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掌編小説『シャボン玉の思い出』
掌編小説『シャボン玉の思い出』
勉強のことにも、どんなことにも口を出す奴はよくいる。
「もっとしっかりできないのか?まったく、情けない奴だな。」
同じ年なのに、身分が周りより上な田中が言った。
「小学校の頃からずっと俺は不幸だし、もうなにもできない。ダメな人間だな・・・。」
高校生になった今も、身分がバラバラなこの世界。
でも小学校の頃よりは良くなった方なのかもしれない。
「おい岡田、お前 ちゃんと話聞いてんのか?」
あ、そうだった。岡田良介、それが俺の名前だった。
ちゃんと話を聞くと言ったって、今は憂鬱になっているんだ。だから聞くか聞かないかはこっちの自由なんだ。
「あぁ・・・、そりゃ話は聞いているよ。」
だんだんと胃のあたりが重苦しくなってきてしまった。
今はバスケットボールの練習試合の開始前。
田中はこのチームの監督的存在で、試合の打ち合わせ(ミーティング)をしている。
本当はこんなスポーツなんて好きではない。むしろ嫌いだ。でも親は「少しは体を動かさないと肉が付かないよ!」といつも言う。
この『バスケ』というスポーツは、「ちょっと体を動かす」どころではなく、死ぬほど激しく動く必要が時々ある。
こんなスポーツを作った人や、楽しんでやっている人の気持ちが分からない。
それから試合が終わって、やっとこの時間が終わった。
もちろん、こんなことは授業ではやらない。
部活動なのだけれども、もう終わったものだから、逃げるように校舎から飛び出し、家に帰った。
ヘトヘトになって家につくと、夕食の支度をしている母親がこちらを向き、
「あら、今日は遅かったのね。また部活?」
なんて言ってきた。元はと言えば、あんたが言ったことだろうが。なんて言えないか・・・。
「今日、あなたの部屋を掃除してたら、こんなのが出てきたわよ。懐かしいのが。」
そう母親は言うと、テーブルの上にあらかじめ用意してあった その品を手に取り、俺に渡した。まだ俺は制服のままだったから、後にしてくれと言おうと思ったけれど、母親の手が素早く動いたので、そんなことを言う間もなかった。
それは、ほとんど破れたビニール袋に包まれた、シャボン玉の 吹くための筒と、もう空っぽになっているシャボン液の容器だった。
もうかすれて、シミも付いているシャボン玉の商品ケースまで入っていた。
「なんだこんなもの。高校生にもなってシャボン玉なんかやらねえよ。」
そう母親に言ったが、
「あら、なに言っているの。こういうものは、思い出としてとっておくべきよ。たしかこれはあなたが小学2年のときにやってたのよね。」という返事が返ってきた。
「・・・思い出、ね。」俺は小さくつぶやいた。
こんな何にもならないものなんか、早く捨てちまえばいいのに。
階段をかけ上がって自分の部屋に入ると、
その『懐かしい』品を机の上に並べた。
「何にもならないものなんか、早く捨てちまえばいいのに・・・。」さっき、下で思ったことを口に出して言ってみた。
まず、シャボン玉の吹く筒を手に取りゴミ箱に放り込んで、続いてシャボン液の容器を放り込もうとしたとき、手が止まった。
俺もこれと同じじゃないか。
何の役にも立たないものは、すぐにゴミ箱に放り込まれるのか・・・。
シャボン液の容器を手に持ったまま、見つめ続けた。
「もっと、遊んでやるべきか・・・。」
急に、シャボン液を作ろうという気になった。いや、買う気になった。
なら今から買いに行こう。しかしそう思って準備をしようとしたら、一階から午後7時を知らせるテレビからのポーンという音と、ニュースの最初のBGMが聞こえてきた。
もう夜なのだ。こんな夜になって、わざわざシャボン液を買うなんておかしい。
でも明日はまた部活・・・。田中の偉そうな声と顔が頭に浮かんだ。
部活なんてやるべきではなかった。今さらこんなことを思っても仕方のないことはわかっている。
そうすると、また胃のあたりが重苦しくなってしまった。
「良介、ご飯よー。」母親の声が聞こえた。
次の日、またいつものように、俺は登校した。
教室に入ると、田中が「今日も試合があるからな。今度 もたもたしたら殺すからな。」
と言ってきた。まだ頭の中にはシャボン玉のことがあるもんだから、『もたもた』が『役に立たない』と言う意味で、『殺す』が『ゴミ箱に捨てる』と言う意味にしか聞こえなかった。俺も、今日ばっかりは『ゴミ箱に捨てられ』ないように頑張るか。と言う気になった。
帰ったらすぐにシャボン液を買いに行こう。
ふつうに売ってるよな。
放課後、部活も一応うまくいった。
「やりゃあ できるじゃねぇか。いつもその調子でいけよ。」田中が言ってきた。どうもこの態度が俺は好きになれない。
まあ、『いつも』と言われても今日だけだけどね。
家につくと、すぐに自転車に乗って、100円ショップへ。
「待ってろよ、シャボン玉ー!」
俺の中には、その言葉しかなかった。
今日は部活が早く終わったので、まだ太陽が出ている。
出てはいるものの、もう沈む寸前のところであった。
そしてシャボン玉セットを買った。店員は、この高校生がシャボン玉を買うことに対して抵抗を感じたらしく、白い目で見られた。
しかし、それでもかまわなかった。
もし母親に見られたら、「あんなにいやだなんて言ってたのに、頭 大丈夫なのかしら。」と言ってくるに決まっている。
こっそりと二階に上がって、早速シャボン玉の商品ケースをはがし、窓を開けた。
オレンジ色の夕日が自分の部屋に広がった。
吹くための筒を容器の中に入れると、容器の中にできていたシャボンの膜が破(わ)れて、「ポッ」という音がした。
2、3回、筒を上下に動かし、窓の外に向かってゆっくり、でも勢いよく吹いた。
すると、何個ものシャボン玉が、筒の先っぽから元気に飛び出した。
すぐに破れてしまうものもあれば、風に吹かれて飛んでいくもの、まっすぐに進んでいくもの。
俺は、シャボン玉を吹いているとき、いやなことは全部忘れていた。
シャボン玉が、オレンジ色の夕日に溶け込んでいった。
すると急に、シャボン玉の中に俺の顔が映った。
幼い頃みたいだ。
そういえば、俺は子供の頃、よくいじめられていたな・・・。
嫌がらせ もされて、よく泣いていた・・・。
そんなとき、シャボン玉をよく吹いていたなぁ・・・。
俺は、ため息と一緒に少し笑ってみた。
沈む太陽に輝いたシャボン玉に向かって。
これからもずっと いやなことがあると思うから、すぐにシャボン液、なくなっちゃうな・・・。
ここから見て 日の入まであと1ミリというところで、最後の一個のシャボン玉がキラッと輝いた。
それから、数々のシャボン玉たちは、風に吹かれて見えなくなった。
<完>
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