ミステリの部屋

ミステリの部屋

2010年04月28日
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上巻 若夏(うりずん)の巻
珊瑚礁王国の美少女・真鶴は性を偽り、宦官になる―。


下巻 花風の巻

折しも内外に国難を抱える五百年王国にペリー来航。
近代化の嵐が吹きすさぶ―。

内容(「BOOK」データベースより)


初・池上作品。

琉球王朝が舞台の、壮大で重厚な歴史小説、というイメージを持って読み始めたのですが、大いに違っていました。

決して重厚ではありません。
軽いと言った方が良くて、しかも劇画調の壮大なエンタテインメントでした。


美しく頭脳明晰な女性、真鶴は、性別を偽って宦官となり、国政のトップに立ちます。

その後、想像できないくらい波乱万丈の人生が展開するわけですが、上・下巻あり、かなり長い話であるにもかかわらず、やめられない面白さでした。


テンペスト=嵐。

真鶴は孫寧温となり、男として王宮で生きることを決めたはずなのに、好きな人を想う女心は抑えきれず、心に嵐が吹き荒れます。

清と薩摩に挟まれて生きてきた小国・琉球にも、西洋諸国が押し寄せ、こちらも近代化の嵐が……。




アクの強いキャラクターが多いのですが、特に清からやってきた好色な宦官の気持ち悪かったこと。大嫌いです。作品の中から消してやりたい(笑)

思い出すだけで、気分が悪くなるシーンも幾つかあり、そんな時は、もうしばらく、池上さんの作品は読みたくないと思いました。


とはいえ、気を取りなおして。

考えてみればこれまで、沖縄がかつて琉球王国だったことは知っていても、それ以上のことは知りませんでした。

けれども、ジェットコースターのように走り抜け、物語を読み終えたときには、私は美しい琉球王朝の姿を、ありありと目に浮かべることができるようになっていました。

だからこそ、その美しい国が日本の一部となった後、日本が決して大切にしてこなかったことを思い、悲しくなりました。


多少読み手を選ぶかもしれませんが、すごい作品でした。
ぜひ、重厚な歴史小説ではなく、歴史ファンタジーだと思って読んでいただきたいです。





テンペスト 上(若夏(うりずん)の巻) テンペスト 下(花風の巻)







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最終更新日  2010年04月28日 21時17分35秒
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