エデンの南

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July 22, 2008

ドストエフスキー『地下室の手記』その２

(5)

テーマ：最近、読んだ本を教えて！(24652)

カテゴリ：読書

地下室の手記改版

こちらから続いてます。
今回の再読で感じたのは、カフカ的なユーモアです。(カフカいろいろ書いてます。こちらから。)
え～？なんで？何故それをしてしまう？な所の多いこと！
そして、こうしてやる、と思いながらも「勿論そうしなかった」記述の可笑しいこと！
最近、ドストエフスキーを何冊か再読して、カフカへの影響を強く感じました。どちらも悲しいユーモアに満ちているんですよね。

それから、リーザが来たら困ると思いつつも期待して待ってしまい、いざ現れたら、すんごいうろたえる所なんて、地下室人が愛おしくなってしまいますね。すごくわかるし～～
ラストも最高に好きです。

　一八六四年、作者が四十二歳のときに書かれ、発表された中編『地下室の手記』は、さまざまな意味でドストエフスキーの文学に転機を画した作品と考えてよい。この中編を「ドストエフスキーの全作品を解く鍵」と呼んだジッドの言葉は有名だが、たしかに『地下室の手記』を経過することなしには、『罪と罰』『白痴』『悪霊』『未成年』『カラマーゾフの兄弟』とつづく彼の後年の大作群は、いま見るような形では存在しえなかっただろう。極言するなら、ドストエフスキーは十九世紀ロシアのすぐれた一作家というに終り、世界のドストエフスキー、現代にも生きつづける永遠の作家ということにはならなかったろうと思われる。

同じく「あとがき」で紹介されている、この作品の10年後、ドストエフスキーが『未成年』の創作ノートに書かれた言葉が、この作品を物語っています。以下引用。

ロシア人の大多数である真実の人間をはじめて描き出し、その醜悪な、悲劇的な面をはじめて暴露したことを誇りに思っている。悲劇性はその醜悪さを意識しているところにある……苦悩と、自虐と、よりよいものを意識しながら、それを獲得することが不可能な点に、また、何よりもそういう不幸な連中が、みんなそんなもので、したがって、自分を攻めるまでもないと明瞭に確信している点に存在している地下室の悲劇性を描き出したのは、ただ私だけである……偏見をもたぬ未来の世代はこのことを確認するだろうし、真実は私の味方にちがいない。そのことを私は信じている」

その３につづきます。

＊今までちっちゃい液晶で映画を観てたんですが (部屋のテレビはわりとデカイですが) やっとうちもでかくてキレイなテレビを買いまして (AQUOSです～)、日曜日に見られるようになりました。
いやあ、今まで見ていたのは何だったんだろうって感じっす。あの『東京オリンピック』を美しい画面で見られてえがった～～私に 愛の１クリック を～～～。

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SEAL OF CAIN

アンチ・ハリウッド的、ベストセラー無視、サブカル好きのマニアックな傾向のブログです。 2019年に札幌に移住しました。そして2020年、しばらく離れていましたが、またこちらのブログに復帰しようと思います。主に読書・映画関連はこちらのブログに書く予定です。「吉乃黄櫻」名で音楽活動しています。そちらもよろしくデス。

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