せび邸

せび邸

2004.10.07
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カテゴリ: 映画
「ZOO」の作品本体のレビューです。
こちら をどうぞ。
あらかた<気づき>に過ぎないのですが、辺境の映画である「ZOO」が私にどう見えたか、ということを明らかにする中で、私というモノの感性のあり方を伝えられれば嬉しいです。
まずこの作品のあらすじを私なりにまとめると、以下のようになります。


主人公である双子(オズワルドとオリバー)は、交通事故によって妻を同時に亡くす。ふたりの妻たちを乗せて車を運転していたアルバは、死ななかったが片足を失う。双子はそれぞれにアルバが入院する病院まで行って、妻のことでアルバを責める。あるいは、妻が死んだときの状況を克明に聞きだそうとする。
しかし。。
やがて、双子はそのアルバと付き合い始める。
同時に死んだ妻を悼むためか、動物の死体が腐敗する様子を、進化の度合いが低い動物から記録しはじめる。また、動物園の動物を逃がし始める。アルバは双子と付き合ううち、残された足を切断する。アルバは双子の子供を身ごもり、やはり双子の男の子を出産する。その後、死を選ぶ。双子も自分たちの腐敗具合を記録するため、死んでしまう。あとには虹の男の元に、アルバの娘と双子の赤ん坊が残る。



また、彼らは、妻を殺した相手とみなしていたアルバとデキてしまいます。このアルバとの一体感に満ちた楽しげな生活を送りながら(どこか冷めたふうな様子なのは、彼女の体を腐敗させるために狙っていたせいなのですが)、妻の死に端を発する死に至る記録行為を続けるのです。この部分は、物語を、ふたつに分けて考えると分かりやすいかもしれません。
1.妻の死→腐敗の記録→自分たちの死
という物語と
2.妻の死→アルバとの出会い→一体感→アルバの死、双子の出産→自分たちの死
という物語です。どちらの物語も、始まりと終わりは同じなのですが。。

1の物語には、物語と体を売る女、ミロ(正確な役名は、ミロのヴィーナス。。汗)が大きく関わってきます。ミロの登場によって、この作品には、妻、母、娼婦という、男にとってのアルバ性の類型が揃うことになります(アルバの娘ベータを少女として、これに加えてもよいかもしれません)。
ミロは、主人公の双子のそれぞれを、個人として認識していることが画面で示されるほぼ唯一の人物です。ミロ以外のほぼすべての登場人物にとっての双子とは、ふたりでひとり、あるいは、その片割れがどちらであってもかまわない存在なのです。


ところで妻を失ったふたりが年上のアルバに抱擁されるというのは、なにを意味するのでしょうか?
ヒトは通常、母に育てられ、自立し、妻を得て母の元を去っていきます。しかしこの映画の2の流れは、後に母とみなし得るような存在になるアルバが妻を殺し、子供を奪い返す図式にも見えないでしょうか?
彼らは母に抱かれ、本来そうであったシャム双生児の姿に戻ろうと試み、母との間に双子の男の子をもうけます。そしてその双子が誕生したあと、死んでいくのです。彼らは動物の腐敗の系統樹の完成が近づくにつれ、本来不可逆的な成長の過程を逆に辿ったことになるんじゃないでしょうか?
画面で何が起こったか、という事実だけを見ていくと、そして彼らが映画の後半で口にする美しい言葉を考えると、こう言ってもおかしくないと感じました。





進化の歴史を仰々しく映し出し、単細胞生物から霊長類に向かって生物を並べてみせる一方で、アルファベット順に動物を並べてみせ、生物の並べ方は一通りではないことをアピールすること。
「アダプテーション」では偉大な歴史と想定され、描かれた進化論ををからかい、否定する言説。
そして双子の、時間を遡る旅。
これは、すべての事象が因果関係に基づいてひとつの方向に流れていくこの世界への、ささやかな反乱ではないでしょうか。
現実世界がそのような仕組みのモノとして私たちに認識されているからといって、映画までがそうじゃなければない理由は、<表現>の問題として考える場合、おそらく見当たりませんし(商業的に考えると、いろいろ問題あるでしょうが。。)。


グリーナウェイにとって進化論ほど美しくないものはなかったんでしょうか?
進化論を美しくないと感じる感性があるとすれば、現代はとても生きにくい時代だったんでしょうね。。んー。また文章が流れてしもたな。。





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Last updated  2004.10.08 22:28:09
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Comments

セビセビ @ Re[1]:元気です(06/17) blue rose2792さん あそことはまた別のあ…
blue rose2792 @ Re:元気です(06/17) それはなによりでした。 ほっといたしま…
セビセビ @ Re:やっぱり!?(01/22) せしるんさん おぉ。。 だいたひかる…
せしるん @ やっぱり!? 私も鳥居みゆきを見たとき、戸川純を思い…
セビセビ @ Re[1]:とあるプチ・オタの見たいもの探し(01/18) sally-1020さん ご無沙汰っす^^ 絶望…
sally-1020 @ Re:とあるプチ・オタの見たいもの探し(01/18) ご無沙汰しております。 先日は有難うご…

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