物語「ファンタ島」


作・-落ち葉-
3月26日水曜日、新しい船が完成したという「ウォルテンク号」の入船券がきた。ぼくはその券に誘われて行こうと思った。 日にちは4月5日。 そして4月5日がやってきた。車で約30分の所にある。やっと到着したと思うとそこには中くらいの大きさの船があった。やはり豪華客船まではいかないか・・・。券を係にわたして中に入ってみると、意外に中は大きかった。予定ではここから約1時間のレイカイ島にいってまた戻るという往復で約2時間ってところかな。
しばらくしてウォルテンク船が動き始めた。すると船員が「皆様、本日はお忙しい中ようこそいらっしゃいました。ウォルテンク号では休憩室で頭山のサウンドトラックの演奏を行っております。どうぞごゆっくりお過ごしください。」
 それから30分くらいしてから急に天気が悪くなり波もでてきた。さっきまであんなに穏やかだった海も今は全く違う海のようだった。「クソ。このままいったら危ない。引き返した方がいいんじゃないか。」「うーん。 そうだな。引き返そう。」そして放送がながれた。<皆様、大変申し訳ないのですが天気が悪くなったので引き返します。>
すると客たちが「なんだよ。」「はぁ?」などといいはじめた。
仕方なく戻ることにしたが、目の前には巨大な渦潮があった。このままではのみこまれてしまう!必死に舵を動かしていたが自然にはさからえなかった。とうとうウォルテンク船は渦潮にのみこまれてしまった。「わ~~~!!」「助けてくれ~~!」などと観客はさけんでいた。しかしそんなこともあろうかと水はウォルテンク号の中にどんどん入り込んでくる。
どのくらいたったのだろう?あたりはやけに静かだ。ぬれてビショビショになった窓から外を見るとずいぶん晴れていた。全員が目を覚ましていた。船長が言った。「なんだあれは・・・。」「船長。どうしましたか?」「あの島は、どこかで見たような・・・・。」
そして船長は大きな声で叫んだ。「ファンタ島!!!」ファンタ島・・・。それは幻の島だった。誰もが初めて見たので何となくわくわく感があったようで、みんなの目がキラキラ輝いていた。 まだ船は動くようだ。もしファンタ島に人が住んでいるのならばなんとか助けてもらえるかもしれない。残りわずかな船の燃料でウォルテンク号はファンタ島にむかって進み始めた。ゆっくりと、ゆっくりと。   やっとついたと思うとそこには森のようなところが広がっていた。奥の方まで行かなければわからない。 すると一人の客が、「は?ここがレイカイ島?意味わかんない!」といった。何もわかっていないようだ。
やっと森から出るととても大きな円柱の建物が建っていた。ずいぶん古くて中に入って上を見ると上の天井の部分が陥没していた。これではただの筒だ。「ずいぶん昔に滅びたんだ・・・。」しかし目の前にはまだ新しいボートがあった。「すいません!誰かいますか!すいません!」  しばらくして返事がした。みんな顔を見合わせた。すると円柱の建物の入り口の方から老人がやってきた。
「ほう。ここには人がすんでおったのか。ほうほう。」
「いいえ。わたしたちは迷い込んできてしまったのです。ウォルテンク号でレイカイ島に行く予定だったのですが、嵐に巻き込まれてここまできたのです。」
船員がわけを話すと老人は「嵐・・・。巻き込まれた・・・?」
と考え込んでしまった。あたりは静まりかえった。しばらくすると老人が言った。
「そうですか。ではここの島のことをあまりよくしらないのですね。」「そうです。」
「ではここの島のことを教えてあげよう。」老人はそういってみんなをあつまらせた。辺りはもう暗くなっていたので、老人がまきをもってきて火をたいた。「ここのあたりはまだ食べられる木の実がある。ほかの場所は人々に収穫されなくなってそのまま腐って食べられなくなっているんだ。」などと、みんなこの島のことをよく知った。大昔、ここはとても豊かだった。食べ物はおいしく、人々は唄い 踊り。 だがいつの間にか。豊かな島はなくなっていた。「そんなことがこの島にはあったんですか。」とみんな言った。
とっくに辺りは暗くなっていた。はっと思うとみんな疲れ切っていて、寝ていた。
 次の日の朝。老人がみんなに指導し、木の実をとってくることにした。その実は赤く丸く、つやのある実だった。「なんてきれいなんだ・・・。」「食べるのがもったいないくらいですね。」と一人言のように言っていた。たしかに僕もきれいだと思った。
----この続きは、「物語 ファンタ島2」でお楽しみください----

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