ミステリの部屋

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2007年10月10日

インシテミル：米澤穂信

(4)

テーマ：ミステリはお好き？(1498)

カテゴリ：日本ミステリ（や・ら・わ行作家）

結城理久彦は、車が欲しかった。須和名祥子は、「滞って」いた。
オカネが欲しいふたりは、時給１１万２０００円也の怪しげな実験モニターに応募。集まった１２人の被験者たちは、７日間、閉じ込められる…。
（日販MARCより）、

指一本分滞っているので高額なバイトを探したいという彼女のために情報誌を見ていると、時給1120百円という実験モニターの仕事が……。

時給1120円ではなく１１万２０００円なのです。
これは誤植に違いないと思いながらも、とりあえず応募してみる結城。

しばらくのち、結城をはじめモニターに選ばれた12人が集められ、暗鬼館という地下施設で一週間過ごすことになります。
誤植ではなかった高額な報酬。さて実験とはどんなものなのでしょうか。

『インシテミル』というタイトルと、女の子の表紙からはどういう内容か想像できませんが、それはもうバリバリのミステリでした。

これまでの米澤さんの作品にあったような、青春小説のさわやかさや、日常の謎系ほのぼの感はありません。

描かれているのは殺人ゲームです。

まさに「ミステリに淫してみる」といった風に、ミステリの常道やくすぐり要素がたっぷりちりばめてあるぜいたくさよ。
それに目を奪われていると足元をすくわれそうです。

ある人が大金を必要としていた理由が、私には最後までわからなかったのですが、目を奪われすぎたのでしょうか。

とにかく、久しぶりに読んでいる間は何もかも忘れていられるという幸せを感じていました。

インシテミル、英題は『THE INCITE MILL』。
INCITE…刺激する、激励する、扇動する
MILL…製粉場、製粉機、製造工場