PR
Keyword Search
Freepage List
Comments
今年は、あの暑さのせいか、初秋を彩る花・・・秋桜(コスモス)が花屋の店先に並ぶのが
例年より遅かったような気がする。
コスモスは菊科の花で・・・花言葉は【少女の純真】
コスモスは私の好きな花
夏の終わり、秋の始まりを告げる花
秋桜というように、一輪より、群生して外に咲くのが似合う花
季節のうつろいと、はかなさを感じさせてくれる花
静かな意思を、秘めた花
あれから、何年たつのだろう
雨の日の多い9月だった
まだ新しい木の匂いのする、ホスピスの部屋
ベランダからは、雨に濡れたコスモスの花が見えて
「きれいだな・・・」 と、義父が小さくつぶやいた
医師からは、後10日くらい・・・と言われていた
だから、意識のあるうちに、本人の望むことをして下さいと・・・
愛煙家の義父は車椅子でベランダに出て、、、
煙草を吸いながら、小雨の降る庭を眺めていた
ホスピスで充分な痛みの緩和治療をしてもらい、痛みから解放された義父
あの痛みに苦しんだ日々が地獄なら、、、
ここは天国のようだ、と義父は穏やかな表情で話してくれた
多分、魂は半分くらい黄泉の国に向かっていたのだろう
痩せて薄くなってはいたけれど、すっきりとした透明感のある、義父の背中だった
「ここは、いいところだ~」
「よく探してきてくれたね・・・」
静かな初秋の午後の、穏やかな時間
数日後、ガンが肝臓全体に転移していた義父は、肝臓が機能しないため
「肝性昏睡」状態に陥り、そのまま意識は回復せず、数日後亡くなったけれど・・・
延命処置もしない方針と説明された通り、自然な死を迎えられて穏やかな最期だった。
毎年、花屋の店先で、コスモスの花を見かけると
雨に濡れて、ホスピスの庭に咲いていた、あのコスモスの花を思い出す。