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エデンの南

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December 5, 2005

加賀乙彦『宣告』その４

(6)

テーマ：最近、読んだ本を教えて！(24654)

カテゴリ：読書

◆法螺吹き◆

私は、今迄何人かの典型的嘘つきと接してきましたが、その中には本当に嫌でしょうがないやつと、憎めないし嫌いになれないし、ある種の才能を持ったやつもいました。
クレッチマーによれば「ヒステリー型性格」に当てはまると思うのですが、次の文は大変興味深いです。

　役二十年後、フランスの医師デュプレはデルブルュックとは無関係に、一種の自己暗示から自分の作り出した物語を現実にあったことと思いこんでしまう詐欺師を記述した。デュプレはこの型の人を神話狂と名付けた。神話狂は、自分が創造した御伽話をたえず豊かな想像力によって脹らまし、御伽話の世界が広がった分だけ現実の世界が狭くなっていく。
　空想虚言にしても神話狂にしても、元来は小心で弱々しく、なまなましい現実を真正面から受けとめたり、それに対応して生きていったりすることが出来ない。彼らは嘘を作り出して現実を変え、空想をひろげることで現実を押しのけていき、そうすることでどうにかこの世に生きていける。つまり嘘と空想なしには生きていけぬ弱者なのだ。彼らのうちの或る者は全く現実離れをした夢想者となり、文筆の才のある者は詩人や小説家になり、金儲けを目指す者は詐欺師になる。

今週の金曜に社内引っ越しで憂鬱な私に慰めの１クリックお願いしますっっ。
どんな風になるのやら…結構快適な環境だったから…

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宣告（上巻）
宣告（中巻）
宣告（下巻）

死刑囚の記録　加賀乙彦
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Last updated December 5, 2005 07:27:16 PM
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■コメント

現実との折り合い

まろ0301 さん

　現実との折り合いをどうつけるか、という事は切実な問題です。
　三十数年教師をしてきてほとんど担任をしてきたのですが、当分担任は出来そうもありません。もう出来ないかもしれない。私の中で、折り合いがつかないのはこの点です。
　担任をしようとしない人を気持ちの中のどこかで軽蔑していたのですが、いま自分がそうなっています。その現実をどう受け入れるか、どう折り合いをつけるか、年末から新年にかけて考えねばならないことが出来てしまいました。
　自分にとって好ましくない現実でもちゃんと見なければならないと思いますが、時間がかかりそうです。
　話がそれましたが。 (December 5, 2005 08:11:57 PM)

返事を書く

Re:加賀乙彦『宣告』その４(12/05)

櫻井淳さん

あっ、オレのことだと思うのに、夢想者・詩人・小説家・詐欺師……いずれにもなれないのが、これまたオレのことだと思う櫻井です。

(December 5, 2005 11:03:14 PM)

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Re:加賀乙彦『宣告』その４(12/05)

ジョンリーフッカーさん

実はこの本挫折したんだ。
ちゃんと向き合って読んでらっしゃる。
素晴らしい。 (December 5, 2005 11:26:43 PM)

返事を書く

Re:現実との折り合い(12/05)

SEAL OF CAIN さん

まろ0301さん
＞　現実との折り合いをどうつけるか、という事は切実な問題です。

そうそう、それなんすよね。

それはそうと、まろさんは、生徒さん達と、とてもいい関係を築いてきてるじゃありませんか。
一生懸命突っ走ってくると、人間へこたれる事もあり、当然の事だと思います。
そういう時には、もう出来ないんじゃないかという不安が頭をよぎるものですが、きっと、無理せずに休んでエネルギーをたくわえれば、また元気にやりたい事が出来る時も来ると思います。
昨日まで田中一村伝を読んでいて、あまりに凄まじい休みを知らない人生にびっくらこきましたが…フツーはあんな人間離れしたようには生きられません。(この本については今度UPしますね)
真面目に頑張ってきた人ほど、ちゃんと休む時は休むべきだと思います。誰もがそんなに強くないですからね。
・・・とかなりエラソーな事書いてしまいました。すみませんです。 (December 5, 2005 11:27:32 PM)

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Re[1]:加賀乙彦『宣告』その４(12/05)

SEAL OF CAIN さん

櫻井淳さん
＞あっ、オレのことだと思うのに、夢想者・詩人・小説家・詐欺師……いずれにもなれないのが、これまたオレのことだと思う櫻井です。

わはははは。そうだったのか。
しかし、詩人とか小説家とか、どれもええなあ。詐欺師も! (December 5, 2005 11:29:30 PM)

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Re[1]:加賀乙彦『宣告』その４(12/05)

SEAL OF CAIN さん

ジョンリーフッカーさん
＞実はこの本挫折したんだ。

あらん。
これは多分再読なのです。覚えのある箇所があちこちに…そのせいもあるかもしれませんが、あまりだれる事なく読めました。
今「フランドルの冬」を借りてきて読み出した所なのですが…こっちの方がキツイかも～(^^;)
登場人物が多い。しかも外国人。誰が誰やら… (December 5, 2005 11:31:22 PM)

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SEAL OF CAIN

アンチ・ハリウッド的、ベストセラー無視、サブカル好きのマニアックな傾向のブログです。 2019年に札幌に移住しました。そして2020年、しばらく離れていましたが、またこちらのブログに復帰しようと思います。主に読書・映画関連はこちらのブログに書く予定です。「吉乃黄櫻」名で音楽活動しています。そちらもよろしくデス。

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