MATRIX7

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2010.08.28
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カテゴリ: モータースポーツ
 マクラーレンを傘下に置いていたダイムラー社が、独立したF1チームを設立させたことは、世論を驚かせた。なにゆえに成功してきたプロジェクトを解消させるかの真意が伝わらずに疑問が残されていた。そして、マクラーレンが独自のスポーツカー生産に執念を燃やしていたことが、マクラーレン分離独立の理由だったことは意義深い。マクラーレン・メルセデスでは満足できないことを声高に主張したことが始まりだった。
 国際経済の現状からみれば、高性能スポーツカーの生産開始の時期としてふさわしくない。2500万円以上するスポーツカーが本当に必要かを吟味すれば、ダイムラーの主張することが理解できる。危険な投資を現時点で行うことはないだろうというのが経済の論理になる。しかし、マクラーレンは設計を完了させ、生産開始に向かって走り始めていた。夢を実現させようというグループと現実派の対立は、マクラーレン独立という方向で決着した。
 スポーツカーを生産するには投資が必要になる。少量生産のスポーツカーといえども、工場の建物や多数の従業員を雇用しなくてはならない。さらに世界的な販売網の設立と修理などのサービス網を作り上げるには資金が湯水のように必要になる。数百億円の資金は中東の金融機関から手に入れたという。マクラーレンのブランドと信用力を担保にして金を貸し、成功報酬を得るのが中東流になる。フェラーリの成功例があっても、計算高い銀行にはできない話だろう。
 スポーツカーメーカーは危険を恐れて、自動車会社のグループ企業として運営されている。フェラーリはフィアット、ランボルギーニはVWグループに属することでリスクを軽減している。マクラーレンはダイムラーグループを飛び出して孤独の旅に出る。どこの支援も期待できないのに、多額の投資の引き金を引く。危険を恐れないことがマクラーレン首脳陣の性格なので、どうにもならない。マクラーレンF1は数少ない優良企業だったのに、あえて嵐の中に出る。なにも言葉が出てこない。





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Last updated  2010.08.29 10:34:51
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