なんちゃって妄想ワールド(War section)8


港に停泊し、クルーたちはやっと任務終了だという表情を隠せずに居られなかった。
「みんな、本当に御苦労様。あなたたちのおかげで辿り着く事が出来たわ」
アイが感謝の意を込めてクルーに云った。
その時、
「フン。やっと来たか。何を手間取っている」
と中年の男とその側近が入ってきた。
「まぁいい。さっさとこの艦から降りてくれ」
その男は連合軍の本部で総統の言い成りになっている将校だった。
上官の云われるがままにクルーは艦を降りた。
「何なんです?あのおっさん」
エイトが不満げに云う。
「仕方ないわ。元々この艦をここに運搬するのが私たちの任務だったから」
アイは云った。
それにしても、これまでの日々がものすごく長く感じられた。
これで少しは休息が取れる。
アイは開放感を覚えた。

「そうか。あの艦、敵本国内に入ったか」
モノトーンは焦る様子も無く、淡々と云った。
「君たちも最近のハードな任務で疲れているだろう。休みを取るといい」
何らかの処分を覚悟していた3人だったが、意外な答えに目を見合った。
「あとな、スゥの記憶が回復の兆しを見せているらしい。よかったな、カズマ」
スゥの容態を訊き、カズマは安心した。
しかし、ビーだけは深刻な趣だった。
ハウルの命を犠牲にしてまで挑んだ任務。
それも失敗に終わらせてしまって、自分たちはどう彼にお詫びをすればいい。
彼の家族にも合わせる顔がない。
ビーは精神的にも参っていた。

各地方で度々戦闘は起きていたが、本国には何も起こらないまま1ヶ月と半の月日が過ぎた。

フユツキ内で、5人に招集がかかった。
ジンも何とか戦闘に出れるまでに回復した。
その超人的な回復力に医師も唖然としたという。
そしてスゥも。
記憶が、一部飛び飛びだが大半が戻ってきていた。
「失礼します」
ビーたちはモノトーンの自室へ入った。
「本国から命令が下った。3日後、本国からの艦隊と合流の後、敵本国への侵攻を行う」
5人はとうとうこの時がきたかという表情になった。
「SIRN自慢の特務隊も出撃するらしい。早く陥落するだろう」
特務隊。5人だけで構成されているという事はみなも知っていた。
しかし、その5人の人物、戦闘スタイルなどは未だ誰も見た事がなかった。
3日後。恐らくそこですべてが決まる。
戦争が、このゲームが終わる。
敵が滅ぶにしても、自分たちが滅ぶにしても・・・。

その頃、連合本国の司令室にて最高司令官たちが最後の決断をしていた。
「アレも完成した事だ。1発で終わらせてくれようぞ」
「これで我々の勝利とともに世界が我々の手中に入る」
「長かったぞ、この2年と数ヶ月」
「これまでの犠牲者たちも、これで安心できよう」
連合にも何か最後の手があるようだった。

3日後・・・人類の歴史に刻まれるであろう戦いが始まった。

連合司令室のモニターから叫び声とも取れる報告がされた。
「た、大変です!!敵軍、侵攻を始めた模様!!敵戦艦、敵機全て捕捉出来ません!!」
「このタイミングで・・・発射準備を急げ!!」
司令官は何かの発射の準備を急ぐよう命じた。

その知らせを聞いたアイたちは、直ちに配置についた。その時、シュウはロトの異変に気づいた。
「おい、どうした?ロト」
シュウはロトの様子を気遣った。
「ハハハ、心配いらねぇ。全員ぶっ殺せばいいんだろ!!」
明らかにおかしかった。
しかし、彼にかまっている時間はこれ以上になかった。
「敵軍、上陸するぞ!出撃!!」
司令室からの号令とともに出撃した。
「みんな、行くわよ」
アイたち6人も出撃した。

ロトの様子がおかしくなったのは何故か。
それは1ヶ月前にさかのぼる。
ハウルに捨て身の攻撃を受け、敗北したロト。
それは彼のプライドを深く傷つけた。
そこで、ロトはある場所へ向かった。
『研究室』。
彼はその部屋の前に来ていた。
そして、力強く部屋の中へ入って行き、研究室の責任者の前に立った。
「俺を強くさせろ。以前兵士でテストした薬をよこせ」
突然の兵士の言葉に科学者は動揺した。
何故こいつは知っている?
これは上からの命令とはいえ外部に漏れたら世界の反感をかうようになる、悪魔の人体実験だった。
敵兵の捕虜、または、使えない自軍の兵士を使って、人体強化の薬を開発していた。
「わ、分かった。薬は渡す。だが、あくまでこれはサンプルなんだ。多様は厳禁だぞ」
この実験の事を口外されない為にも科学者はそうするしかなかった。
ついでに薬でこいつも死んでくれれば大助かりだ。
その2つの考えで科学者は薬を渡し、そしてロトは禁断の薬を手に入れた。

なんちゃって妄想ワールド(War section)9へ

© Rakuten Group, Inc.
Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: