ディサイション・パワード 3部第8話



フォルティッシモに乗ってジミュートが戦場に姿を現した。
「ハル。これ以上の侵攻は何としてでも」
春は驚いた。
「ジミュート?!お前、なんでそれに」
「事情は後だ。こいつらをなんとかするぞ」
そう云うと、セイバーを撃ち、敵を後退させる。
春も戦闘を再開した。
「何なんだよ、あいつらはぁ!」
イェルが苛立ち始めていた。
その時、ネアンは自分の隊の隊長と通信を取っていた。
すると、後方から撤退の合図の空砲が打ち上げられた。
「えっ」「あぁ?」
早々の撤退命令に少し躊躇したが、彼らは撤退して行った。
「ジミュート、まだだ。本部の方にアンノーンが」
「何?」
春やリオンたちは急いで管制塔の方へ急いだ。

施設の中は慌しい状態で、アンノーンは案外簡単に近くまで接近できた。
森の中に機体を降ろし、パイロットが降りてきた。
それは、バンダナで目隠しをしている女だった。
女は腕につけた時計のような物をいじり始めた。
すると、黒い機体が瞬時にその場から消えた。
そして施設に向かって歩いて行った。
歩きながら女はバンダナを取り、銀色の額から鼻の辺りまでを覆う仮面を装着した。
銃を手に取り、壁を飛び越える。
施設の中を走り回っていた兵士が女に気付いた。
そして、銃口を女に向けようとした時、頭を撃ち抜かれ、返り討ちに遭った。
女は走り出し、施設の中へ入って行った。

リオンとヴュルムは本部に着き、施設の中へ入ろうとした。
そこで、2人は倒れている兵士を見つけた。
ヴュルムが駆け寄り様子を見たが、額を撃ち抜かれすでに死んでいた。
「あの機体のパイロットか」
2人は中へ急いだ。

廊下を走っていくと、何人もの兵士が血を流し倒れている。
すると、1人の生存者を発見した。
「おい!大丈夫か?」
兵士は反応した。
「あっ・・・侵入者を」
「どっちへ向かった!」
兵士は議長室の方を指差した。
2人は血の気が引くような思いになったが、とにかく急いで走った。

議長室のドアが開いていて、2人は中に入った。
「誰も居ない・・・」
2人は部屋の中を見回した。
すると、部屋の壁に何処かへ繋がる階段を見つけた。
誰かが先に入ったらしく、すでに開いていた。
「行こう」
2人は階段を下りた。
徐々にひんやりとした空気になってくる。
暗く深い暗闇の階段を1歩1歩下って行った。

その数分前、識別不明の機体に乗っていた女がその階段を降りていた。
その先には地下シェルターがあった。
そこには、世界政府の議長らが避難していた。
勿論、弥生の姿もあった。
突然現れた女に、彼らは動揺し始めた。
「な、何だお前は」
「誰かいないのか!」
女は呆れた風に彼らを見た。
そして、女が口を開いた。
「慌てなくてもいい。1人残らず私が引導を渡してやる」
その場の空気が一気に冷たくなった。
そんな中、弥生はその女の声に聞き覚えがあるような気がした。
女は彼らに銃を向けて云った。
「最後に訊きたい。お前たちは人間を何だと思っている」
その質問に議長たちはどよめき出した。
それに腹を立てたのか、女が銃を天井に向けて撃った。
銃声にビクッと驚き、シンと静まり返る。
そして、女がこう云った。
「訊いた相手を間違えたみたいだな。どの道地上も宇宙も私が無に還してやる」
女は、再び銃口を議長たちに向け、撃とうとした。
そこに、リオンとヴュルムが駆け込んできた。
「動くなっ!!」
女が振り返る。
そこには銃を自分に向ける2人の男がいた。
「今日は私に分がないか。命拾いをしたな」
女はまた腕につけた時計のような物をいじった。
すると、その場にあの黒い機体が姿を現した。
弥生はそれに驚いた。
「あ、あなた。ヨウと何か関係があるの!?」
女は無反応で機体に乗り込んだ。
「待て!」
リオンが女に向け銃を撃ったが、機体の装甲に阻まれた。
そして、女は無理矢理壁を突き破って地上に向けて出て行った。
その場に残った者たちは唖然として立ち尽くすだけだった。

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