ミステリの部屋

ミステリの部屋

2005年12月24日
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カテゴリ: 海外ミステリ
題名からわかるのは、女性が探偵社を始める話だということくらいですが、ヒントは表紙にありました。

真ん中に描かれているのはワニです。
その向こうには広がる青空と、平原に佇むわらぶきの小さな家。
そう、ここはアフリカなんです。


実家を切り盛りしていたラモツエだが、父の死後、遺産の牛を売り、首都ハボローネで探偵社を開いた。のどかなこの地で探偵業は成り立つのかと思いきや、意外や意外、依頼は浮気の調査から失踪人探しまでひっきりなし。鰐や蛇と格闘しなければならないことだってあるが、それでもアフリカの大地をこよなく愛するラモツエは、きょうも手がかりを求めてサバンナを疾走する。持ち前の洞察力と行動力でよろず解決となるか…。
世界中が夢中になった名探偵、ついに日本初登場。



作者はアレグザンダー・マコール・スミス、1948年、ジンバブエ生まれのスコットランド人。スコットランドで法学部教授となるが、その後ボツワナで最初のロー・スクール設立に尽力、現在はエジンバラ大学の医事法学教授、となかなか立派な方のようです。
学術書から子供向けの本まで書かれています。

探偵社の話とはいっても、ここには血なまぐさい事件はありません。
たとえば、死んだはずの父親と名乗る男が戻ってきた。食事にビールに服も買い、面倒を見ているのだが、それが本物かどうか調べてほしいという女性からの依頼。
アフリカでは親類は養わなければならないというしきたりがあるので、居候や詐欺師も横行するらしいのです。


鉱山への出稼ぎで身体を悪くしながらも、探偵事務所が開業できるくらいの牛を残してくれた父親の人生や、若気の至りでつまらない男にひかれてしまい、結局夫も赤ちゃんもなくしてしまったラモツエのつらい過去も語られます。

未だ男尊女卑の気風が残る土地ですから、ボツワナでの女性の探偵はもちろん第一号です。

ラモツエの人生経験を生かした事件解決の仕方も、大らかで自分の人生を肯定した生き方も魅力的です。
それでもこの作品に引き込まれてしまう一番の理由は、自分の生まれた国と土地を誇りに思い、愛する気持ちが溢れているから。

夕暮れ時に自分の家の戸口に座って、ルイボスティーを飲みながら、どこまでも広がる平原に沈む夕日を眺める場面では、その満ち足りた気持ちが伝わってきます。
ワニもヘビも呪術も御免だけれど、その景色は見てみたいと思いました。



No.1レディーズ探偵社、本日開業 :アレグザンダー・マコール・スミス


日本では2作目の  キリンの涙  まで刊行されています。








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最終更新日  2005年12月24日 12時54分49秒
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