なんちゃって妄想ワールド(Repetition)18


「ふぅ、やっと降りれるのか」
ケンがホッとして云う。
そこに、艦内放送がかけられた。
『クルーは下船後、施設内第5ミーティングルームに集合してください。繰り返します…』
それを訊いて少年たちは、まだ終わりそうにない、と肩を落とした。
下船している途中に、クシィはマサキの姿を見つけた。
すぐに近くに行き、
「謹慎、解除されたらしいな」
と云った。
「迷惑・・・かけたな」
反省した様子のマサキが小さい声で云った。
「艦長たちがお前を庇ってくれたらしい。感謝するんだな」
クシィの言葉を訊き、マサキは驚いた。
さらにクシィは続ける。
「次の戦闘からは出撃できそうだな。あんなの事もうするなよ」
マサキはうなずき、クシィとミーティングルームへと向かった。

マサキたちは、艦内で少し話しこんでしまったので、クルーたちを見失ってしまった。
「マズいよな。どっちだろ」
クシィに慰められ、少し調子を取り戻したマサキが云う。
「流石に広いな。通りかかった兵士にでも訊けばいいのだが」
会議中なのか招集がかけられたのか、施設内に兵士の姿が見えない。
廊下の角を曲がった時、1人の兵士と会った。
「あっ、すいません!」
マサキがその兵士に呼びかける。
兵士はこちらを振り向き、2人はその顔を見て少し驚いた。
左目には大きく深い傷が縦に刻み込まれている。
左目は潰れているらしく、瞑ったままだ。
兵士は2人の方へと歩いてきた。
「何かな?」
人のよさそうな人だ。
「あの、第5ミーティングルームって何処にありますか?」
マサキが尋ねた。
質問をしながらも目線は傷の方へといってしまう。
「あぁ、迷った?ここ広いから。案内するよ」
「すいません。ありがとうございます」
2人は兵士のあとについて歩いていった。
部屋に向かう途中に、クシィがマサキに小声で云った。
「この人、黒服だぞ」
マサキは兵士の軍服を見てハッとした。
遅刻の事ばかり考えていて兵士の服などに眼が云っていなかった。
「あ、あの・・・お名前は?」
黒服。かなりの上級ランクの兵士に違いない。
「まだいっていなかったっけ?『ファースト・ランクルーズ』っていうんだ。よろしく」
2人はこの名前を訊いた事がなかった。
だが、黒服の兵士だから何処かの隊の隊長だろう。
「僕はあまり地位とか気にしないから。まぁ、気楽にいこうよ」
緊張している2人に軽く云ってきた。
「何処かの隊をお持ちで?」
マサキはさっきから質問攻めをしている。
それに快く応えるファースト。
「僕が?ハハ、持っていないよ。僕が下についているんだ」
黒服なら指揮官クラスでもおかしくない。
なのに、この人は誰かの部下だという。
2人の知る限りではカズマとスゥしか訊いた事がない。
「さっ、着いたよ」
話しながら歩いているうちに部屋に着いた。
「あ、ありがとうございました」
2人が礼を云うと、
「また君たちとも話がしてみたいよ。さっき僕の自室を教えただろう?暇な時に寄ってみて。大抵そこに居るからさ」
と応えた。
これだけフレンドリーな上官は他にいないだろう。
「分かりました」
「じゃ、またね」
そう云ってファーストは歩いていった。

部屋に入ると、すでにミーティングが始まっていた。
「悪い悪い」
少年たちは、元に戻った様なマサキの姿を見て安心した。
「もう、何やってたのよ」
面倒見のいいミクが云った。
「道に迷ってて」
プッっと笑うと、
「そこ、何笑ってるの」
とミーティングを仕切っていたアリスに叱責された。

ファーストが廊下を歩いていると、前に背丈の高い男を見つけた。「よぉ、おっさん。もう行くのか?」
2人は知り合いみたいだ。
それに大男がごつい声で答える。
「あぁ、もう皆揃っているらしいぞ」
「え、マジ?」
2人は早足で目的の部屋へと向かった。
歩いて地下へ地下へと進むと、そこに部屋があった。
中に入ると、一番奥にある椅子に女が1人座っていて、その横に男が立っている。
「来たか」
そう云ってもう1人の男がファーストたちの方へ向いた。
それは、リーチだった。
「すいません、隊長。遅れてしまい」
ファーストの上官。それはリーチだった。
リーチの横には女が1人いる。
奥に居る女が話し始めた。
「揃ったようね。始めるわよ」
ゆったりとした口調。それはリーチがマザーと呼ぶ女だった。
「まず、これからはあなたたちの事をコードネームで呼ぶわ」
「上に気付かれない為に、ですか」
リーチが云う。
「えぇ。リーチ、これからはエースと呼称します」
「了解しました」
さらにマザーという女は続ける。
「ファースト、あなたはジャックと呼称します」
「了解っ」
次に、リーチの横にいる女に云う。
「ライトレス。あなたはクイーン」
彼女の名前は『ライトレス・ブラックフル』。ブエル隊隊員。女性とは思えないほどの戦闘能力を持っている。
「そして、バリー。あなたはキング」
それは大男の事だった。『バリー・ガドゥドロー』。その大きな体から想像できるように、かなりの破壊力を持つ。ブエル隊隊員。
「我々の任務をする時にそれを名乗りなさい。普段は実名で」
4人は頷いた。
「今回もあなたに働いてもらうわ。ガルー。あなたのコードネームはジョーカーよ」
「御意」
ガルー・ラ・バーン。前大戦で、フォビドゥンたちと戦線へ出ていた男だ。
「もうすぐ全てがゼロに戻る・・・」
マザーは意味深な言葉を云った。

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