なんちゃって妄想ワールド(Memory)19


「どうしたんだ。ユウキの事か?」
ジークが訊いた。
「あぁ。何か思い出しそうなんだよ」
セナが答え、また考え始めた。
ジークも一緒に考え、色々思いついた事を言ってみた。
その時、セナが叫んだ。
「わかった!」
ジークとメディナがセナの方を見る。
「今のあいつ、昔のあいつに似てんだ。スクール時代の」
セナは突っかかりが取れた様な感じになり、気持ち良さそうな表情をしている。
「昔のあいつ?どんな奴だったんだよ」
「まんまだよ。つっても、なんて言うんだろうな。表現し辛い」
3人は再びモヤモヤする感じに陥った。
「隊長に訊いてみたらいいんじゃないか?お前らの教官だったんだろ」
ジークが言った。
「おっ、冴えてんな。じゃあ隊長の所に」
3人はロンのいる所へ向かった。

ユウキは1人廃墟と化している基地へと来ていた。
「中立国が笑わせる。明らかにSIRN寄りだな」
落ちていた資料を手に、独り言を言った。
しばらく何かを探すように歩き回り、外へ出た。
「やはり本国へ向かう事になるか。フッ、まぁいい」
ユウキはそのままサミズへ向かって歩いて行った。

セナたち3人は、ロンの所へ来ていた。
「ユウキの事?」
ロンが訊き返した。
「はい。スクールに入った頃の彼の事が知りたく」
セナが返答する。
ロンはしばらく黙り、訊いた。
「何か疑っているのか?あいつを」
それを聞き、ジークが答えた。
「彼を疑っている訳ではありません。ただ、セナが今のユウキは当時の彼に似ていると言い始めまして」
ロンはため息をついた。
そして、話し始めた。
「お前もそう思っていたか。何から話せばいいか。あいつらと俺が初めて会った日だな。あれは俺と同僚が海岸の巡回をしていた時だ」

―――開戦数年前―――

「おい、あそこに誰か倒れてるぞ」
ロンの同僚が発見した。
2人はそこに駆け寄った。
「大丈夫か!」
呼びかけに応答はない。
その人物の顔面には、深々と刻まれた無数の傷がある。
ロンは蘇生を始めた。
「ロン!あっちにも1人いるぞ!」
「ならそっちは頼む!」
ロンは1人目の蘇生に力を入れた。
すると、同僚が叫んできた。
「息を吹き返した!そっちは!」
「まだだ!」
同僚が蘇生した2人目は立ち上がり、ロンの方へ歩いてくる。
「そい・・・つを助・・・け」
断片的に言葉を言い、2人目が倒れた。
その時、ロンが蘇生をしていた人物が水を吐き出した。
「とりあえず運ぼう」
ロンたちは遭難者たちを基地へと運んで行った。

適切な処置が施され、2人とも意識を取り戻した。
顔面に傷のある方は、意識が戻った瞬間周りに危害を加え始めたので、手足を縛られベッドに横たわされている。
顔面の上半分の殆どを包帯で覆われ、目だけでている状態だった。
ロンは、正常な方の人物から話を聞いていた。
「名前は?」
「三宅、三宅 慌」
そう、彼がミヤケだった。
「何があったんだ?」
ロンはミヤケからあのゲームの事を聞いた。
「そんな事が?!」
一部始終聞いて、ロンは驚愕した。
ベッドにいる方のを見て、ミヤケに訊いた。
「彼の名前は?」
「結城。下の名前は忘れた」
そこに、ミヤケたちを診た医師が来た。
「失礼。彼は精神が弱っているようです。とりあえずこれで落ち着かせましょう」
そう言って、精神安定剤を取り出した。
抵抗するユウキを麻酔で黙らせ、精神安定剤を飲ませた。
「あいつ、二重人格らしいんです」
「二重人格?」
その事も、ミヤケから聞きだした。
「そうなのか」
ロンは眠っているユウキを見た。
「彼が目を覚ますまでは面倒を見てやる。それからは、まぁ何とかしろ」
そう言って見張りを残し、ロンは部屋を出て行った。

2日後、ユウキが目を覚ました。
「ここ・・・は?」
目を覚ましたのは正常なユウキだった。
「軍の基地だ。軍の人が俺たちを助けてくれた」
ユウキが横を見ると、ミヤケが椅子に座っていた。
「軍・・・?俺たち・・・どうして・・・」
ミヤケが詳しくここまでの経緯を伝えた。
ユウキは起き上がり、立った。
「おい、まだ安静にしとけって」
ミヤケが注意した。
そこに、ロンが部屋の中に入ってきた。
「目を覚ましたか。よかったな」
ロンが言った。
「ありがとうございました」
ミヤケが礼を言う。
その時、ユウキが言った。
「俺、軍に志願します」
ロンとミヤケは唖然とした。
「君・・・、言ってる事判ってるよな?」「何言ってんの?!」
2人は同時にユウキに言った。
「判ってる。判ってるから言ってる。三宅、お前は悔しくないか?」
「悔しいって何が?」
ミヤケが訊き返した。
「大人たちの勝手で俺たちは殺し合いをさせられて、死に掛けて」
「・・・確かにそうだが。だが!」
ユウキを必死にミヤケが止めようとする。
「ならミヤケは止めとけばいい。俺がお前の分までやってくる」
「ちょ、お前ら」
ロンが止めようとした。
「志願すれば入隊を許可してもらえますよね?」
ユウキがロンに訊く。
「まぁ、確かに正当な理由と辞めん自信があるならいいとは思うが・・・」
そんな話を聞き、ミヤケが言った。
「ユウキ、迷いはないんだな」
「あるはずがない」
ロンは2人が勝手に進めていく話に、慌てていた。
「なら俺がお前についていてやる。またいつ2人目が現れるか判らんし」
2人は勝手に納得し、ロンに言った。
「お願いします」「俺も志願します」
ロンはため息をついた。
そして、こう言った。
「わかった。上に俺が言ってやる。その代わり、俺の顔がたつようにしてくれよ」

ロンの話が終わった。
「それから俺とスクールで会ったのか」
「二重人格、か。あいつらにそんな事がな」
3人はそれぞれ思うモノがあった様だ。
そこに本部から次の指令が下りてきた。
ロンがその文章を読む。
「なんだこれは・・・?」
そこにユウキが姿を現した。
「指令はきましたかな」
4人が後ろを振り返る。
「お前の持って来た艦に何がある」
ロンが訊いた。
「あなた方が知る必要はない。運がよければ・・・まぁいい」
ユウキがそう言った。
「指令はちゃんと遂行してもらいたい」
「判っている」
ロンが言い返した。
彼らに課せられた指令とは、ユウキの持ち帰った戦艦を本国へ送るというモノだった。

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