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遠くで、花火の音がする
ひゅるひゅる~~と花火が空を昇ってゆく
次の瞬間、夜空一杯に広がる大輪の花
わき上がる歓声
そして、暗い空に細く残る白い煙の尾・・・
ず~っと前の夏だったね
あれは海上の花火だった
短い北国の夏
つかの間の夏
小さな町の 小さな花火大会
町中の人達が 港に集い
まるで大漁の船を待つような
賑わいの夜だった
二階の窓から、身を乗り出して
花火を眺めていた私
くいいるように、飽かずにながめていると
強い力でひきよせれて
窓は閉められてしまった
「花火は毎年、観られるよ」
「これからも、ここでずっと・・・」
「せっかく、逢えたのに、花火ばかり観ているなんて・・・」
そう、そうなの、、、
私はあなたに逢いに来たというのに
背を向けて、花火に夢中だった
大人のあなたは苦笑いしていたね
「しかたないな~~」
「花火のほうが面白いんだろ?」って・・・
「そんなことない!」って言えばよかったのに
何も言わず、微笑んでいただけの私
遠い、遠い、思い出の夏
二人の最初で最後の夏。。。