芸術家 Mさん


ちょうどお正月2日だったと思います。
緊急手術でお腹の手術をしたMさんという女性がICUから病棟にきました。
小さくて、きれいな方で、上品さをかもし出していました。
なんでも、絵を描いている方で、個展やいろいろなところに絵が飾ってあるそうです。

この方の受け持ち看護師は私ではなかったのですが、私のことをたいそう気に入ってくれ、「姫」と呼んでくれていました。

お腹の緊急手術って、長引くことが多いんです。
傷の付きが悪かったり、お腹の中で膿ができちゃったり(←腕が悪い?)。
Mさんも2ヶ月近い入院となり、辛いことも多かったと思います。
2人の娘さんもいましたし。
でも、一言も辛いことや愚痴も言わず、私たちの身体を気遣い、闘病生活を送っていました。

無事退院できる日、Mさんからお手紙を頂きました。
感謝の言葉がたくさんつづられていました。
私の方こそ感謝です。女性として、将来母となる日には母として見習いたいと思いました。

退院してから、外来の日Mさんは病棟に遊びに来てくれました。
「今度みんなの絵を描きたいの。お礼っていうのもおかしいけど」
そう言ってMさんは、私たちの写真を撮っていかれました。

その後MさんはTVに出演したりもしていました。
どこかで、Mさんの描いた私たちの絵が飾られているのかと思うと、ちょっとこそばゆいような、誇らしいような気分になります。

「結婚したり、出産したら教えて。お祝いするわ。」
と言っていたMさん。
結婚の時はお知らせできませんでしたが、一日も早く出産をMさんにも祝ってもらいたいものです。

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