2004年10月21日
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カテゴリ: 時事

2回 大人はどう向き合うのか
後半

2 親の子供理解
 このあと、NHKの設置した掲示板では親に対する厳しい意見が最も多かったということから、親の理解へ話が移る。
 親は子供を一方的にしかものを見てないという例が出てくる。
 そのあと、子供たちに体当たり的に接している例が出てくる。
 なかなかドラマのような典型的な言葉が並んでいるので、ついでにまとめる。

その発言集
1。後半部分の冒頭に

20  18歳女

 そんなわけないのにな、っていっつも怒られながら思ってました。
 わかってないんだな。自分の外枠だけ見てるんだなって。

21  15歳男
 この前親とけんかしてしまいました。~
 「お前みたいな害虫出ていけ」
 いくら怒っているからといって、ここまでいうのはひどすぎると思います。

22  11歳女
 ふだん明るく振舞っても、夜になると泣いてしまう。気づいてほしい、信じ過ぎないでほしい。

<魚住絹代(女子少年院の教官12年。対象千人以上)>
 親が代わらなければ子供の問題は解決できない、と経験上感じている。
 問題の裏には、決まって親子関係のつまづき。



 親は子供を一方的にしかものを見てないという例からの発言表現集。

 15歳で非行。暴走族との付き合い、シンナー。
 「もう、親を喜ばすために生きていたくない」
 「親って何なんですか? 自分を産んでくれた人、それはわかるけど、だから何?」

 『生きてて辛かったって記憶しかない感じで、でなんか、親が怖かった。親がすべてで怒られると死にたい気分みたいな、なんか支配されてるっていう気持ちが大きくて、自分の価値がよくわからないてというか、そうやって人に喜んでもらわないと自分の価値はないのかな。』


 進学校向けの塾、ピアノ、英会話などさせる。
 信じられない。何不自由なく育ててきたのに裏切られた。

 『誰からも「いいお嬢さんですね」と言われる子に育ってほしい。良いお嬢さん=何でもできる完璧な人間だと、思っていましたから。
 それが女の子に対する最高の誉め言葉というよりも、母親に対する最高の誉め言葉だと思っていましたから。女の子は特に「母親の作品」と思ってましたし。』

 『えっ、無理してやってたのっていう、もう驚きでしたね。そんなに私、無理させてたのっていう、ちょっと信じられなかったですね。だってあなたそんなこと何も言わなかったじゃない。』

 受験の近づく中3の2月期、髪を染めて、塾をサボるようになった子にパニックになり、
 『こんな恥を書かせて。そんなあなたならいらない。あんたなんかいなくなればいい。』
 と言われたことに子は傷ついていた、と。

 「親が怖かったからいやいや言うことをきいていた。」
 「いい子だったときは自慢してたくせに、ぐれ始めるとひた隠しにして、親の言うとおりじゃないと私は用なしなの。 自分の存在価値がわからなくなって、これまで親の・・~ 裏切られたと思ったんだろうと思う。」

 そう聞かされて、母娘の対話。
 母親は自分がどんなに愛情を込めて育ててきたかを話そうとする。

 「お母さんはほんとに私のことを考えてくれているの? 魚住先生は私のために泣いてくれたんだよ」
 『この子のためにほんとに泣いたことあったかなとすごく考えて。私はこの子のために流した涙って、自分のために、ただ自分を癒すために泣いた涙じゃないのかな。この子のためにしっかり泣いた涙なのかなってすごい思った』  (終わり頃は涙声)


 愛情と言いつつも、実際に大切なのは自分の愛情と名づけた感情自体だったりする。それは当たり前だ。
 それが悪いんじゃなくて、それ―愛と名づけた主観性―以外のものを見ようとしないのが問題。
 娘に主観(愛情)を伝えればいいことだと思って、しょせん主観だけでは通じなくて、かえって愛情自体が疑われるものとなる。
 それはいつの時代もある話。

 いまさら親が自分勝手でうそつきだなどと言っても始まらない。

 親は、たいてい未熟なのだ。 親が完成するまで待っていたら、年寄りになってしまう。未熟なままの年齢・経験・家庭の体制・時代環境の中で育てるのだし、りこうな子として育った親ほど、赤ん坊から幼児に対してはびくついて育てる羽目になる。

 それは当たり前のこと。 

<義家教師>
 今までの教育は、高度成長期の頃に確立した、「いい学校、いい企業、幸せな人生、という路線に乗っかっていく」という――いわば、魔法の杖に支えられてたと思うんです。それが今、通用しなくなってる。
 権威が崩れたんだから、高みから降りて、・・~。

<魚住氏(家庭教育サポーター)>
 親が子供を、自分のもの、一心同体と思っていると、子供の成長変化を否定的に受け止める。
 子供はその子自身になるために生まれている。

23  16歳女
 親が友達を評価して、あれこれの友達とのつきあいをやめたらなどと言う。
 ちょっと不良じみていても、自分にとってだけは、健全ないい友達だったりする。
 子供の世界を単純に判断して、「子の心、親知らず」も多いんじゃないでしょうか。

24  13歳女
 体力的に練習についていけず、選手よりもマネージャーをコーチに勧められて、役に立つことをしようと思ったら、親は激怒して「厳しさから逃げているだけ」と私の言うことをきいてくれません。

25  12歳女
 自分の親はなんでも話をきいて相談に乗ってくれる。こうしたら?とか言ってくれる。
 うまくいかずに再度相談すると、言ったことはやってみたのか?と半分説教状態になる。
 辛い状態の上に怒られて、悲しくなる。味方がいなくなったかのようで淋しくなる。

<金森教師>
 子供はいつでも、どたばたしながら生きていく、生まれてから10年そこらしか生きていない、子供なんですね。親の昔を掘り起こすことじゃないかな。

<魚住氏>
 親は自分が正しいと思って、答えを先に言い、子供の考えをはねつけたりするけども、子供は自分自身をだめだと言われたように受け取める。
 子は親に愛されたいから、親の望みを敏感に読み取って、その価値に合わせようと必死になって生きづらくなる。

<司会>
 ありのままとは、言うは安く行うは難し。

 昔からあるパターンで、めずらしくもなんともない。親子の性格の違いからいつの時代でも起きる。平凡とも言えるパターンが、NHKに寄せられやすいだけかも。
 それよりも、「親子の関係が生きる基礎」でなくて「親子の世界で生きている」みたいだ。
 この番組のように、親が反省しすぎて自分が主役になりすぎるのも問題だと思う。


26  17歳女
 高一のとき、学校になじめずサボっていた。ばれて母は怒り、学校を辞めたいというとさらに怒った。
 『死にたいと思ったことがある』というと、涙を見せたことのない母は泣き、自分も泣いた。

27  18歳男
 志望校を決めるとき、親は「自分のやりたいようにやっていい」と言ってくれて、将来の悩みに押しつぶされそうな気が少し楽になった。

28  16歳女
 大好きな先生は、私が自殺を考えていたとき、一切顔にも言葉にも出さなかったのに、
 「あなたの笑顔に勇気付けられ、あなたの言葉に励まされる人がたくさんいます。私もその一人です」と手紙をくれた。
 こんな私にそんなことを言ってくれるなんて、建前でもうれしかった。涙が止まらなかった。

29  15歳女
 塾帰り。両親とケンカしたためになかなか家に帰れず、ベンチに座っていた。前を通りすぎた人が心配して声をかけてくれた。『大丈夫?なんか辛いことでもあったん?』 なんだかとてもうれしかった。

 ちょっとしたことで、世界の印象が狭い選択でなくなれば、気が楽になる。


30  40歳主婦
 学校のことを聞いても、いつも決まって返ってくる言葉は「ウザイ」。勉強してほしいと訴えてもますます溝ができてしまいます。食事のとき以外はほとんど自分の部屋に行ってしまうので、話し合う機会もありません。子供とどう接触していいのか、わかりません。


西居院 愛知
 全国から10人の子を預かって共同生活。(無料ボランティア)

 やらせているのは、一つの簡単なことを毎日続けること。
 できないときには、全員を集めて、考えを絞る。
 出ていった子の所に押しかけたときの相談には、相手の中から答えを探すようにする。

<義家教師>
 自分は淋しい子供で、いろんな大人が近づいてきたけど、心を閉ざしていた。
 高校の担任教師がしつこく近づいてくるのをいつもウザイウザイと言っていた。
 この先生はしつこかったけども、踏み込んできたんじゃなくて、ただノックしつづけていた。

 心というのは、光を当てれば影ができる。
 ノックはそんなのじゃなかったから、気が付いたら自分からドアを開いてました。

 司会や教師たちは、親が孤立せずに集団で手伝いをしようという話に持っていっている。


31  16歳女
 どんな一言がほしいのか、なんてそんなの大人が考えてほしい。
 自分がこんな言葉がほしいと言ってその言葉をもらったって、うれしくない。

32  14歳男
 いろんな意見があって、子供の方でも似てるけど違うとか、親の見方とか、よくわかった。

33  11歳女
 子供はよく傷つく。親にわからぬところで傷つき、わからぬところで救われている。
 (この11歳女はずっと同一人物じゃないのか?)

34  13歳女
 子供が溝を埋めようとして、遠ざかるのは親。

<義家教師>
 「親にとって子供は夢」
 「夢は逃げていかない。自分が夢から逃げていくんだ」

<金森教師>
 親へ――これらの声は特殊なものではない、と。
 児童へ――やっぱり子供の世界は楽しいぜ。もっと体を開いていっしょに生きるのに汗かいてほしい。


 どうも、子供の頭も親の頭も狭い。その狭さの中で誠意を尽くそうとしてさらに狭くなっていく、という図に見える。 狭い問いに、受身のまじめさで答えようとさらに自分を狭める、というのが、マスコミに誘導される現代のばかばかしさ。

 いわば
 「少年問題」と問われて、「親の不安」と答える。そして「親のあり方」を問うて、「中心は親にある」と答える。 始めから「親のために問う」なら、「親に答えがある」と出るに決まっている。
 そういう視線はまじめなようで狭くないか?

 ところでこの例では、親子の問題だとはいうけども、暴走族が絡んでいるようだ。
 これは、少年犯罪をテーマとせずに、「子供がわからない」をテーマとしている番組だ。
 犯罪・麻薬・親子・友人、、、テーマの把え方によって見方は変化する。

 その難しさの中で、・・・魚住氏は、少女については親(の無意識の生き方)がキーだと見るわけだ。
 その比重は忘れないようにと。





 11/6。シリーズの続きを放送する予定らしい。



「佐世保小6HP殺人」私的総目次
子供問題







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最終更新日  2004年10月31日 15時25分04秒
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