なんちゃって妄想ワールド(Repetition)20


「最終防衛ライン、設置完了しました」
オペレーターが云った。
「これで敵がここまで進行してくることはほぼないだろう」
薄笑いを浮かべながら上官が云った。
何重にも重ねられた防衛ライン。
1つクリアされても次がある。
さらに、本国にある基地は、まるで要塞の様な外観だ。
見掛け倒しではなく、設備も整っている。
何故SIRNが本国の防衛にここまで手を注ぎ込んでいるのか。
それは、前議長の『ロード・ミリィ』のある言葉だった。
「奴らはここに攻めてくる」
それは確信があっての言葉だった。
極秘に潜入させていたスパイからの情報だ。
何か強大な力を手に入れた、という話だった。
開戦前の『平和的解決に向けて』などという言葉はロードには関係なかった。
SIRNの上官にも極秘でスパイを送っていた。
ロードにしてみては『平和などありえない』。それが全てだった。
「いつでも来てみるがいい。連合のサル共が」
SIRN本国全体にそういう空気が流れていた。

数ヶ月の月日が流れた。
フルはその日々を、薬漬けにされ送っていた。
すでにフルからは生きる気力が感じられない。
だが科学者からは喜びの声が揚がった。
「やった、成功だ!」
長い時間をかけ、やっと成功したと思われる試作品。
実戦投入の時間も迫ってきていた。
フルは改修中のライジンへと戻された。
「お帰りなさい」
トミィがフルに話しかけた。
しかし、何の反応もしないまま自室へと向かっていった。
やはり何かをされたんだ、と察知したトミィだった。
トミィたちがブリッジで作業をしていると、そこに兵士が入ってきた。
「トミィ・タイガ艦長ですね?本国から指令が届いています」
メッセンジャーボーイとして使われた兵士が封筒を1つ渡し、出て行った。
トミィは封筒の中を見て、覚悟を決める時が来たと思った。
『SIRN本国侵攻作戦』と称された作戦名が書いてあり、そこから下は作戦の内容だった。
「私たちは課題が山積みなのにね」
愚痴っぽくクルーの兵士に云った。

そして、開戦から2年と9ヶ月が経ち、10月15日に作戦が決行された。
SIRN最高施設のオペレーションルームに警報アラームが鳴り響く。
「エ、エネルギー反応!戦艦、戦闘機。数確認できません!」
「とうとう来たか。フン、見せてもらおうか、連合の力とやらを」
連合艦隊は第1防衛ラインへと侵攻していた。
「ほぅ。中々の防衛システムといった所か」
何やら余裕な雰囲気の連合艦隊。
「『サンクション』発動準備!」
連合最大の母艦『ヒューヂ』から、何やら命令が下された。
それは、連合の本国に通信で伝えられ、作業が開始された。
すでに準備はほぼ終わっていたらしく、すぐに準備完了の知らせがきた。
「1発限りだ。失敗は許されんぞ。サンクション、発動!」
号令と同時に何やら空高くに向け光が照射された。
SIRNのオペレーションルームからもそれが確認された。
「何だ、あれは」
光を見ていると、その瞬間に空から巨大なエネルギーが放たれた。
それはSIRNの防衛ラインをほぼ壊滅状態にさせた。
「し、指揮官!防衛ラインに設置された艦隊のほとんどから反応が消えました!」
その知らせを訊き、その場にいた人々は何が起こったのか分からなかった。
「すぐに状況確認をしろ!!報告急げ!!」
明らかに焦りの色が見えていた。
「フフッ、所詮こんなものだろう。SIRNといえど同じ人間だ。しかし、あのSIRNの女。面白い物をくれたものだ」
急所を突かれ、混乱と焦りで溢れかえるSIRNの状況を見て、連合の兵士たちは勝利を確信していた。

最終防衛ラインの後ろの方で待機していたモノトーン、セピア、セイントは少数の戦艦と共に無事だった。
「そんな・・・何が起こったの!?」
目の前に広がる惨状に一同は目を疑った。
その先からは連合艦隊が侵攻してくるのがレーダーで確認された。
「くっ、とにかく本国への侵攻は防ぐのよ!」
そう云って、残った戦艦で連合艦隊へと向かっていった。

歩兵隊として招集されていたメンバーは陸にて待機していた。
「本当に攻めてくるとはな」
「力でねじ伏せて終わらせる、か」
3隻のクルーからはマサキ、クシィ、ジン、シュウ、ショーイ、トオル、スゥが派遣されていた。
歩兵隊にはまだ先ほど起きた惨劇の事は知らされていない。
光と巨大な爆発音は確認されたが何のことかは・・・
心配していたが、攻めてくる敵を排除する自分の任務の事でいっぱいいっぱいになっていた。
「防衛ラインが突破されるとは思えんが」
その希望はすでに打ち砕かれていた。

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