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サイド自由欄

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トールも製作に関わったオラクルカードです♪
2009年08月27日
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クリロズの部屋のセキュリティを開放をすると、ブルーグレーの軍服を着た一人の男が現れた。
長身に赤みがかった濃い金髪を後になでつけている。完璧な敬礼をしながら、朱色の瞳がなつかしげに笑っていた。

「やあデオン、ひさしぶり。今は敬礼は必要ないよ。楽にしてくれ」

トールは笑って椅子を指し示した。人為グリッド計画が始動してから彼への訪問客も飛躍的に増えたため、クリロズの自室を改装してスペースを増やし、簡単な応接間を作ってある。

失礼します、とデオンはソファに長身を沈めた。

「だから敬語はいいと言うのに。今の私は司令官ではないからね」

「とはいえ、今回も計画の総司令であることに間違いはないでしょう? エル・フィンだって敬語を続けているでしょうに」

「まあねえ……自分からそういう地位を狙ったことはないんだけどな」

銀髪の男は苦笑して肩をすくめた。
本人は気ままな研究職、あるいは一兵卒のつもりでいるのに、いつのまにか大仰な肩書きを背負うことになってしまうのは、昔も今も変わらないらしい。
当時からまったく軍人らしく見えなかった穏やかな雰囲気も昔のままだ。なんとはなしに嬉しくなり、デオンはふっと目尻を下げた。

「エル・フィンはステーションですか」

「そうなんだ。最近忙しくてね。ルークとは?」

「まだ会っていません。式典の前には顔を出すつもりでいますが……今は混乱するでしょうから」

そうだね、とトールはうなずいた。この金髪の男が、エル・フィンと共通の友人であるルークァンスをとても大切にしていることを、彼は知っていた。
生体工学が専門の技術者であるルークにも、そのうち計画に協力してもらうことになるかもしれない、と伝えておく。

そうでしょうね、とデオンもうなずいた。彼は今、クリロズが属するものとは別の艦隊に所属しているが、例の計画の話はとうに流れてきており、中核に知人がいるからと連絡役を買ってでたのだ。
元々の役職も暇なものではないはずで、仕事量は相当なものだと思われるが、それを飄々とやりこなしてしまうのがこの男の特徴だった。

「建造はどれくらい進んでる?」

トールの言葉に、彼は表情を仕事用にひきしめた。

「続々と。元々そういう予定でしたからね。グリッドで共振させる計画にはなっていませんでしたが。各地でポイント作りが行われていると聞いていますが、幹線グリッドはいつ引くんです?」

「式典の日、日蝕の瞬間に。太陽の巡航ルートをスイッチにする」

きっぱりとした答えに、デオンは目を瞠った。日蝕式典まで、もうあと一週間ほどしかない。そもそも計画を公にしたのも七夕の夜だと聞いているが、すでにそれほどまで準備をすすめていたとは。

「……相変わらず仕事がお早い」

内心舌を巻きながら言う。この人の下にいるエル・フィンが、忙しいと愚痴を言いながらも楽しそうに仕事をしているわけだ。多忙には違いないが、これほどテンポよく進められるならばストレスは少ないだろう。

そういえば昔、一度だけ一緒に仕事をした際もそうだったと彼は思い返した。ちょっとばかり大きな案件があり、エル・フィンを借り受けようと連絡した結果、その直属の上司までわざわざ出てきてくれたのだ。
あの時もとても勉強になったし、下士官の人気が集まるわけだと深く納得したのであった。

それに剣も強い。エル・フィンとこの人と自分。三人で戦場に出たときは、負ける気がしなかった。

やはり軍人であるから、いくらデスクワークができても武術もある程度はできなければ評価が低くなってしまうデオンであったが、前線に出ればみずから退却戦の殿(しんがり)をつとめて部下を先に逃がす彼には、文句のつけようがなかった。

この人の下で働きたい、そう思わせる何かがこの銀髪の錬金術師にはある。いつのまにか肩書きが増えるのは仕方ないんだ、そうエル・フィンが言っていたことがあるのを思い出した。

「デオン?」

追憶の海に沈みかけていたデオンを、穏やかな声が呼び戻す。

「ああ、すみません。またこうしてご一緒に仕事ができて、光栄です」
「それはありがとう。君も忙しいだろうけど、よろしく頼むよ」
「もちろんです。御用の際はなんなりとお声をおかけください。こちらにはできるだけ頻繁に伺うつもりですから」

デオンは深々と礼をして、クリロズを辞去した。



懐かしい。
ステーションの執務室で、空間をつなげたスタッフルームにいるエル・フィンを見やりながらトールはふと微笑んだ。

クリロズにデオンが訪れたことを、当然彼はすべて感知している。
今は忙しくてそれどころではないが、式典の日には、デオンとエル・フィンら、旧友の再会もあるだろう。

たくさんの色糸が寄り集まり、壮大なタペストリーを織りあげてゆく。
各所で織られ始めたものも集まって、一枚の大きな絵になってゆくのも、もしかしたらそう遠い未来ではないのかもしれない。


エル・フィンの部下が、緊張した面持ちで報告書を提出に来た。
ここ数日、通常の仕事も忙しい中、残業して一生懸命に書いていたものだ。何度も書き直しを命じられていたが、どうやら遊撃隊長のOKが出たらしい。

エル・フィン自身がそれは見事な報告書を毎回提出してくるから、部下の書類についてもびしばしと指導を入れているのだろう。冗長な報告書を丁寧に読んでいる暇はないため、それはありがたいことだった。

見てみると、効率的なシフトの組み方についての内容だ。
遊撃隊の面々には、先日緊急ミーティングを行って計画について説明したのだが、どうしても今のままでは人手が回らなくなるという危険性があった。

新しい人材を入れてもいいが、あまり多くなっても動きが鈍くなる。この提案をうまく生かせば問題は回避されるかもしれない。

「よろしい、採用だよ」

緊張して彼の前に立っている黒髪の遊撃隊員に、彼は微笑をみせた。




















<水晶薔薇庭園館綺譚10 提案書(7月上旬~中旬)>(エル・フィンさん)
http://elfin285.blog68.fc2.com/blog-entry-73.html




*************

>>【銀の月のものがたり】  目次1  ・  目次 2

>> 登場人物紹介(随時更新)



旅行の隙間にアップですw
明日夜からまた出かけてしまうので、旅行記は書く暇がないのですが
エル・フィンさん本体さんのたか1717さんとレオン君本体さんのかほりさんと、二泊三日で晴明神社・鞍馬・貴船・伊勢に行ってきました(←どんな旅程w)。
上のエル・フィンさんのブログで上下巻き込んだ爆笑ネタが披露されてますので



デオンさんは、三次元の本体さんがいらっしゃるかどうか、まだわからない方。
主にルークさん、ルーシェさんの三次元体さんでいらっしゃる、wakka○さんのブログに登場しておられます♪
「魔女の家頁」 http://witchouse.blog19.fc2.com/

トールも会ったことがあるとは最初全然思ってなかったのですが、
軍人だったアルディアス時代にご縁があったようです~
ほんと、タペストリーのように繋がってゆきますね。これからどうなるんだろうw




コメントやメールにて、ご感想どうもありがとうございます!
おひとりずつにお返事できず、本当に申し訳ございません。
どれも大切に嬉しく拝見しております♪
続きを書く原動力になるので、ぜひぜひよろしくお願いいたします♪


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最終更新日  2009年08月27日 13時17分42秒
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