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サリィ斉藤

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カテゴリ: 本の話
いつか、さりげなく着物でお出かけが出来るようになりたい…と思うようになって、もう何年たったことやら。


ところが、最初の方で、筆者と小唄のお稽古仲間であるエッセイストの青木奈緒さんとの

「今ね、三十代の若い女の人がブランドに飽きちゃって、『ちょっときものでも着ようかしら』っていう風潮になっているでしょう。あれってちょっとねえ」
「そうよね!あんたたちは繰りまわしとか、染め替えとか、知っているのかっていいたいわよね。きものというものは本来、そういうものですもんね!」

という鼻息の荒い会話が出て来て、「申し訳ありませーん!」と私はぺしゃんこになってしまいました。

しかし、(言い訳がましいけど)私の場合は、着物に興味を持ち始めたきっかけは「おしゃれがしたい」というのとはちょっと違うのです。
数年前、実家が建て直しをすることになり、祖父母の遺品の大々的な整理が行われたのですが、その際、桐の箪笥の中から、祖母が若いころに着ていたと思われる古い着物と帯が数枚出てきました。

祖母は、生きていれば今年89歳。

例えば、白地の袋帯に、鮮やかなエンゼルフィッシュの刺繍がでかでかとしてあったり、色合いの微妙に異なる矢羽が組み合わされていたり…
昔の人のファッション感覚って、こんなに斬新だったのか!と、目からウロコが落ちる思いでした。明らかに、私が「着物の装い」とイメージしていた、大人しいものとは違っていたのです。

祖母も、戦中を生き抜いた多くの女性同様に、大切な着物をお米や野菜に代えて子どもを育てた人でした。その苦労話をよく聞かされていただけに、どうしても手放したくなかった大事なものばかりがここに残されていたんだろう…と、涙が出ました。

でも、残念ながら、祖母の着物を残された私たちは、箪笥の中にしまっておくしか出来なかったのです。家族の中では誰も、自分一人で着付けられる者はいないので…
自分の国の、世界に誇るべき民族衣装なのに、なんと嘆かわしいことよ。と、わが身を恥じたのが
「いつかは着物…」
と思うようになったきっかけでした。

しかし、十代の頃から着物を着慣れているはずの群ようこさんですら、「1年365日きもので過ごす」という試みは大変な苦労を伴うものだったということがよくわかりました。
日常着に着物を取り入れている方の日記を、楽天広場でもよくチェックしますが、皆さんすごいんだなぁ…と、今はまだまだ感嘆するばかりです。

でも、自分の中に流れているはずの「日本の女のDNA」を信じて、いつの日か、未だ埋もれたままの祖母の着物で街に出ていきたいなあと思っています。
そうそう、夫は周囲から「歌舞伎系の顔」とよく言われていて(面長でツリ目なので、写楽の絵みたいなのです)、夏に浴衣を着るとなかなか似合うのです。いかり肩で、浴衣姿も今ひとつ女らしくなれない私よりよほど(笑)


【今日読んだ本】群ようこ きもの365日
きもの365日 ( 著者: 群ようこ | 出版社: 集英社 )





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最終更新日  2004.11.21 18:03:48
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