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私:
日本版SOX法
施行に伴うITの無料セミナーを聞くためだよ。システムの宣伝を兼ねたもの。
多くの人が参加していた。外は暑かったが、会場内は寒いくらい冷えていた。また、夏かぜをこじらせるか心配だった。
A氏
:気候不順みたいだから、用心してよ。ところで日本版SOX法?
私:
SOX法は エンロン事件
や ワールドコム事件
など1990年代末から2000年代初頭にかけて頻発したアメリカの不正会計問題に対処するため、アメリカで2002年から施行された。
当然、日本企業で、アメリカで株を公開している企業も制約を受ける。正式には「上場企業会計改革および投資家保護法」と言われるそうだが、案を作ったポール・サーベンス(Paul Sarbanes)上院議員、マイケル・G・オクスリー(Michael G.Oxley)下院議員の名にちなんで、「サーベンス・オクスリー法」と呼ばれ、略して SOX法
というらしい。
A氏
:君は金融の専門でも、ITの専門家でもないのに、なんでくちばしをつっこむの?
私:
この法では、上場会社会計監視審議会の設置、監査人の独立性、財務ディスクロージャーの拡張、内部統制の義務化、経営者による不正行為に対する罰則強化、証券アナリストなどに対する規制、内部告発者の保護などが規定されているんだが、俺の興味があるのは 内部統制
の部分だ。多くのIT企業もこれに目をつけている。
要するに、内部統制のために、日常業務に不正がないかチェックするために膨大な書類を作成しなくてはならない。そこが引っ掛かったのだ。
A氏
:なるほど、財務報告の透明性を確保するためには、その基礎となる企業内の各データ、業務プロセスの信頼が問題になるね。
私:
それらの業務プロセスの明確化、文書化することも義務付けられている。これは管理用のコンピュータシステムや会計システムなどの情報システムそのものや、システムの開発・保守・運用といった業務プロセス、システムへのアクセス権限のルールや管理、外部ITベンダへの委託契約方法など、公正で明確な手続きによって遂行され、それが証明できるようになっている必要があるわけだ。
A氏
:日本はいつからなの?
私:
日本版SOX法の正式名は 「金融商品取引法」
だ。 カネボウ
や ライブドア
の粉飾決算の影響を受け、6月に決まり、適用は2008会計年度で、一般には2009年3月期の決算時に、従来の財務諸表監査と合わせて 内部統制監査
を受けることになる。
だから、少なくとも2008年4月の時点で運用を開始している必要がある。のんびりできない。
A氏
私:
ところが、 内部統制というのは、財務会計、販売、購買、在庫、給与等のいわゆる基幹業務に組み込まれた統制のことだから、企業活動の日常活動全部が含まれるんだ。
一般に 業務処理統制
と呼ばれる。取引や入出金のプロセスに不正やミスが入り込む余地を減らすように、権限の適切な分離、承認、照合などにがチェックされる。財務報告はこうした業務プロセスによって作られた情報の集積であり、プロセス・レベルで統制がかかっていれば、そのまとめとしての財務諸表の適正性も自然に保証されるという考えだ。
A氏
:なるほど、そこにITを利用する余地が大いにあるということか。仕訳転記の誤りや意図的な会計操作の防止など、日常業務をやる人々にも関係があるわけだ。
私:
ただ、 問題になっているのは、そのコストだ。
それは、 業務の帳票の流れを書いたフローチャート作成が中心で、大きなフローチャートが約7千枚、費用は8億円かかったという。
これは一時的な費用と言っているが、これに追加して改訂管理の費用も大きいだろうね。
楽天の三木谷社長は、この金融庁の日本版SOX法検討委員会のメンバーらしかったが、NHKのインタビューに答え、 このようなコスト負担を企業が負うことは、企業の利益を圧迫し、結局、株主の得にはならないのではないかと言っていたよ。
A氏
:そこで、企業内の無駄を省いてきた君の知的刺激になったというわけか。
私
:すでに、アメリカでは、このコスト増のために、株式市場にあまり積極的に参加しない企業が増えているという。特に中小企業はね。 そこで、もう、改正の機運があるらしい。
俺のもう一つの疑問は、 詳細で膨大な業務フローチャートが企業の実体の情報公開になると本気に信じているのかという点だよ。
三菱自動車、カネボー、橋梁工事会社、JEKスチール、石原産業、建設設計の耐震データの虚偽などなど、枚挙に暇がない不祥事は、多くの書類がごまかしの温床であることを示しているじゃないか。
それに対して「もっと多くのチェック用の書類を作れ」というのは、どうもおかしいね。
問題の真因は別なところにあると思うね
。
A氏
:なるほど、7千枚のフローチャートは誰が見るのか、株主なのか、7千枚のフローチャートを見て株を買うのか、外部の人間が7千枚のフローチャートを本当のことを書いているのか見てわかるのか、業務フローが改善などで変更した場合その改訂管理がきちんと行われると信じているのか、フローチャート通りに実際に行われていると誰がどのように管理するのか、ムダな業務もフローチャートに立派に書かれていても問題としないのか、そのムダは誰が判定できるのか。社長はそこまで責任をもって見ることはできるのか。
私:
どうも本質からずれている気がしたが、誰も言わないようだ。それで知的興味をひかれたというわけだよ。
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