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夕方のラッシュの乗り換え駅で
人波にもまれて 時おりぶつかりながら、歩いてゆく あなた
生成りの麻のジャケット姿に、べージュのパンツ、
ちょっとお洒落な40代・・・それが、、、あなたの印象だった
あなた右手に 白い杖があるのに気付くまでは。。。
ただでさえ、混雑する駅で、あなたは戸惑いながら
白い杖の先で、階段を確かめるように歩いてゆく
少し勇気を出して 声をかけた私^^
「お手伝いしましょうか?」
『お願いします。』
「どちらのホームまで?」
『下りのホームです』
「あっ、私も同じホームなので、一緒に行きましょう」
『ありがとうございます!』
彼の顔が一瞬、輝いた。
人ごみをかきわけて、下りのホームへたどりつくと
あなたは聞いた
『次の電車は、特急ですか?』
「いいえ、各駅停車ですよ」
『特急に乗りたいのですが・・・』
「私は 次の各駅停車に乗るので、ここで失礼しますが」
「この後の 特急はすぐに来ますから、ここで待っていたほうがいいですよ」
あなたは 私の声のする方に軽く会釈をして
『ありがとうございました!』と小さな声で言った
雨に濡れたホームはすべりやすいので ホームの中ほどに案内して
私は、各駅停車の電車に飛び乗った。
ホームのあなたの姿が遠ざかるにつれ、
色々な思いが頭を巡った。
どうして、次の特急に一緒に乗らなかったのだろう?
手伝いをするのなら、ちゃんと見届けないといけないのでは?
すぐそばにいた 女子学生にお願いすればよかったのに・・・
「こちらの男性を次の特急に乗せてくださいますか」って・・・
あなたは多分、大人になってから、光を失ったのでしょうねぇ
あの白い杖の動きは、戸惑うあなたの 心そのものみたいな・・・
そんな気がするの。。。