≪2015年6月17日の記事≫
右の卵巣に腫瘍(しゅよう)が見つかった茨城県の女性(44)は2004年、右の卵巣と卵管を切除する手術を受けることになった。9月中旬、筑波大病院(茨城県つくば市)に入院した。
同居する両親に、病気のことをなかなか言えずにいた。ようやく話したのは手術の1週間ほど前だった。「卵巣に腫瘍があって取った方がいいみたいだから、手術することになったの」
母はただ、黙って聞いていた。
驚きと不安。聞きたいことはたくさんあるはずなのに、「じゃあ、頑張ろうね」と言ったきり、言葉が続かなかった。
「病気になんかなっちゃってごめんね」。心の中でそうつぶやき、自分の部屋に戻って泣いた。
卵巣の腫瘍は、手術で取った組織を詳しく調べないと、良性か悪性かの区別が難しい。
しかし、主治医で病院教授の佐藤豊実(さとうとよみ)さん(51)は、CTやMRIの画像と腫瘍マーカーの値から「おそらく腫瘍は悪性。病気の進行具合を示すステージは、腫瘍が片側の卵巣にとどまる1A期では」とみていた。
卵巣がんにもいくつかタイプがあり、女性の腫瘍は形の特徴から「明細胞腺(めいさいぼうせん)がん」の可能性が高かった。日本の卵巣がん患者の約25%を占め、抗がん剤が効きにくいタイプといわれる。
04年当時、明細胞腺がんは、ほかのタイプよりも病気の経過が悪いとされ、たとえ初期であっても、両方の卵巣と子宮も摘出するのが一般的な治療だった。
しかし、女性は「将来、子どもが欲しいです」と佐藤さんに気持ちを打ち明けた。
佐藤さんはまず、腫瘍がある右の卵巣と卵管だけを摘出する手術を勧めた。手術後、摘出した腫瘍を詳しく調べて、腫瘍のない左の卵巣と子宮もとる必要があるのかどうか、検討することになった。
佐藤さんは「明細胞腺がんだったら、反対の卵巣と子宮も取る必要があるでしょう」と2度の手術の可能性があることを説明した。
9月下旬、右の卵巣と卵管を摘出する手術を受けた。1週間ほどで退院し、10月に再び受診すると、佐藤さんから告げられた。
「摘出した腫瘍はやはり、明細胞腺がんでした」
手術前、母と成田山新勝寺(千葉県成田市)へ行った際、参道で買った数珠。お守りとして身につけていた

医学の進歩で、治療の選択肢が色々増えていますから、時間が許すかぎり、自分がどう生きたいかということを整理して、医者に伝えることが必要ですね。
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