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私 : 保守の論客として有名な佐伯教授 が、 今年がロシア革命から100年であることから、 社会主義の衰退 から、論じているね。
「ソ連社会主義」などというものはもはや地上から姿を消してしまい
、ひと昔前の若者にとっては、 ロシア革命やトロツキーやボルシェビキという単語は、それだけでどこか琴線をくすぐるところがあったことを思えば、隔世の感がある
と 教授
は言う。
A 氏 : 俺たち世代 も 11月7日のロシア革命の日 はなんとなく覚えていたからね。
それが、このブログの 「ロシア革命100年、ロシア複雑 ソ連戦勝「誇り」/困窮の記憶も」 でふれた通り、 当のロシアでは05年、プーチン大統領が「11月7日」の革命記念日の祝日を廃止 しているね。
私 : ソ連が崩壊した1991年に「社会主義」に対して批判的であった佐々木教授 は、ちょうど イギリスに滞在 していて、そのとき、 左翼を自認するイギリス経済学者 と話をしたら、彼は 意外 にも「 実に歓迎すべきことだ。私は決して社会主義者ではない。私はあくまで社会民主主義者であって、ようやくわれわれの出番になったのだ 」といったという。
A 氏 : 日本ではずいぶんと長い間 、 「社会主義」に対する幻想があり、革新政党は、「社会主義」や「共産主義」への傾斜を隠そうともしなかったし、左翼学生も、現実には不可能だとわかっていても、社会主義革命を熱く語っていた 。
しかし、すでに 欧米では
、 スターリン政治
にみられるように 「ソ連社会主義」は恐るべき全体主義国家である
、 という認識
が広がっており、 「社会主義」の崩壊とは「全体主義」の崩壊を意味していた。
私 : 佐伯教授 は、 「社会主義」の崩壊は、自由な社会の勝利 であったとともに、それは 「資本主義」の勝利 であり、世界中がグローバルな市場競争に覆われ、アメリカ主導のIT革命や投機的な金融市場の展開によって、 まさしく「資本主義」が凱旋した のであるという。
しかし、 「資本」が瞬時にして世界中を動きまわり、「資本」の増殖 を求めて、 個人も企業も国家も、果てしない競争にのめり込んで しまい、 共産党が支配するはずの中国までもが、「資本」の競争に国家ぐるみで参入している という。
A 氏 : これが冷戦以降の世界の実態 であり、それをわれわれは 「新自由主義 」などというが、 この現実はまた、別種の「全体主義」ではないか といいたくもなると 教授は指摘 する。
資本の増殖を求めるグローバルな市場競争というメカニズムがあまりにわれわれの生を圧迫している
からで、 競争、効率性、自己責任、能力主義の支配する世界へわれわれは囲い込まれている。
私 : 教授 は、 この自由社会 は、われわれを 過剰なまでの競争 に駆り立て、 過剰なまでの情報の中 に投げ込み、 メディアやSNS を通じて、われわれは 他人のスキャンダルを暴き立て 、 気にくわない者を誹謗 し、 少しの失態を犯した者の責任を追及 するという、 実に不寛容な相互監視社会へと なだれ込んでいて、 これもまた一種の「全体主義」といわねばならない という。
A 氏 : 家族、地域、学校、組織、企業、それに様々な仲間の集まりやサロンや社交の場が、かつてはそれなりに機能していた。
様々な葛藤や矛盾を含みながらも、多くの人は、何らかの場に属して、そこで 「人間交際」 をやっていて、 こうした「人間交際」の重層化されたものが「社会」であり、だから、社会は一定の倫理的価値を保ちえた のであると 教授 はいう。
私 : このような「社会的(ソシエタル)なもの」を重視するという意味 では、 教授 はずっと 「社会」主義(ソシエタリズム)に共感 してきた。
それは「社会主義(ソシアリズム)」ではないが、また、「新自由主義的な資本主義」でもない と 教授 はいう。
A 氏 :ところが、 「社会主義」が崩壊し、冷戦が一応終了し、「新自由主義」とグローバル競争の時代になって、「社会的なもの」までもが崩壊している と 教授は指摘 する。
家族や地域は、ずたずたになっており、学校も機能しなくなっていて、組織も成果主義や自己責任で窮屈になっている。
もっと大きくいえば、 過剰なまでの市場競争と情報社会化が、「社会的なもの」の崩壊を促しているように見え、それを立て直すのは難しい と 教授 はいう。
私 :しかし、われわれの 日常生活がごく自然に多様な「人間交際」によって成り立っているという当然のこと を思い起こせば、 「社会」の復権にもさほど悲観的になる必要もないのかもしれない と 教授 はいう。
教授の「保守」という立場 からは 家族、地域、学校、組織、企業、それに様々な仲間の集まりやサロンや社交の場の復活への期待が大きい ね。
しかし、 その「保守」の復活 には、 日本 では同時に、 急速に進む少子高齢化 が 大きな解決すべき課題 になるね。