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なんちゃって妄想ワールド(War section)6
「頼む。あいつ等の捜索を」
「駄目です。彼らの事も心配ですが、もう日が落ちます。危険でしょ」
「しかし・・・」
「この艦だってあなたまで居なくなったら誰が守るんです?」
アイの勝ちだった。
ロトもそこまで馬鹿ではない。
「分かりました。ついでといてはなんですか、捕虜はどうするんです?」
10日前の戦闘時、シュウが連れ帰った敵兵の捕虜。
3日前に意識を取り戻し、別室で待機という形になっている。
「それに、何で捕虜なのに個室で生活させているんですか?捕虜なら捕虜らしい対応の仕方を」
尤もな意見だった。捕虜なのに何故普通の対偶を・・・。
「医療班からの報告でね。彼女、軽度の記憶喪失なんですって」
アイは云った。
「そんな事・・・あれは敵兵ですよ?それに、あれが着ている軍服。上級ランクの兵士が着るモンじゃないですか!」
捕虜、その少女はスゥ・ウィンリンだった。
彼女が着ている軍服は白、黒、赤・・・の順にランク付けされた服の黒色だった。
「それも事実だけど、あの子の様子見てみなさい。あの状態で牢に入れておく勇気が私にはなかったわ」
以前のスゥは言葉数も少なく、殺気立っていたが今は違う。
可愛らしい少女染みた言動、行動。
別人のようだった。
「記憶が戻った時にどうする御つもりで?同情だけでその場を誤魔化したところで」
正論を述べ続けるロト。
さらに、
「その上世話役だったシュウも行方不明。問題は山積みですよ?」
と苛立ちを見せつつ云った。
「・・・分かったわ。あの子の事はあたしが何とかします。シュウ少尉たちの捜索も許可します。しかし、また日が昇ったらの話で」
アイは仕方なく決断を下した。
これで良かったのだろうか、上の立場に立ち、部下に命令を出す大黒柱の自分がふら付いていてはいつか崩れてしまう。
その恐怖でアイは押しつぶされそうになった。
ロトがブリッジを去ろうとしたその時、出入り口のドアが開いた。
そこに立っていたのはスゥだった。
「シュウ・・・は?」
可愛らしい声で尋ねてきた。
どう答えればいい?彼は居なくなった。
もしかしたら死んだかもしれない。
ただでさえ精神にダメージを負っているこの捕虜に・・・アイには彼女に同情という感情が湧いていた。
「やはりあの場で殺しておくべきだったんですよ。シュウが余計な事をしなければ」
そういい残してロトはブリッジを去った。
シュウは孤島でショーイと合流する事に成功していた。
「暗くなっちゃいましたね。どうします?これじゃ艦に戻れるかどうか」
「明日出ればいい。それよりあの敵兵、ここで仕留めるぞ」
シュウはショーイの言葉に唖然した。
「なっ、ここでですか?危険なのはこちらも同じですよ?」
シュウは反論した。しかし、
「何故俺がここに降りたか分かるか?奴らの操縦技術は大したもんだよ。だからわざわざ呼び寄せたんだ」
「勝ち目がない、とでも?直接体で戦えば勝てると?」
シュウは無駄な争いはせず、朝を待ちたかった。
「生かしておけば、明日撃たれるのは君かもしれない」
シュウとてそんな事は分かっていた。
「まぁ、今日はもう遅い。休んで早朝に捜索しに行くぞ」
ショーイはそう云うと、コックピットから非常用具を出し、床に就いた。「この人は・・・」シュウはそう思いつつ就寝した。
その時同じ孤島でトオルはジンを探していた。
戦闘機を発見し、コックピットの中を見たが居なかった。
それから3時間、歩き続けたが見つからない。
「どこへ行った・・・」
トオルは探し続けた。
もう寝たのかもしれない、きっと無事だ。
そう自分に言い聞かせ、明日の為に体を休める事にした。
早朝5時、まだ辺りは薄暗い中シュウたちは捜索を始めていた。
「あの辺りに敵機が堕ちた。その辺りから探してみるか」
そういって敵機の墜落した方へ向かった。
トオルは砂浜を歩く誰かの足音によって目が覚めた。
初めは寝ぼけていた彼だったが、すぐに状況を察知した。
「敵兵?!」
トオルが見つけたのはシュウとショーイの姿だった。
ここで仕留めてやる。
そう意気込んで密かに銃口を敵兵へ向けた。
そして、銃声と同時に、1人の苦痛に滲んだ声が聞こえた。
「イワン中尉?!クソッ!!」
負傷を負ったのはショーイだった。
そのショーイを背負い、シュウは岩陰に隠れた。
「敵兵か。中尉はここで」
腹部から大量の血を流しているショーイを見て早く決着をつけなければ、そう思った。
しばらく銃撃戦が行われたが両者引き劣らない。そして、
「マジか・・・弾切れかよ」
トオルは焦った。
予備の弾はもう無い。
しかしまだ敵は攻撃してくる。
ここで動いたら負けか。
そう思い、出方を考えた。
すると、どこからか銃声が聞こえた。
その方向に向きかえると、そこに居たのはジンだった。
「ジン!!」
彼は生きていた。
よかったとトオルは心から思った。
「無様だな、助けてやるよ」
ジンはシュウに襲い掛かった。
「2人目?!」
シュウは瞬時に向きかえり、反撃した。
撃ち返そうとした時、銃にトラブルが起こった。
「詰まった?!」
シュウの目の前に敵は迫った。
殺られる・・・シュウはそう覚悟した。
「もらったぁぁぁ!!!」
銃口をシュウに向け引き金を引こうとした。
その瞬間、横から飛んできた銃弾でジンの体は弾き飛ばされた。
「ぐあぁぁぁ・・・!!」
全身に走る激痛。
それに耐えられず出てくる叫び声。
銃を放ったのはショーイだった。
「快心の一撃・・・決まったゼ・・・」
「お、おい、ジン!!」
思わず彼の方に駆け寄った。
「クッ、ここは逃げるしか」
トオルはジンを抱えて逃げていった。
「中尉!」
シュウは敵が去ったのを見て、ショーイに駆け寄った。
「何やってんだよ、バカ。あいつら・・・」
「中尉の体のほうが大事でしょ!!大人しくしていてください」
そういうとシュウは、ショーイを抱え、機体へ向かった。
機体が着陸している場所へと戻り、すぐに母艦へと通信をした。
「ポセイドン、聞こえるか?」
シュウはポセイドンへ呼びかけた。
「カナ…小…なの…?」
電波状況は悪いがどうにかつながった。
「SOS信号受信できていますか?」
「えぇ…今…救え…を…」
アイより救援の知らせを受け、ホッとした。
通信から45分ほどで救援がきた。
それとほぼ同時刻にジンとトオルも救出され、無事帰艦した。
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