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小説『心のカケラ』7
小説『心のカケラ』7
<完結>
次の日、もうヤサは『遅刻』と言う言葉などには気をとられなかった。
遅刻して学校に来ると、
本当はもう教室にいないと行けないのに、また『問題児』が廊下をうろついていた。
「おい、優一、また遅刻しやがって。なに松葉杖なんかついてんだよ。」
と、一人が言ってきた。
そこはちょうど職員室の前だったため、問題児らはヤサに手を出すことはできない。
そこでヤサは思いついた。
ここで松葉杖を、いかにも不自由そうに、しかも真剣についていれば、何とかなるかもしれない。
しかし問題児らは、そのヤサの考えは通じなかった。いくら苦しそうに、そして痛そうに松葉杖をついても、こちらをにらんで舌打ちをしてくる。職員室から一人の先生がでてきた。
今は授業中なので、今の時間は授業の受け持ちのない先生なのだろう。
「あ、優一君、おはよう。おい、おまえら何やっているんだよ! 授業始まっているだろうが!」
そう先生が言ったおかげでヤサは助かった。
問題児らはもう一度先生とヤサに舌打ちをしてから階段をひどい歩き方でのぼっていった。
ヤサは唇をかんだ。
本当はあいつらがいなければ学校は快適でいられるのにな。と思った。
ヤサは問題児らが階段をのぼった数秒後にのぼり始めた。
もしのぼっているときに会ってしまったらとんでもないことになると思ったからである。
やっとの思いで教室に入ると、先生がちょうど黒板に何かを書いているところだった。
こっそりと授業のじゃまにならないように、席に着く。
そして授業にとけ込もうとする。
しかし、いくら問題児らのことを考えないようにしても、心が弱く、傷つきやすいヤサには、考えなくては気が済まなかった。
なぜ授業中にも関わらず騒ぐのか、
なぜ人をけなすのか、
なぜ暴力を振るうのか・・・。
ヤサにはすべてわからなかった。
ヤサは、みんなにどうしても分かってもらいたいことがあった。
それは、足をケガしている人や、何か障害がある人の気持ちを分かってほしいということだった。
もし気持ちが分からなくても、生活をするときの大変さ、苦しさだけでも分かってほしい。
クラス、いや、学校の生徒 全員に言いたかった。
夢子は、ヤサの厳しく、そして悲しい表情に気づいたようだった。
しかし、「どうしたの?」などは聞かず、だまっていた。
ヤサの気持ちをそらしたくなかったからだ。
ヤサはみんなにそんな気持ちを伝えれば、そんなかわいそうな人たちをいじめたり けなす人が少なくなるのではないかと思った。
今日のすべての授業が終わり、教室から人がいなくなると、ヤサはゆっくりと廊下に出た。窓の外を見ると、下の方で生徒たちが話しながら帰っていく様子が見えた。
そしてその横には非常階段がある。
ヤサはその非常階段を、自分がのぼっているかのように目で上の方まで追った。
「この前はここをのぼったんだ。」
と心の中で思った。
夢子も教室から出てきた。
ヤサは、もう夢子は帰ってしまっただろうと思っていたのに、まだ教室にいたことに驚いた。
「気づかなかったの? 私がいること。」
と言われて、どう言えばよいか分からなくなり、アハハと笑うしかなかった。
「ヤサ、あなたに言いたいことがあるの。」
ヤサは笑うのをやめて、急に真剣になった。
なぜなら、夢子の顔が真剣だったからだ。
「あのヤサが前に描いた湖の絵、どこかで見た覚えがあるの。」
ヤサは、その絵を描いて夢子に見せたときに、懐かしそうにしていたので、そうなのではないかとは思っていたが、急にそう言われたので、驚いてしまった。
「あなたの心の、すべての在処が、その場所に行けば分かると思うの。」
いつもヤサは、夢子の言うことに驚かされる。
『そこに行く』なんて言ったって、僕の想像の世界じゃないか。とヤサは思ったが、
あまりにも夢子が真剣なので、自分もそんなんじゃだめだと思った。
「どうやって・・・、行くの・・・?」
ヤサは、具合が悪そうな人に話しかけるように、夢子に問いかけた。
「あなたの絵を描くのに使った心に問いかけるのよ。」
と言う答えは、ヤサにはさっぱり分からなかった。
心を使って絵を描いた?
何のことですか?
ヤサがそのことについてもう一度 問おうとしたときに、もう夢子がしゃべっていた。
「あなたが前に描いた湖の絵には、心が宿っているのよ。あなたは、絵を描くときに心を使っている。そして、その心は、あなたの描いた風景を記憶している・・・。
これで分かった?」
そう言われてもいまいちだったが、
何となく分かった気がした。
「心に問いかける。」どうやって?
夢子はため息をつくと、また説明しだした。
「ヤサ、あなたはよく、想像にふけるでしょ? それと同じように、目をつぶって、考えるように、心を想像するのよ。
それが問うと言う意味。」
そこまで言うと、もう説明しないぞと言う感じに夢子は口を閉じた。
ヤサは目をつぶってみて、『心』と言うものを想像した。
薄いピンク色で、ハートの形をしていて・・・。
「絵の中に入る方法?」
急に声が聞こえた。
ヤサは何だろうと思って目を開けようとしたが、夢子が急に「そのまま!」と言うので、
目がピクッと動いて止まった。
「そりゃ、私の力にすれば簡単なことよ。君が描いた、どの絵に入りたいの?」
ヤサはここでやっと、自分の心がしゃべっているのだと思った。
「つい最近 描いた、湖の絵。」
ヤサは口に出さず、想像の中にいる心に話しかけた。
「わかった。あの山と湖の、きれいな風景ね。私、あの絵 気に入っているの。」
心はそこまで言うと、息を思い切り吸った。
ような気がした。
目をつぶっているのに、光が見えてきてまぶしい。目をつぶったら暗いはずなのに、真っ白だ。
今度は太陽より明るい光がさしてきた。
ヤサは思わず目を開けてしまった。
すると、あたりは学校の廊下ではなかった。
ヤサと夢子は、空の上にいた。
下を見ると湖が広がっている。湖が山に囲まれ、その部分だけへこんでいるようだった。
ヤサが学校で描いた絵の風景そのものだった。
遠くに、キラッキラッと光るものが見えた。体が銀色で、太陽に照らされて輝いていた。
それは、竜だった。こちらに気づいたようにやってきて、すぐ前で止まると、しゃべり始めた。
「お前たちは何か大切なものを探しているようだな。私も大切なものを探しているが、
それはお前たちに見せることも、言葉にすることもできない。
ただ何か、そう、心だ。私は失ってしまった心を探している。」
二人は竜を見て、珍しいとも怖いとも恐ろしいとも思わなかった。
竜はハッとしたように夢子に向かって言った。
「・・・、お前はこの男の子のそばに、ずっといて、守ってやりなさい。」
竜の目は、真剣だった。
夢子はその言葉で、ハッとしたような顔をした。
「はい、分かりました。私が、この清水夢子が、ヤサ、いや、川島優一を一生守っていきます。」
ヤサはとても驚いた。
「一生守っていく」なんて、と思ったが、夢子は真剣な目をしていた。何かを決意したような、とても凛々しい顔だった。
「頑張って、精一杯 生きろ。いつか必ず、幸せが訪れるはずだ。」
そう言って竜は去っていった。
雲と雲の間から差し込んだ光が筋となって輝き、竜の体にあたり、キラッと輝いた。
二人はスッと白い光に包まれ、色とりどりの星たちが一瞬チラッチラッと光るような気がした。
気がつくと二人は野ノ花道にいた。
前にヤサが散歩しているとき、水晶を夢子と一緒に見た、縦長の石に座っていた。
「いや~、すごかったね。」とヤサが言ったが、夢子は少し悲しそうな顔をしている。
「ヤサ、あと、ほんの少しだけ、心がぽっこりと抜けているのよ。その心は・・・、
私。 ヤサ、私はあなたの心だったのよ!」
ヤサはなにを言っているのかさっぱり分からなかった。
「今までありがとう。ごめんね、私があなたの心をすべて持っていたのよ。 あの竜が言った言葉で分かった。」
周りがスーッと光った気がした。
白い泡になって、空に上っていくものが見えた。
一瞬だけ、トラックが目の前に飛び出してくる様子が浮かんだ。
ハッと気がつくと、いつも通りの野ノ花道だった。
「あれっ?」ヤサは周りを見渡した。
「ありがとう も言えなかったな・・・。」
ヤサは胸に手を当てて、目をつぶり、心の中でつぶやいた。
「ありがとう、夢子さん・・・・。」
「おーい、ヤサー!」
声が聞こえた方を見ると、
事故があったときに「遊ぼう」と言ってきた友達がいた。
ヤサはスッと立ち上がって、友達の方へ走っていった。
「おい、ヤサ、足、完全に治ったの?」
ヤサの久しぶりな笑い声とセミの鳴き声が、夏の野ノ花道に響いていた。
<完>
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