権の設定の場合、有名な先例がありまして、建築年月日日付前の日を登記原因日付として設定登記ができるというものですが、所有権移転の場合はどうなのか?(前提として所有権保存登記ができること)法務局の担当者との話でも「抵当権でできるんだから、所有権でできないわけはない」とか「登記官の形式的審査権からしたら、当事者が完成してない建物であっても所有権移転して良いと言っているんだったら、私なら受理する」とか、結構肯定的だったわけなのですが、私は不確定要素のある「寄付行為」は登記原因としては使いませんでした年が明けて先日、担当者から電話が入り、「あれからも調べてみたんですが先例はないみたいなので、書士会を通じて局長だか民亊局に『質疑応答』で上げて下さい。」という次第で、下駄を預ったのかな??とにかく、当事者すべてが求めている利益をすべて満足させる登記をすること、きついときがありますね。
2007年01月17日
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