ミステリの部屋

ミステリの部屋

2009年10月27日
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しかし、奇蹟には理由があった―。
殺人、強奪、幼児虐待…ずっと孤独に生きてきた少年が、インドの貧しい生活の中で死と隣あわせになって目にしてきたもの。
それは、偶然にもクイズの答えでもあり、他に選びようのなかった、たった一つの人生の答え。
幸運を呼ぶ1枚のコインだけを頼りにしてきた孤児の、残酷だけれど優しさに満ちた物語。
(内容「BOOK」データベースより)



次々と立ち並ぶ高層ビルの横に取り残された、スラム街。
急速な経済発展が信じられないような貧困が存在する国、インド。

けれども、今の日本にはない、強烈なエネルギーを感じました。


アカデミー賞では、作品賞を含む8部門を受賞した映画『スラムドッグ$ミリオネア』の原作ですが、読んでみると、かなり話のすじが違うことがわかります。

映画のために変えた意味は、よくわかります。テンポがよく、わかりやすくなり、それが成功しています。
けれども、原作は原作で、素晴らしい物語でした。

18歳のラムは、高額な賞金で有名なクイズ番組に出て、全問正解しますが、不正の容疑で逮捕されます。
そこへやってきたのは女性弁護士。
彼女に聞かれ、彼は、自分がどうしてクイズに答えられたのかを話し始めます。



彼が語るにつれてあきらかになる、インドの現実……格差社会、暴力、児童虐待、宗教の対立、人身売買。
残酷さに目をそむけたくなったり、胸が痛くなったりもしますが、死がいつも身近にある状況でも、したたかで、たくましく駆け抜けていく姿に圧倒されます。

確かに、そんな彼の生き方の中に、クイズの答えはあったのです。

最後に、あるどんでんがえしがあり、不思議な爽快感と優しさをくれます。
1ルピーの秘密も良かったです。














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最終更新日  2010年02月05日 19時20分40秒
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