なんちゃって妄想ワールド3



その時、結城たちとは別のグループが活動を開始していた。
メンバーは五十嵐 稜磨、松井 翔、向田 高志、長谷川 純の4人だった。
彼らもまた結城たちと同じくゲームを終らせたい、そう願う者たちが集まり、そして今行動を起こそうとしていた。
「開始時刻まであと1時間半・・・か。準備はいいか?」
リーダー格の五十嵐が云った。
「これを成功させなきゃ今までの苦労が無駄になるからな」
頭脳派の松井もこの作戦に全てを賭けていた。
「しかし俺たちも大胆な作戦たてたよな。本部を直に叩く、とかさ」
ムードメーカーの向田も時間と場所は弁え、作戦に積極的に参加していた。
その作戦とは、民家にあった車を使った本部を直接叩くというものだった。
車には島中を探し回り手に入れた灯油、花火屋から持ってきた火薬などが大量に詰め込まれていた。
車の配置場所など確実に本部の急所を狙えるよう緻密な計算をしている完璧な作戦だった。
このままいけば成功する。
4人は確信していた。
「もう、俺たちの他には5人しかいないんだよな・・・」
長谷川がボソッと云った。
「あぁ、クラス名簿で生き残ってる奴確認したら、結城、中倉、徳川がまだ生きてる。あいつらはこんな糞ゲームにのる奴らじゃないよ」
松井が云い、さらに、
「気になるのが転校生2人だ。恐らくこのゲームの為に俺たちのとこに来たんだろう・・・」
と自分の予測論を述べた。
松井の勘は鋭く、見事的を射ていた。
転校生2人はこのゲームの為に此処へ来た。

1時間半後・・・
「よし、時間だ。移動するぞ」
五十嵐が云い、本部潰しが開始された。
「この1発で先公とあの本部にいる奴ら、パニックになるぜ」
ムードメーカーの向田が云った。
「いや、みんな死ぬだろう・・・しかし、このゲームを終らせる為だ。仕方ない」
松井は真面目に突っ込みをいれた。
作戦は順調に進んでいるように見えた。
しかし、神は彼らを見放した。
車の後ろを押している長谷川が何か気配を感じ、後ろを振り返った。
その瞬間、銃声が聴こえ、それと同時に、
「グワッ・・・」
と声が上がり、ドサッという音がした。
誰かが来た。
「どうした、長谷川ぁ!!」
向田が呼びかけたが返事は返ってこない。
「チィッ」
舌打ちをし、
「俺が見てくる。お前ら、2人で先に行っててくれ!!」
と向田が云った。
「多分転校生の2人のどちらかだ。絶対追いついて来いよ」
五十嵐が云い、向田は頷いて銃声が聴こえた方へ向かった。

「まずい、予定時間とずれ始めているぞ」
松井が云った。
「もうすぐ本部なんだ。もう少しで・・・」
五十嵐が何か思いつめたように云った。
「どうした?」
と松井が訊くと、
「向田が来ない・・・何が何でも遅すぎるぞ・・・」
と云った。
その時2人の脳裏には向田の死が描かれていた。
「いや、そんなはずは無いよ。きっと追いついてくる」
松井は云い、「うん」と五十嵐は答えた。
本部に近づいてきたその時、銃声が聴こえた。
敵が来た。
「まずい、急げ!!」
五十嵐は大声で云い、2人は残る力を振り絞った。
すると、松井の前に何かボールみたいな物が落ちてきた。
車を押しながら「ん?」と思い、近づいた時にそれを見て驚愕した。
それは向田の首だった。
「うっ・・・い、五十嵐・・・」
詰った声で松井は呼びかけた。
「どうした、何があった!!」
と訊くと、
「む、向田の首が・・・生首が!!」
と、松井は叫んだ。
「なっ・・・」
五十嵐も驚愕したが、
「くっ、でも俺たちがやらないといけないんだ!!」
と言い放ち、火薬や灯油の詰った車に乗り込んだ。
「おい、何をしている!!」
松井が五十嵐に叫んだ。
すると五十嵐は、
「向田が・・・向田が死んでそれがそこにあるって事はやった奴が傍にいるんだろ?だったら急がないと・・・」
と云った。
「お前、何云ってるんだ・・・そんな事したらお前が死ぬだろ!」
五十嵐に呼びかけたが、
「犠牲になるのは俺だけでいい。お前は生き延びてくれ」
松井に云い、キーを回し車を本部に向け走らせた。
その直後の光景に松井は愕然とした。
本部に直撃する前に車が爆発したのだ。
「何で・・・」
その場に座り込んでしまった松井の前に1人の男が現れた。
徳川 刹那だった。
「何日ぶりかな?松井くん・・・」
いつもと変わらない口調で徳川は云った。
さらに、
「駄目じゃない、違反しちゃ。1人生き残ったら終わりなんだよ?このゲーム♪」
ゲームを楽しんでいるように云った。
「お前・・・何をした・・・」
松井は徳川に訊いた。
「君たちの事は前から見てたんだ。だから邪魔した。こっちだって材料集めは君たちと同じで出来るんだからね」
得意げに徳川は云った。
「さっ、僕は生き残って帰らなきゃいけないんだ。だから死んでもらうよ」
とっさにバッグからバタフライナイフを取り出し、戦意の無い松井に切りかかろうとした。
その時、
「やめろぉぉぉ!!!」と青年の声がした。結城たちだった。
その声に気を取られた徳川は一瞬視線を松井から逸らした。
さっきの一声で目が覚めた松井は徳川に飛び掛り、捕らえる事に成功した。

結城たちと合流した松井を合わせ4人は、捕らえた徳川を連れ、近くの聖堂に居た。
「貴様ぁ!!」
五十嵐を殺した徳川の胸座を松井は掴んだ。
「やめろよ、まだコイツには訊いておきたい事もあるだろ?」
結城が冷静に云った。
徳川は柱に縛りつけられて、尋問を受けていた。
そこに三宅が、
「その新顔も怪我をしている。多分救急箱くらい此処にもあると思う。奥に探しに行こう」
そう云ったので、中倉と結城はついて行った。
「松井ぃ、殺すなよ・・・」
結城は注意をし、奥へ行った。
「ハァ、てめぇの面見てると殺したくなるよ」
怒りを露にする松井。
しかし徳川は黙っている。
その時、聖堂の玄関が開いた。
そこには、悪魔に乗っ取られた様な姿の日向の姿があった。
「なぁッ・・・クソッ、こんな時に・・・」
松井が愚痴をこぼし戦闘態勢に入った。
結城たちが帰ってくるまでは耐えなければ・・・それだけが彼を動かしていた。
命の恩人。
出来れば自分だけでかたをつけたい・・・。
すると日向は銃を上げ、無防備になり、さらに縛りつけられている徳川に銃口を向けた。
「しまった・・・」
松井が気付き、止めようと走ったが間に合わず、銃は火を噴き徳川を仕留めた。
「くっ・・・うおりゃぁぁぁ!!」
徳川の武器であったバタフライナイフで切りかかった。
日向は回避したが、松井の攻撃は手を休める事はなかった。
結城から借りていた銃。
それを日向に照準を合わせ撃った。
体勢を崩していた日向に銃弾が当たり、腕から血が出た。
しかし、松井の攻撃が止む事はなかった。
素早い身のこなしで日向の懐に飛び込んだ。
勝った・・・そう確信した松井だったが、懐に飛び込んだ瞬間腹部に激痛が走った。
「うっ・・・痛ぅっ・・・」
腹部を押さえた手を見てみると大量に血が流れ出している。
あいつはあの一瞬で何をしたのだ・・・そんなことを考えているうちに日向はこっちに向かってきた。
殺られるっ・・・その時松井のズボンのポケットから何かが落ちた。
それは五十嵐が『お守り』と云って、全員に配った物だった。
『中身はピンチの時に使うんだぞ』
その言葉を思い出した。
中身は?と急いで開けてみると、ピンの付いたボールほどの大きさの物だった。
お守りにしては妙にデカイ。
不思議には思っていたが。
とっさにピンを抜き、日向に投げつけた。
日向にボールが当たった瞬間、何か液体のような物が出て、日向にベットリ付いた。
変なにおいがする・・・灯油だ。
それで怯んだ日向を見て、今だ!とばかりに残る力で机に向かい、キャンドルを手にした。
そして、道具にあったライターでキャンドルに火をつけた。
それに気付いた日向は咄嗟に引き金を引いた。
その銃弾は松井に直撃した。
「ぐぅっ・・・」
松井は苦痛の声を上げた。
瀕死の状態の松井は、薄れゆく意識の中でキャンドルを力いっぱい日向に投げた。思いは最期に届き、日向にキャンドルは当たった。灯油に引火した焔は日向の身体全体を包んでいった。
激しい音に気付き、広い聖堂の中を走り回りやっとの思いで聖堂メーンフロアに戻ってきた。
そこの広がっていた光景は戦慄だった。
松井が血を流し倒れていて、徳川もグッタリしている。
さらに彼らの目を引いたのは、焔に包まれ、獣の様な声を上げてもがき苦しんでいる日向の姿だった。
しかもその状態でマシンガンを乱射している。
当たりに銃弾が飛び交い、壁や床にあたり火花を散らしているしている。
すると、
「危ない!物の影に隠れろ!!」
と三宅が叫んだ。
だが、結城は訊こうとせず、日向の方へ向かっていった。
その時、日向はやっと力尽き、その場に倒れた。
しかしまだ焔は燃え続けている。
奇跡的に結城は擦り傷1つ負っていなかった。
すると結城がは日向の持っているマシンガンを取り、三宅と中倉にむけた。
そして、
「生き残るのは俺だ。死ぬわけにはいかんよ」
と、いきなり云い始めた。
「なっ・・・お前、全員と分かり合ってみんなで帰るって云ってたじゃネェか!!だから・・・だからお前を此処まで生き残させたんだぞ!!」
三宅は感情的に云った。
そこに中倉が、
「ゆ、結城くんは二重人格みたいなの・・・パニックになると今みたいに・・・言葉が荒くなって、まるで別人みたいに・・・」
中倉は云った。
二重人格?あの大人しい奴があんな・・・?
「さぁ、これが終局だ。最期の場所だよ、此処がぁ!!」
結城が荒々しく叫び、銃口を2人に向けた。
「お嬢ちゃんは下がってろ。俺があいつの相手をする」
三宅が云った。
「ダメッ、殺さないで・・・」
中倉は私的な感情を表した。
すると三宅は、
「俺も努力はするさ。でも、時と場合によっては・・・」
そう口にし、結城との決戦に向かった。
「まさか本当にお前と戦う事になるとはなぁ!!」
三宅が叫ぶ。
「フフッ。俺も嬉しいよ、三宅」
三宅をあざ笑うかのように結城が云った。
「しかし、何故お前は殺そうとする!もう戦いは終ったぁ!」
「ルールを無視かね?前回優勝者が、笑わせる」
銃を撃ち合いながら会話を交わす。
「俺たちとお前じゃない結城は仲間だ!貴様は消えろぉ!!」
「仲間?貴様とてこのゲームで人を殺す為に来たのだろぅ!!」
さらに結城は云う。
「今回で解ったろう?人は皆自分の事で精一杯なのだよ。こいつとて人の事など考えている余裕などなかったぁ!!」
銃弾が交差する中決着がつく時がきた。
三宅の銃弾が結城に命中した。
「チィッ・・・此処でお前になら、と思ったが、やはり私はまだ死ぬわけにはいかん」
と云い、聖堂の外へと飛び出した。
「勝手な事をぉ!!」
三宅が結城の後を追った。

そして崖のある場所へとたどり着いた。
「ハァ、ハァ・・・追いついたぞ、糞野郎・・・」
三宅は逃走する結城にやっとの思いで追いついた。
「無駄足だったよ、三宅。私は生き残る」
そう云い、崖から飛び降りた。
「なっ!?」
三宅は絶句した。そこに追いついてきた中倉。
「結城くんは・・・?」
中倉に訊かれ、三宅は微笑し、
「・・・悪いな、俺はあいつを助けに行くよ」
そう云い崖から飛び降りた。
いきなりの出来事に唖然とし、その場に崩れた。
愕然とし、崖の下を覗き込む中倉。
しかし、そこには2人の姿はなかった。

1人生き残る事の出来た中倉。
覚束ない足取りで本部へ向かった。
「今回は君が優勝者だ。自由の身だな。ヘリに乗って帰りなさい」
担任が優しい口調で云った。
しかしこう付け足した。
「と云いたいところだが、事情が変わってね。君は軍に属してもらう。これだけの戦いを生き抜いた。女の子だが実力者。というか、今回この法は全国で行われた。優秀な軍人を得る為にね」
そう云った。
すると、周りに居た兵士が抵抗する中倉を連れ去った

参加 和多下高校 2-5  参加者 30名 優勝者 中倉 愛

※この物語はフィクションであり実際の人物・団体・地名などとは関係ありません

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