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私 : 著者は40年生まれ で、 経済学者・社会活動家にして、2006年、グラミン銀行と共にノーベル平和賞受賞 。
ムハマド・ユヌス氏はグラミン銀行の創設者 で、 同銀行は貧困層向けに事業資金を低利で融資し、 生活 の質の向上を促す活動を行っている。
ところで、 評者 は、 2008年のリーマン・ショック以降、 先進国の中央銀行は市場に大量のマネーを注入してきて、10年後の現在、世界経済は好調さを取り戻している が、これは、 超金融緩和策が生んだ新たな資産バブルで、資本主義の問題がひとまずごまかされた結果のように評者には見える という。
A 氏 : 富の格差は再び激しくなり 、 昨年発表された推計 では、 世界の上位8人が持つ富は、下位半分(36億人)の富と同額になった。
私 : 貧困問題に長く取り組んできたムハマド・ユヌス 氏は、 本書で強い懸念を表している 。
「富が集中する世界は、政治権力が一部の者に支配され、その少数者の利益のために利用される世界でもある」 という。
それは環境の破壊にもつながり得る。
しかし、 彼は意外に楽観的 で、 「極端な富の集中は、人類にもともと備わった不変の運命などではない。人間が作り出したものなのだから、人間の努力で解決できる」 し、 「若者はシステムの欠陥にはっきりと気づいている」 のだという。
第一の課題 として 「利己心は資本主義的人間の一番の美徳」という考え方や、「利己的であることが奨励される経済と社会と政治のシステム」を変えるべきだと主張 。
なぜなら、 現実の人間には「利己心と無私の心の両方が備わっている」 からで、 ユヌス氏のソーシャルビジネス(貧困や環境など人類の問題を解決することに力を注ぐ無配当の会社)が世界各地で成功した背景 にも、 無私の心を持つ多くの人々の協力があった という。
A 氏 : 従来の利己心に動かされたビジネスと、無私の心に動かされたソーシャルビジネスのふたつを若い世代に教え 、 どちらの道を歩みたいか 、 人生のどこかで同時にやってみてはどうか、と考えさせれば、社会は変化していく という。
私 : 「このまま環境や健康、子どもたちの未来を犠牲にして、お金と権力を執拗に追い求めるのか」と問いかけるユヌス氏の言葉は重い と 評者 はいう。
それが、資本主義の次にくる世界なのだろうか。
「書評:ケイト・ラワース〈著〉『ドーナツ経済学が世界を救う 人類と地球のためのパラダイムシフト』」 のブログ でふれたように、 下記の「資本主義の崩壊・知的街道 」 を連想 するね。
「資本主義の終焉と歴史の危機」 、 「低成長経済 時間かせぎの資本主義、限界に」 、 「社会主義崩壊 後の世界 新自由主義に壊されるもの」 、 「日銀の超金融緩和 成長の「その次」の価値観」