Love on line / memories of 4 years.

Jan 14, 2004
XML
テーマ: ネット恋愛(48)
カテゴリ: love on line.
早めに、空港まで走った。
今日も、いい天気。
空港に車をとめて、手ぶらのまま外に出た。


まだ時間あるね。少し、歩こうか。

うん。


半歩先を歩く彼が、手を差し出してくる。
私はその手を握る。
陽射しを浴びて、笑いながら歩く。
まだまだこんな時間が、ずっと続くかのように。



女同士の気楽な西海岸旅行。
楽しい時間を過ごし、帰国の便に乗るために
送迎車から降りて、駐車場を歩いていた。

確かその日は、曇り空だった。

現地の男の人と、
日本人と思われる女の人が、
抱き合っていた。
相手の全てを慈しみ、愛し、
別れを忘れて、相手だけでいっぱいになりながら、
抱き合っていた。

切なく、美しい光景だった。



一瞬だけ唇を重ね、顔を離して笑った。
周りを眺めて、少し照れた顔で、
また笑った。

荷物を持って、空港に入る。

「ついさっき、ここで会ったばかりのような気がするのに。」



「うん。そうだね。おかしくなってる…」


チェックインが遅れていた。
手荷物検査が遅れているのか、東京へ行く客は長い列を作り、少しイライラした顔で、検査を待っていた。

並ばないで、彼の横にいた。
外の景色を見たり、縮まない列を見たりしながら、
まだまだ、遅れてもいいと思いながら、
彼の横にいた。

「一緒に並ぶよ。」

列が短くなり始めた頃、彼がそう言った。
私の荷物を持ち、一緒に歩き出す。
顔を、みつめる。
笑う。
検査は進まない。
列の最後尾にいながら、
最後の一瞬を味わう。

逢える喜びに必ずついて回る、別れの苦しさと一緒に。

検査が、目の前に迫っていた。
彼が、私に荷物を渡した。


「また、会おうね!」


逢いたいって思っていれば、きっと逢える。
それが、いつのことになるか
今年中なのか、何年も先なのか、
その頃も今のような関係でいられるのか、
全くわからないことだけど、

きっと、逢えるよね。


検査を終えた客が、どんどん機内に乗り込んでいく。
出発予定時間がもう過ぎていて、
空港職員がすぐに機内に入るように促している。

振り向いたら、窓の向こうに彼が立っていた。

窓に駆け寄る。
荷物を床に置く。
窓に手を当てて、顔を寄せる。
彼も窓の向こうから手を重ね、顔を寄せる。
そして、目をつぶる。


それが、最後のキス。





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  Jan 20, 2004 04:37:00 AM
コメント(4) | コメントを書く


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: